生で食べると程よい辛みで、炒めたり煮たりするとほんのり甘くなるなど、料理の味のアクセントに玉ねぎは重宝しますよね。
ただ、調理する立場としては、切った時に目がしみたり痛かったりすることが、ネックになっているのではないでしょうか。
そこで今回は、玉ねぎをみじん切りなどで切った時になぜ目にしみるのか、その原因を踏まえて目がしみない為にできる色々な対策法について、まとめてご紹介していきます。
玉ねぎを切ると目にしみる原因は?
玉ねぎを切ると目にしみるのは、玉ねぎに含まれる硫化アリルという成分が原因だと言われています。硫化アリルは、玉ねぎやにんにく、ネギ、ニラなどのユリ科の植物に含まれる成分で、独特の臭いや辛みの素となるものです。
硫化アリルは催涙性物質なので、防犯用の催涙スプレーのように、目に入ることで涙腺を刺激するため、目がしみたり涙が止まらなくなったりするのです。
玉ねぎで目がしみるメカニズム
目がしみる原因は硫化アリルだと分かりましたが、普段玉ねぎを近くに置いていても、目がしみることはありませんよね?
それは、硫化アリルは、玉ねぎの細胞内にあるので、包丁などで切られて潰れた細胞からしか出てこないからです。さらに、硫化アリルは揮発性であるため、細胞から出てくるとすぐに空気中に拡散するので、目や鼻の粘膜を刺激して、しみる原因になっているのです。
玉ねぎが新鮮だと目にしみやすい?
玉ねぎは、新鮮なものよりも、古いものの方が、水分が失われて硫化アリルが凝縮されているので、切った時に目にしみやすいと言えるでしょう。
ちなみに、玉ねぎと新玉ねぎでは、硫化アリルの含有量に違いはないので、どちらかがしみやすいということはありません。
収穫してから1ヶ月ほど乾燥させてから出荷するのが通常の玉ねぎで、収穫後すぐに出荷するのが新玉ねぎと呼ばれているだけで、もの自体に違いはないからです。
玉ねぎで目がしみるのに年齢は関係する?
玉ねぎの硫化アリルによって涙が出るのは、催涙性物質から目を守ろうとする正常な防御機能です。
涙の分泌量は加齢とともに少なくなるため、歳をとると、硫化アリルに刺激されても、目がしみるだけで涙が出ない状態になります。ですから、歳をとると、玉ねぎで涙が出にくく、目がしみやすくなるのです。
さらに、40代以上では目にダークスポットが発症するリスクが高くなるので、涙が出にくいこともあります。
[surfing_su_note_ex note_color=”#ffffff”]ダークスポットとは目の表面にできる黒い筋のことで、角膜を覆っている涙の膜に、筋状の穴が開いている状態になっています。そのため、ダークスポットがあると涙の分泌量が低下しているので、玉ねぎを切った時にも涙が出にくいのです。
さらに、ダークスポットを放置していると、最悪のケースでは失明に至ってしまうこともあるため、早期に対処する必要があるのです。
ダークスポットがあると、涙が出にくくなる他、次のような症状があるので注意して早期発見につなげましょう。
- 目が乾く
- 目が疲れやすい
- 目がかすむ
- 目がゴロゴロする
- 充血する
玉ねぎを切っても目がしみない方法は?
