寒い季節になると、あたたかい鍋が恋しくなり、家族や親しい友人と鍋を囲む機会も増えるものです。
でも、鍋の後必ず下痢になったりガスがたまったりとお腹の調子が悪くなってしまい、「何かの病気なのかな?」と不安に思う人もいるでしょう。
その不安を解消すべく、今回はなぜ鍋の後に下痢やガスだまりになりやすいのか、その原因からどのように対処すればよいのか、下痢にならない為の予防法はないのかについてまとめてご紹介しています。
鍋の後に下痢やガスだまりになる原因は?
鍋の後に下痢になる理由
健康な便は、水分が60~70%なのですが、90%を超えると下痢になります。
通常は、腸で食べたものの水分が吸収されて固形の便になるのですが、何らかの原因によって水分が上手く吸収されずに、水分を含んだまま排出することで下痢になってしまうのです。
鍋の後に下痢になってしまう人もいて、それは次のようなことが原因であると考えられるのでみていきましょう。
いつもより食べ過ぎてしまう
親しい人と鍋を囲むことで箸が進み、いつもより食べ過ぎてしまう人も多いのではないでしょうか。さらに、野菜は、鍋で煮込むことでかさが減り、自分が思っている以上の量を食べていることもあるのです。
もともとお腹が弱い人は、このような不意の食べ過ぎにより、消化器官で上手く吸収されずに、下痢の原因になってしまうのです。
急激な内臓の温度変化
寒くて体の芯まで冷えた日こそ、あたたかい鍋がおいしく感じるものですが、冷え切った内臓に、急にあたたかいものが吸収されると、内臓が驚いて必要以上に活発に動くようになります。
そのため、食べたものが腸を早く通過してしまい、水分が吸収されないまま排出されるので下痢になるのです。
さらに、急な内臓の温度変化は、身体の恒常性を保とうと作用する自律神経に負担がかかってしまい、その自律神経が乱れてしまうことで下痢になることもあるのです。
調味料の添加物
鍋の味付けに、液状や固形の鍋スープの素を使用する人も多いと思いますが、これには食品添加物が多く含まれています。
私たちの身体には、悪いものを排出しようとする防御本能のようなものがあり、食品添加物のような異物を速やかに排出しようとして、下痢になることがあるのです。
特に消費期限が長く表示されているものは、それだけ保存料が多く含まれているということなので、注意しましょう。さらに、鍋の残った汁を飲み干すことも避けた方がいいでしょう。
食中毒の可能性も!
鍋で人気の牡蠣やカニは、食中毒を起こしやすいので、それが原因で下痢になることもあります。
よく加熱すれば食中毒のリスクはないのですが、鍋の場合、後から具材を足すことで加熱が不十分になってしまうことも。
下痢がひどく、嘔吐症状もあり、水分も摂れないような場合は速やかに医療機関を受診するようにしましょう。
鍋の後にガスだまりになる理由
鍋の後に、お腹がパンパンに張ったり、おならが止まらなくなったりするガスだまりの症状が現れる人も少なくありません。
もともと体内には、口から取り込まれた空気や腸内細菌が発生するガスなど、コップ1杯分くらいのガスがたまっています。
さらに、食事をすることで腸内にガスが発生するのですが、これをためないように呼吸やおならとして定期的に排出することで、体内のガスの量が保たれています。
鍋の後に腸内ガスが発生しても、正常に排出されればガスだまりの症状が起こることはないのですが、次のようなことが原因で、体内のガスのバランスが崩れてガスだまりを起こしてしまうのです。
おしゃべりしながら食べる
鍋を囲んで親しい人とワイワイおしゃべりしながらの食事は楽しいですが、おしゃべりしながら食べることで、飲み込む空気の量も増えて、体内にガスがたまってしまいます。
また、ついついおしゃべりが弾んで、長時間座りっぱなしの姿勢だと、腸が活動しにくくなり、ガスがうまく排出されずにたまりやすくなるのです。
炭酸飲料を飲む
鍋を前にすると、お酒やジュースなども進みますが、炭酸飲料は体内にガスを沢山発生させてしまうので要注意なのです。
さらにラッパ飲みや、飲み物が進んで早食いになってしまうことも、ガスだまりの原因となっています。ストローを使って飲むなどして、一度に飲み過ぎないことが大切です。
腸内ガスが発生しやすい具材
鍋の具材には、腸内ガスが発生しやすいものが多く含まれているので、ガスがたまりやすくなっています。
特に次のような鍋によく入っている具材が腸内ガスを発生しやすく、ガスだまりの原因となるので食べ過ぎないようにしましょう。
- 灰汁の強いもの・・・ゴボウ、大根、にんじん
- デンプン質の多いもの・・・うどん、ラーメン、餅
- 消化の悪いもの・・・がんもどき、油揚げ、貝類、キノコ類
- 食物繊維の多いもの・・・ニラ、小松菜、里芋
鍋の後に下痢になった時の対処法は?
