日本人にとって馴染み深い食事である、そばとうどん。個人店やチェーン店といったお店だけでなく、立ち食いやインスタントなど種類も豊富で身近な食べ物ですね。
どちらも麺類であっさりと食べることができるので、低カロリーで消化に優しいイメージがありますが、実際はどのような違いがあるのでしょうか。
今回は、そばとうどんの違いやダイエット中に食べるポイントなどをまとめました。
そばとうどんの違いって何?
麺類で食べやすく共通点の多いそばとうどんですが、材料をはじめ、栄養など様々な違いがあります。
材料面
- そば粉
- つなぎ
- 水
十割そばの場合はつなぎを含みません。
つなぎはお店や商品によって異なり、小麦粉を中心として、卵や長いものすりおろしたものなど様々です。ほとんどのそばが小麦粉を混ぜてグルテンを発生させ、生地をまとまりやすくしています。
そばをお箸で持っても切れることがないのは、このグルテンが働いているからですね。グルテンの働きをよくするために微量の塩を加えていることも多いですが、茹でると流れ出ることがほとんどです。
そば屋さんののぼりに十割そばと書かれているのを見たことがあるでしょうか。十割そばとは、つなぎを使っていないそばの名称です。読み方は「じゅうわり」がほとんどですが、お店によっては「とわり」と読むこともあります。
つなぎを使わない、つまりグルテンがほぼないため生地がまとまらず、作り方によっては非常に切れやすい麺となっています。
しかしそば粉の風味をしっかり感じられるため、十割そばを好む方も多いです。
- 小麦粉
- 水
- 食塩
そばがそば粉を使うのに対し、うどんは専用の材料を必要としません。
小麦粉に対して食塩は2%~6%ほど。塩分に関してはそれほど気にする必要はないと言えます。
カロリー面
100gあたり114kcal、炭水化物量は26gです。
1食分(260g)はおよそ296kcal。
100gあたり105kcal、炭水化物量は21.6gです。
1食分(230g)はおよそ250kcal。
数字だけを見るとうどんのほうが低カロリーですね。
しかし1食分がそばは260g、うどんは230gと差があることに気づかれたと思います。と言うのも、うどんのほうがそばに比べて水分を含みやすいため、茹であがった量に対して粉の量が少なくなるのです。
粉の量の差を考えると、実はそこまでカロリーに差はないのかもしれません。
栄養面
そばとうどんを比べるにあたって、最も重要なのが栄養です。どちらも粉と水で作るものですが、栄養面で言えばそばに軍配が上がります。
そば粉を使うそばには、下記のような健康に嬉しい成分がたくさん含まれています。
- ミネラル
- リジン
- ビタミンB1、B2
- ソバポリフェノール
- ルチン
具体的な効果としては、下記のようなことが挙げられます。
- 疲労回復
- 代謝アップ
- アンチエイジング
- 生活習慣病の予防
うどんには主に、下記のような成分が含まれており、炭水化物が最も多く含まれています。
- タンパク質
- 脂質
- 炭水化物
他にも、そばほどではないものの、うどんにも健康面に効果のある成分が含まれています。
- 貧血予防や代謝アップに役立つモリデブン
- 免疫力をアップさせ老化を防止するセレン
消化
そばとうどん、どちらがより消化によいのかご存知でしょうか。どちらも同じように思えるかもしれませんが、うどんのほうが消化によいと言えます。
成分から見る消化の差
主成分である小麦粉、要するに炭水化物は、胃にとどまっている時間が少なく比較的早く消化される成分です。糖質やデンプンも、体への吸収が早いうえに酵素を促し消化を早めてくれます。
食物繊維を豊富に含んでいるため、うどんに比べると消化に時間がかかってしまいます。腹持ちがよいとも言えますが、消化のよいものを食べたいときには向いていませんね。
そのため小麦粉を多く使っているうどんは、そば粉を使うそばに比べて炭水化物量が多く、早く消化されるのです。
胃への負担
うどんのほうが消化がよいことからわかるように、胃への負担が気になる際はうどんを食べるのがおすすめです。
食べ方で胃への負担が変わるうどん
柔らかく煮たうどんであれば胃への負担はほぼありませんが、食べ方に注意しなければ、うどんであっても胃に負担をかける恐れがあります。
コシのあるうどんは美味しいですが、グルテンに注意しなければなりません。うどんのコシの正体はグルテンというたんぱく質ですが、美味しさに反して消化しづらい成分となっています。
胃へ負担をかけず食事をしたい場合、コシの強いうどんは避けたほうがよいでしょう。
夏場にぴったりなざるうどんですが、冷たいものは胃腸など体の内側が冷えてしまいます。
胃が冷えてしまうと食べ物を消化する能力が低下してしまい、余分なエネルギーを使うことになり、胃へ負担をかけることになるのです。
そばとうどんどっちが太りやすいの?