玉ねぎを切ると目がしみる原因は、硫化アリルだと分かったので、その硫化アリルの性質を利用すると、次のような、目にしみないようにする方法が挙げられます。
料理する環境や体質などによって効果に個人差もあるのですが、気軽にできることばかりなので、いくつかの方法を併用して試してみてください。
切る数時間前に冷やす
硫化アリルは温度が高ければ高いほど蒸発しやすいので、玉ねぎを冷やすことで、切った時の硫化アリルの蒸発を抑制することができます。
最初から冷蔵庫で冷やしておけばいいものではなく、玉ねぎを保存するのに冷蔵庫の湿気は適さないので、あくまで切る数時間前に冷やすようにしてください。
普段は、新聞紙にくるんで冷暗所に保存し、調理する1~3時間前に冷蔵庫で冷やすことをおすすめします。
温める
冷やすのとは逆に、温めるという方法もあります。具体的には、皮を剥いた状態でラップにくるみ、レンジで30秒~1分程度、軽く温めましょう。
硫化アリルは加熱することによって、プロピルメルカプタンという物質に変化するので、目がしみることはなくなります。皆さんがご存知のように、玉ねぎが加熱されると甘くなるのは、辛みのある硫化アリルがプロピルメルカプタンに変化するからなのです。
繊維に沿って切る
玉ねぎを繊維に沿って切ることで、細胞を破壊するのを最小限に抑えられるため、硫化アリルが出るのを防ぎます。細胞を破壊せずに切るためには、よく研がれた切れ味のいい包丁を使うこともおすすめです。
切った後、すぐに使わないなら、硫化アリルが蒸発する前にタッパーなどに入れて密閉しておくと良いですよ。
水にさらしておく
硫化アリルは、水に溶ける性質があるので、半分に切った状態で水にさらしておくといいです。
ただ、硫化アリルには免疫力をアップさせたり血液をサラサラにしたりする効果があるので、すべて水に溶けてしまうと勿体ないです。あまり長く水にさらさずに、切る前にサッと水につける程度にとどめておくといいでしょう。
水でぬらした包丁で切る
水にさらすと、玉ねぎの栄養成分が逃げてしまうことが気になるという人は、包丁を水でぬらすだけでもOKです。玉ねぎを切った時に、出てきた硫化アリルが濡れた包丁に付着して溶けることで、蒸発しにくくなります。
上述した、繊維に沿って切ることと合わせて試してみてはどうでしょう。
扇風機や換気扇を回す
玉ねぎを切る時に、扇風機や換気扇を回すのも良いと言われています。
これは、蒸発した硫化アリルが目や鼻を攻撃する前に、別の場所に飛ばしてしまおうというアイデアです。特に、調理場に大抵ある換気扇を回すことは、すぐに実践できそうですね。
ろうそくを使う
裏技とも言える方法では、玉ねぎを切る時の周辺に、ろうそくに火をつけて置くという方法があります。
何かの儀式のようですが、硫化アリルを避けるためのきちんとした科学的根拠もあります。それは、温められた空気が上昇する性質を利用して、ろうそくに火をつけることで、硫化アリルを空気といっしょに上昇させるということです。
ろうそくを使うのが危ないようなら、ガスコンロの火をつけた横で玉ねぎを切るのでもOKです。いずれにせよ、近くで火を使うので十分に注意してくださいね。
硫化アリルから目や鼻をガード
玉ねぎから硫化アリルが蒸発しないようにする方法ばかり紹介しましたが、硫化アリルを体内に入れないことも大切です。粘膜の多い目や鼻をガードするためには、次のような方法があります。
[surfing_su_note_ex note_color=”#ffffff”]- 水中ゴーグルをかける
- 鼻の穴にティッシュなどで栓をする
- マスクをする
- 鼻で呼吸せずに口呼吸を行う
コンタクトをしている人は玉ねぎを切っても目がしみないと言われています。これは、レンズで眼球を覆っているので、硫化アリルによる目への刺激が軽減されているからだと考えられます。
さらに、コンタクトをしていると慢性的なドライアイになっていて、涙が出にくくなっているとも考えられます。
[/surfing_su_box_ex]まとめ
玉ねぎが目にしみる原因やしみないようにする対策を知ったことで、もう玉ねぎを料理することが苦痛ではなくなるはずです。
玉ねぎには、さまざまな健康効果があるので、快適に調理を行い、上手く玉ねぎを料理に取り入れていきたいですね。