現代人は様々なアレルギーに悩まされています。代表的なもので言えば食物アレルギー、花粉症、鼻炎、アトピーなどです。
日常生活の中で遮断できないものがアレルゲンだと非常に辛いものですが、紫外線アレルギーもその一つです。
日光の中の紫外線に対してアレルギー反応を起こす症状で、目や顔だけに症状がでる人もいれば、全身に蕁麻疹が出る人もいます。
大人になって急に発症する人も多く、何が原因だか分からないままに放置する人も多い紫外線アレルギー。放っておくと体の中に次々と抗体が作られ、突然重篤な症状を引き起こすケースもあります。
そうなる前に正しい知識を身につけ、適切な対処ができるよう、紫外線アレルギーの基礎知識をご紹介します。
紫外線アレルギーとは?
紫外線アレルギーは日光過敏症(にっこうかびんしょう)や光線過敏症(こうせんかびんしょう)とも呼ばれ、目に見えない光線である紫外線に対してアレルギー症状が起こることを言います。
ほとんどは皮膚症状ですが、稀にその他の症状が起こることもあります。
紫外線に対して抗体ができるのが紫外線アレルギー
様々なアレルゲンの中で紫外線に対して抗体が作られる症状で、少しの日光に当たっただけでも体の免疫反応が働き、異物を輩出しようと自身の体を攻撃してしまいます。
日光による自然界の紫外線だけではなく、ジェルネイルを固める際に照射する人工的な紫外線にも反応します。
乳幼児から高齢者まで、年代に関係なく発症します。
そもそもアレルギーとは何か?と言うと、人間が自分の体を守る為に備えられた防御システムの誤作動です。
細菌やウィルスと闘うために元々持っている自然免疫ではなく、食品や植物といった本来体にとって有害でないものに対して抗体ができてしまい、過敏に反応してしまうのです。
アレルギー患者は年々増していて、その原因はライフスタイルの変化や、環境そのものの変化が大きいと考えられています。
ダニやほこりにさらされる機会が増え、輸入による食品の多様化で添加物などを摂取する機会が増えたことが原因だと考えられています。
紫外線アレルギーによる症状は?
紫外線アレルギーによる症状は個人差が大きいですが、代表的な症状は下記の通り。
一番代表的な症状で少量の紫外線に当たっただけで皮膚が赤くなり、かゆみや腫れを伴います。
ただの日焼けなのか、アレルギーなのかは自己判断が難しいので、他の症状がないかどうかを確認した上で病院で検査を受けることをおすすめします。
皮膚が赤くなるだけでは治まらず、粟粒サイズの発疹が出たり、みみず腫れのようになったりします。強いかゆみを伴うケースが多く、顔よりも腕や首まわりに症状が出ることが多いです。
水ぶくれも腕や首まわりに症状が出ることが多いです。1ミリほどの水ぶくれが無数にできることもあれば、火傷の時のように大きな水ぶくれが数個できる場合もあります。
目に症状が表れる人も非常に多く、真っ赤に充血したり、涙が止まらなくなったりします。また、目の中に異物が入っているような不快感が続くケースもあります。
頭痛単位で症状が起こるケースは少なく、皮膚症状や目の症状と併せて発症することが多いです。
ただ、偏頭痛も日光が引き金となって起こることがあるので、紫外線アレルギーかどうかを特定するには病院での検査が有効です。
日光に当たった後、体が火照って発熱することがあります。37℃程度の微熱が続くことが多いですが、高熱が出ることもあります。
全身が脱力し、体が怠く感じることもあります。発熱によって倦怠感を引き起こすケースもありますので、倦怠感が出たら必ず体温も測ってみましょう。
かなり酷い症状ですが、吐き気を感じたり、実際に嘔吐してしまったりするケースもあります。
紫外線アレルギーになる原因は?