結論から言えば、うどんのほうが太りやすいです。その理由には「GI値」というものが大きく関係していました。
GI値とは、炭水化物が消化されて糖に変わるまでの速さを示す数値です。「グリセミック指数」の略で、値が高いほど脂肪になりやすい食品です。
ダイエット関連の書籍やウェブサイトでたびたび出てくる単語でもありますが、こちらのGI値を参考にすることで、その食品の太りやすさの目安を知ることができます。
GI値で比較するそばとうどん
GI値だけを比較してみると、下記のようにおよそ30も差がありました。
- そば:54
- うどん:85
ちなみに普段食べることの多い食品と比べてみても、うどんはGI値が高いということがわかりますね。
- 食パン:91
- 白米:84
- パスタ:65
GI値の差から、脂肪になりやすいのはうどんだということがわかりました。小麦粉をメインとして作られているため、そば粉を使ったそばに比べるとどうしても糖になりやすいのです。
そばとうどんで悩んだときは、GI値の差からそばを食べるのもいいかもしれませんね。栄養の豊富さからも、アレルギーや苦手意識がなければ腹持ちのいいそばをおすすめします。
ダイエット中にそばを食べる際にポイントは?
ダイエット中でも美味しいそばが食べたい、そんなときに抑えておきたい3つのポイントがあります。
GI値を下げるものと一緒に食べる
白米やうどんに比べ比較的GI値の低いそばですが、ダイエット中は少しでも太らない食事をしたいですよね。GI値を下げるものと一緒に食べることで、もともとGI値の低いそばをいっそう低くすることができます。
GI値を下げてくれる食べ物、それは食物繊維です。山菜そばやごぼうそば、きのこそば、山芋や長芋をすりおろしたとろろそばなどがおすすめです。
そばだけでなくうどんの場合も同様に、食物繊維が豊富な食品を合わせることでGI値を下げられます。ビタミンも同時に摂ることができますので、ダイエットと美容効果を同時に得られて一石二鳥です。
きのこや野菜をたっぷり摂って健康的にダイエットしたいですね。
そばは十割か二八を選んで
そばには十割そばや二八そばなど割合があることはお伝えしました。こちらの割合によっては、ダイエット効果を得づらい場合があることはご存知でしょうか。
JASの規定ではそば粉が30%でそばになる
乾麺や生麺など市販されているそばの場合、日本農林規格(JAS)によって定められている決まりでは、そば粉の比率が30%以上ならそばになります。そば粉の比率が30%ということは、残りは小麦粉でもよいということです。
仮にそば粉が30%で小麦粉が70%だとすると、そばはそばでも、うどんに近いそばということになります。せっかくダイエットとしてそばを食べようとしても、GI値を見るとうどんと大差ないなんてことも。
成分を確認する
市販のそばを購入する際、どうしたらそば粉の割合が高いそばを買うことができるのでしょうか。それは、裏面などに表記されている成分を確認することです。
そば粉の割合が高い十割そばは、原材料などの欄に「そば粉」としか書かれていません。二八そばであればつなぎとして多少の小麦粉を使いますので「そば粉」「小麦粉」「食塩」の順番です。
よりそば粉の割合が低いものになってくると、そば粉や小麦粉の他に「小麦たん白」「加工でん粉」「植物油脂」など多くのものが混ざるようになります。
体に悪いというわけではありませんが、ダイエット中には避けたほうがよいでしょう。スーパーなどでそばを買う際、ぜひ原材料を確認されてみてくださいね。
そば屋さんで出しているそばには、JASの決まりは適用されていません。そば粉の比率が30%のところもあれば、もっと低いお店もあります。
ダイエット中に外食でそばを食べる場合、十割そばのお店に行くか、そば粉の割合を店員さんに尋ねてみるのがよいでしょう。
薬味を使う
ダイエット中にそばを食べる場合、薬味を使ってダイエット効果をアップさせるのがおすすめです。そばに合わせやすい薬味の効果を紹介しますので、ぜひ参考にされてみてください。
- 脂肪の燃焼を促す:ねぎ、大根、ごま
- 体を温める:唐辛子、しょうが、ゆず、山椒
- 腸を整える:わさび
- 血流を良くする:みょうが
- 利尿作用:青じそ、のり
まとめ
今回はそばとうどんの違いについて紹介しましたが、いかがだったでしょうか。味や食感以外は同じように思えたものの、細かな違いが多くそれぞれに長所がありました。
胃が弱っているときはよく煮込んだうどんを、ダイエットしたいときにはそばを食べて、健康と美容を両立させたいですね。
下記のページでは、ダイエット中や夜食としてうどんを食べる際のポイントや注意点についてまとめていますので、参考にして頂ければと思います。