水分補給を行う
下痢が続くと、体内の水分や電解質が失われ、脱水症状を引き起こすこともあるので、水分補給をしっかりと行うことが大切です。
水分補給には、経口補水液やイオン飲料がおすすめですが、なければお茶や水でもOKです。ただ、冷えた飲み物だと内臓に吸収されるときに負担がかかるので、常温のものを飲むようにしましょう。
下痢止めは飲まない
下痢をするとすぐに下痢止めを服用する人もいますが、下痢止めを飲まない方がいい場合もあります。
先程も述べたように、下痢によって体内の異物を排出しようとしているので、下痢止めによってこの防御本能を邪魔してしまうようなことはしない方がいいのです。
安静に過ごす
休息が一番の良薬であり、しっかりと休むことで身体の免疫力もアップするので、下痢症状が起こったら安静に過ごして身体の回復を待ちましょう。
ひざ掛けや腹巻きなどでお腹をあたためながら横になると、尚良いです。
鍋の後に下痢やガスだまりにならない為の予防法は?
腸内の善玉菌を増やす
すべての人が鍋の後に下痢になったりガスがたまったりするのではなく、もともとお腹が弱い人やその時の体調にもよります。
これには、腸内環境が関係していて、善玉菌を増やすことで腸内環境が良くなり、下痢やガスだまりを防ぐことができるのです。
日頃から善玉菌の多い腸内環境をつくるためには次のようなことに気をつけるといいでしょう。
乳酸菌とビフィズス菌には善玉菌が多く含まれており、これらを摂取することで体内の善玉菌量はアップします。
乳酸菌やビフィズス菌を多く含む食品といえば、ヨーグルトをイメージする人も多いでしょうが、納豆や醤油、味噌にも多く含まれるので、昔ながらの日本食がおすすめです。
日頃の食事から、善玉菌の大好物である食物繊維を摂取することを意識するようにしましょう。食物繊維を多く含む食材には、切干大根や豆類、干ししいたけ、こんにゃく、海藻類などがあります。
また、高タンパク質・高脂質の食材は、善玉菌の邪魔をする悪玉菌を増やして腸内環境を悪くしてしまうので、控えた方がいいでしょう。
ストレスによって自律神経が乱れ、胃酸や腸液の分泌量が低下したり腸の活動能力が低下したりしてしまい、善玉菌より悪玉菌が増殖しやすい環境になってしまいます。
あたたかい湯船に浸かったり、適度に運動したり、しっかりと睡眠をとったりして、ストレスをためない生活を心がけましょう。
下痢やガスだまりになりにくい鍋を食べる
上記したように、市販の鍋の素には、鍋の旨みを科学的に再現しているため、添加物が多く含まれています。鍋のだしは昆布、塩、鶏ガラなどから自然に取るようにするといいでしょう。
下痢をしやすい人は水炊きにするのもおすすめです。逆に、キムチ鍋などは香辛料などの刺激物も多いことから、下痢を引き起こしてしまうので控えた方がいいでしょう。
鍋の具材には、下痢やガスだまりを起こしやすい食材を避け、次のような腸にやさしく下痢の時にも食べられる食材を使用するといいでしょう。
- 豆腐
- 春菊
- 鶏ささみ
- 白身魚
まとめ
鍋で心も身体もあたたまり、至福のひとときを過ごすはずが、下痢をして体調を崩してしまっては台無しです。
鍋の後にお腹の調子が悪くなる原因や予防法を知ったり、下痢になっても正しく対処できる知識を身につけたりしたことで、親しい人たちと鍋を囲む時間を安心して楽しく過ごせるといいですね。
また、便の状態は健康のバロメータにもなるので、少々の刺激では下痢やガスだまりを起こさないような、良い腸内環境を保つことで、規則正しい生活習慣を実践することにつなげていきましょう。