紫外線アレルギーになる原因は遺伝や病気による内的要因と薬剤や食品による外的要因に分けられます。
遺伝的要因
乳幼児はほとんどが遺伝的要因で紫外線アレルギーを発症します。遺伝的に紫外線に対する抗体が元々多いと、少しの紫外線を浴びただけでも限界を超えてアレルギー症状を引き起こします。
大人の場合は元々持っている抗体と、浴びた日光の量によって、ある日突然抗体が限界値を超えて発症することになります。
他の病気
他の病気が原因で紫外線アレルギーが併発しているケースもあります。体内に「ポルフィン」という物質が増える病気の患者は、紫外線アレルギーになりやすいと言われています。
代表的な病気は下記の通り。
- 肝障害(アルコール性)
- C型肝炎
- ペラグラ(ビタミン欠乏性の一種)
薬剤
使用している薬剤が紫外線アレルギーの原因となっているケースも非常に多いです。特に大人の紫外線アレルギーの多くは内服している薬や、体に塗っている外用薬の成分が作用して発症していると言われています。
クリームなどの外用薬の場合は特定が容易ですが、内服薬の場合は特定が難しいので専門家の判断が必要になります。
紫外線アレルギーを引き起こす薬剤については多岐に渡るので、下記のサイトを参考にしてください。
参考ページ:星の原クリニックHP
日焼け止めや化粧品
一部の日焼け止めや化粧品に含まれる「紫外線吸着剤」が引き金になることもあります。紫外線吸着剤は肌表面で紫外線を吸収して化学反応を起こさせ、皮膚の奥まで紫外線を浸透させない作用があります。
しかし、化学反応を起こさせる過程で光毒性のある物質が生成され、皮膚を傷つけてしまうことがあります。日焼け止めや化粧品をつける顔だけにアレルギーが出る人は、紫外線吸着剤が原因となっている可能性が高いです。
食品
食品が直接的な原因となるケースは少ないですが、「ソラレン」という成分が紫外線の吸着を促し、紫外線を体内に吸収しやすくすると言われています。
ソラレンを多く含む食品は下記の通り。
- 柑橘系(レモン、オレンジなど)
- きゅうり
- 香味野菜(パセリ、セロリ、しそなど)
- いちじく
- アセロラ
- キウイ
これらの食品は食後に紫外線を浴びる可能性のある朝食や昼食を避けて、夕食で食べるようにしましょう。
紫外線アレルギーの検査方法は?
紫外線アレルギーの検査は皮膚科かアレルギー科で受けることができます。検査方法は光線過敏症検査と血液検査、そして光パッチテストです。
検査を実施していない医療機関もあるので、事前に電話をかけて確認をしておくと安心です。
光線過敏症検査
背中に人工的にUVA光線、UVB光線という2種類の紫外線を照射し、24~48時間後にアレルギー反応が出ているかどうかを確認する検査です。この検査で異常が認められると、血液検査や光パッチテストを受けます。
血液検査
アレルゲンを特定するために採血をして、何に対してアレルギーを持っているかを調べる検査です。紫外線アレルギー以外にも複数の項目を調べることができ、様々なアレルゲンを血液検査で特定できます。
光パッチテスト
必要に応じて受ける検査です。薬剤や化粧品など、ある程度原因が予測されている場合に実施されるケースが多いです。
原因と疑われる物質を背中に2箇所添付し、24~48時間後に片方の添付を剥がして紫外線を照射します。更に24~48時間後にアレルギー反応が出ているかどうかを確認します。
紫外線アレルギーの対策方法は?
紫外線アレルギーはその他のアレルギーと同様、発症したら完治する可能性は非常に低く、一生付き合わなくてはいけません。
病院で紫外線アレルギーと診断を受けたら、処方された薬の服用が必須ですが、日常生活の中でも悪化させないために様々な対策ができます。
紫外線カットグッズの利用
紫外線アレルギーの対策はとにかく紫外線を浴びないこと。様々なUVカットグッズが出ているので有効的に活用しましょう。
- 遮光日傘
- 遮光帽子
- サングラス
- UVカットネック―カバー
- UVカットアーマー(腕カバー)
紫外線は4月頃から一気に増えると言われてます。夏になる前、春からの対策が必須です。
紫外線散乱剤配合の日焼け止めの使用
日焼け止めには紫外線吸着剤と紫外線散乱剤の2種類があり、先にも述べた通り吸着剤は紫外線アレルギーの原因となるケースがあります。
日焼け止めの使用も有効ですが、紫外線を反射して跳ねのけるタイプの散乱剤を使用した日焼け止めを選ぶようにしてください。
ただし、人によっては散乱剤が肌に合わないケースもあるので、少量でパッチテストをしてから常用することをおすすめします。肌に合わない場合は、グッズでの対策をするようにしましょう。
ビタミンと亜鉛の摂取
紫外線アレルギー対策にはビタミンや亜鉛の摂取が有効だと言われています。ビタミン類は紫外線アレルギーで受けた肌のダメージを回復させ、亜鉛は免疫力を高めてくれる栄養素です。
- ブロッコリー
- モロヘイヤ
- ほうれん草
- にんじん
- ナッツ類
- レバー
- 豚肉
- うなぎ
- 牡蠣
- 海藻類
- レバー
毎日の食事でビタミンや亜鉛を積極的に取り入れるようにしてください。サプリメントでの補充も有効ですが、自然の食品から取り入れるのが一番です。
まとめ
紫外線アレルギーは死に至るような病気ではありませんが、皮膚に異常が表れることが多いので、特に女性にとっては苦痛の大きなアレルギーです。
日光はアレルギーを引き起こすこともありますが、ビタミンを生成したり、成長ホルモンの分泌を促したり、私たちの健康になくてはならないものでもあります。それだけに対策のさじ加減が難しいアレルギーとも言えます。
上手に日光と付き合うにはどうすべきかは、やはり専門家の指示を仰ぐのが一番です。特にお子さんが発症した場合は自衛ができないので、自己流の対策に走らず、必ず医師の指示を受けるようにしてください。
また、体質は毎日の食事で少しずつ改善するとも言われています。外出時の対策に加えて、日々の食生活も見直してみましょう。