1年を通して太陽から地球に降り注ぐ紫外線。紫外線は私たちの肌にダメージを与え、シミやシワの原因となり、更には皮膚がんを引き起こす要因の一つともなっています。
紫外線対策は1年を通して必要と言われていますが、実際に季節や時間によって紫外線量がどう変化するのか気になっている方は多いと思います。
更には、曇りの日ほど紫外線が強いという噂もよく耳にします。噂だけで真実を知らないと、誤った対策をしてしまうこともありますので注意が必要。
今回は、季節、時間、天気、地域による紫外線量の違いを徹底的にご紹介しますので、年間を通した紫外線対策の参考にしてください。
紫外線は曇りと晴れだとどちらが強いの?
太陽光には非常に多くの光線が存在していますが、その中で目に見えない不可視光線の一種として紫外線が存在しています。
更に紫外線の中にもいくつか種類があり、オゾン層で吸収されて地表にまで届かないものと、地表に届いて人体に影響を与えるものとがあります。
地表に届いて、私たちの肌にダメージを与える紫外線は2種類。
地表に届く紫外線の5%を占め、高い熱エネルギーを持っています。主に屋外で、人間の皮膚の表面を赤く焼いてしまうのがUVBです。
UVA残りの95%を占め、ガラスを通過し屋内でも人体に影響を与え、皮膚の深層にまで届いてダメージを与えます。肌に蓄積し、将来的にシミやそばかすを引き起こすのがUVAです。
この2種類の紫外線量は天気によって変動します。快晴の日の紫外線量を100%と考えたとき、曇りや雨の日は下記の通りのパーセンテージとなります。
空一面が厚い雲に覆われ、日光が全く射さない状態のときの紫外線量は快晴時の約60%。雨が降り出すとパーセンテージが変わるので、あくまでも「曇り」の状態での数字となります。
本曇りよりも雲の量が少なく、特に地表に近い下層部分の雲が少ない状態を薄曇りと言います。薄曇りの場合は快晴時の80~90%という高い紫外線量となります。
曇の切れ間から日が射したり、段々と雲が薄れて日が射してきたりする場合、紫外線量は快晴時の130%にもなるとの報告があります。一番注意が必要なのが、この雲の切れ間からの日差しです。
曇りではなく、雨が降っている状態での紫外線量は快晴時の30%程度に減ります。
曇りでも紫外線が強い理由は?
雲は確かに紫外線を遮断してくれるのですが、怖いのは雲の切れ間から射す紫外線です。雲の間から直接地表に届く紫外線は快晴時と変わらない100%となり、更にそこに雲に反射して散乱した紫外線が加わってしまうからです。
散乱光は、本来は他の場所に当たるはずだった紫外線が雲に反射して方向を変え、あなたの立っている場所に向かっていくイメージです。
曇りの日ほど紫外線が多いと言われる理由は、雲の切れ間から光が射すときに散乱光が上乗せされるからなのです。
紫外線が強い季節や時間帯は?
天気によって紫外線量が変わることは分かりましたが、季節や時間帯でも変わるのでしょうか?
答えはYESです。
真夏の昼間が強くて、冬の夕方以降は少ないという印象が強いと思いますが、厳密には若干の違いがあります。その理由は、紫外線の強さが気温ではなく、下記の2つの要因で決まるからです。
太陽は高度が高い程、地球との距離が短くなります。地球と太陽の距離が近づくほど紫外線量は増えるので、太陽の高度に比例して紫外線量も増えます。
大気の状態大気の中のオゾンという成分が多い程、紫外線を大気内で吸収してくれます。
オゾン量は冬から春にかけて増加して紫外線を遮断します。夏場はオゾン量が減るので、必然的に紫外線量が増えます。
紫外線量は6月~7月がピーク
雲や雨を無視すると、太陽から送られる紫外線量が一番多いのは夏至(6月21日頃)だと言われています。
太陽の高度が最も高くなる夏至は、日照時間が長く、太陽と地表との距離も短くなるので紫外線量が一番多くなるのです。更に紫外線を吸収してくれるオゾン量が少ないので、注がれる紫外線量が増してしまいます。
梅雨の時期は雲や雨が紫外線を遮る
ただし、6月~7月は梅雨の時期で曇りや雨の日が多いので、遮られる紫外線も増えます。
その年の天気や日照時間を細かく分析すると、トータル的な紫外線量は8月の方が多いという年や地域もあります。
紫外線対策は紫外線が増えはじめる3月が重要
紫外線量のピークは夏至の周辺ですが、肌へのダメージを考えると3月からの紫外線対策が重要となります。
冬の乾燥でコンディションの悪い肌に紫外線の悪影響が加わると、夏場よりも深刻なダメージを受けてしまうのです。
最初に受ける紫外線のダメージを最小限に留めておけば、その後の肌への影響が大きく変わってきます。
まずは紫外線や日焼け対策として普段の食事を見直してみるのもいいかもしれませんね。
→ 食べる日焼け止め!?日焼け予防におすすめ&悪化させる食べ物を紹介
紫外線量は12月が最も少ない
夏至の対極にある冬至(12月22日頃)は、1年の中で最も日照時間が短く、太陽と地表との距離が長くなります。
9月頃から減りはじめた紫外線量は、冬至に最も少なくなり、夏至の半分程度まで下がります。
冬場も紫外線対策は必須
紫外線量が少ない反面、空気が乾燥して肌のキメが乱れているので、少量の紫外線でもダメージを受けやすい状態となっています。
肌の保湿と最低限の紫外線対策は冬場も欠かさず行いましょう。
雪は80%も紫外線を反射する
冬場は紫外線の量が少なくなりますが、雪が降った日は反射光に注意が必要です。新雪の紫外線の反射率は80%にもなり、他の地表に比べて群を抜いて高い数字となっています。
- 新雪の反射率:80%
- アスファルトの反射率:10%
- 砂浜の反射率:10~25%
- 土や草地の反射率:10%以下
- 水面の反射率:10~20%
冬場は衣類を着こんでいるので腕や足といった体の部位は守られています。しかし、顔、特に無防備な目へのダメージが懸念されます。
スキーをする際にゴーグルを着けるのと同様に、雪が降った後に太陽が顔を出している日は、サングラスの着用をおすすめします。
参考ページ:気象庁|紫外線の性質
1日の中で最も紫外線が強い時間帯は正午
続いて1日24時間の紫外線の強さの推移は、正午をピークに綺麗な山形を描きます。これは季節に関係なく、夏でも冬でも同じグラフとなります。
1日の中で最も太陽の高度が上がる正午がピークとなりますが、その前後を含めた10:00~14:00の時間帯が危険時間帯と言われ、紫外線対策が必要となります。
地域によって紫外線量は違うの?
季節と時間によって紫外線量が異なるように、地域によっても異なります。日本は縦に長い地形をしているので、北海道と沖縄での紫外線量の差もかなり大きなものとなっています。
ピーク時の紫外線量の差は、那覇が札幌の2倍にもなると言われています。
緯度が低いほど紫外線量は高い
地球は赤道を中心(緯度0)として緯度が設定されています。紫外線は赤道付近が最も高く、赤道から離れるに従って少なくなっていきます。
日本は赤道よりも上、南半球に位置しているので、緯度の低い沖縄が最も赤道に近く紫外線量が多くなります。そして、赤道から一番遠い北海道の紫外線量が最も低くなります。
参考ページ:気象庁|紫外線情報分布図
まとめ
紫外線の変化について理解すると、外出の時間帯や紫外線対策の強さを自己調整できるようになります。
日焼け止めやサングラスといったグッズでの対策ももちろん効果を発揮しますが、夏場の外出時間帯は正午の前後を避けるなどの対策も重要です。また、旅行の行先を季節ごとに変えることもできますね。
夏場は赤道に近い場所を避ける、もしくは紫外線対策を万全にしてから向かうなど、できることはたくさんあります。
冬の北海道は安心と思いきや、雪の反射も考慮するとそうとも言えない現実があります。あまり神経質になって外出しないのも問題ですが、できる限りの対策をして自分の肌を紫外線から守ってあげましょう。
紫外線対策として最近注目されているのが飲む日焼け止め。実際に効果があるのか気になる疑問についてまとめていますので、ぜひ参考にしてみてください。