リン酸アスコルビルMgと他のビタミンC誘導体の違い/化粧品の選び方

美容

リン酸アスコルビルMgという名前はあまり馴染みがないかもしれませんが、ビタミンC誘導体といえば分かる方もいらっしゃるでしょう。

どのような成分で、肌にどんな美容効果があるのか、詳しくご紹介します。

使い方の注意や選び方などもご紹介しますので、ビタミンC誘導体入りの化粧品を選ぶ際の参考にしてください。

スポンサーリンク

リン酸アスコルビルMgとは?

考える女性

リン酸アスコルビルMgはビタミンC誘導体の一種です。どのような性質があるのか、他のビタミンC誘導体とどのような違いがあるのかなどをご紹介します。

水溶性のビタミンC誘導体

ビタミンCは化学名をアスコルビン酸といいます。ビタミンCは食べ物から取る場合は大変吸収率の良い栄養素ではありますが、肌に塗った時は別なんです。

とても不安定な物質であり、酸化しやすい上にそのまま塗っても肌には浸透しないのです。

そこでビタミンCとリン酸、マグネシウム塩を結合させて浸透しやすくしたのがビタミンC誘導体です。リン酸アスコルビルMgは水溶性のビタミンC誘導体に分類されます。

最も効果が期待できる

肌に塗ると皮膚の中にあるホスファターゼという酵素によってビタミンCとリン酸マグネシウムに分解されます。水溶性ビタミンC誘導体の中では一番効果があるとされています。皮膚科でも処方されています。

即効性がある

皮膚への浸透性が高いマグネシウム塩を含んでいるので、ビタミンCへの変換率が高く、即効性が期待できる成分です。

持続性はやや低い

持続性はおよそ12時間と、油溶性のビタミンC誘導体に比べるとやや短くなっています。

他の水溶性ビタミンC誘導体

水溶性のビタミンC誘導体は他にもあります。

リン酸アスコルビルNa

肌に塗るとビタミンCとリン酸ナトリウムに分解されます。低コストであるということから、主に皮膚科で使われている成分です。

アスコルビン酸グルコシド

マグネシウムやナトリウムよりも低刺激で安定性が高いものの、ビタミンCへの変換率が低いために美白化粧品としての効果はやや劣るというデメリットがあります。

アスコルビル酸エチル

アスコルビル酸は肌に塗った時の酵素による分解が不要で、安定性、浸透性共に高い成分です。ただし、濃度が高いと肌への刺激がやや強いというデメリットがあります。

油溶性ビタミンC誘導体

クリーム

ビタミンCは本来水溶性の栄養素ですが、油溶性の物質を加えてクリームなどに配合できるようにしたものもあります。

持続性が高い

即効性という点では水溶性に劣るものの、持続性が高いのが特徴です。およそ24時間の持続性があります。

保湿性が高い

水溶性は化粧水で使うことが多いのですが、油溶性は美容液やクリームとして使うことが多く、保湿効果も高くなるのが特徴です。

低刺激

水溶性と比べると低刺激な成分が多く、化粧水では使えなかった人でも油溶性なら使えるかもしれません。

油溶性ビタミンC誘導体の種類

油溶性ビタミンC誘導体には次のような種類があります。

テトラへキシルデカン酸アスコルビル(VCIP)

浸透が良く刺激も少ないため、乾燥肌の人でも使いやすいビタミンC誘導体です。またコラーゲン分解酵素を抑制するので、肌の弾力回復をサポートします。

ステアリン酸アスコルビル

安定性は高いものの、ビタミンCとしての効果はあまり期待できない成分です。ステアリン酸の抗酸化作用は肌に対してというよりも、化粧品の酸化防止剤として使われることが多いためです。

パルミチン酸アスコルビル

安定性にかける成分であり、海外ではよくクリームに配合されているのですが、日本ではあまり使われていない成分です。

両親性ビタミンC誘導体

水溶性、油溶性、両方の性質を兼ね備えている成分です。

パルミチン酸アスコルビン酸3Na(APPS)はビタミンCへの変換率に優れているので、浸透力と保湿力があります。その分、他のビタミンC誘導体に比べると価格が高いのが特徴です。

ただし、安定性が極めて悪く、美白効果について実証データが少ないことから、厚生労働省から美白成分としての認可は下りていません。

リン酸アスコルビルMgで期待できる効果は?

笑顔の女性

メラニンの生成を抑制

リン酸アスコルビルMgはメラニン色素を作るチロシナーゼという酵素の働きを抑制することから、シミや色素沈着型のニキビ跡、茶クマなどの予防に効果があります。

シミを薄くする

メラニンの還元作用もあることから、出来てしまったシミも薄くし、くすみなどを予防する働きも期待できます。

コラーゲンの生成をサポート

コラーゲンを作るにはビタミンCが不可欠です。リン酸アスコルビルMgにはコラーゲンの生成をサポートする働きがあるので、肌の弾力を取り戻すのに役立ちます。

セラミドの合成

角質層の保湿成分であるセラミドを合成する働きもあります。肌の潤いを取り戻し、バリア機能も高めてくれます。

過剰な皮脂分泌を抑える

余分な皮脂を抑えてくれるので、ニキビが出来やすい人には美白だけでなくニキビケアとしても役に立つでしょう。皮脂が過剰に分泌されて毛穴が開いてしまっている人にもおすすめです。

抗酸化作用

細胞膜にあるリン脂質には不飽和脂肪酸が含まれています。肌の弾力を保つために必要な脂肪酸ですが、とても酸化されやすいという性質があります。

紫外線を浴びたりストレスが続いていたりすると体内に活性酸素が増えて、この不飽和脂肪酸を酸化させて過酸化脂質を作り出します。これが「酸化」です。

過酸化脂質が増えると細胞が破壊され、シミやシワなどの老化現象の原因になります。リン酸アスコルビルMgはこの酸化を防いでくれるので、エイジングケアに役立ちます。

歯周病の予防

リン酸アスコルビルMgには活性酸素を除去したり、免疫機能を向上させることから、歯周病の予防にも効果があるとされ、歯磨きペーストにも配合されていることがあります。

リン酸アスコルビルMgには毒性や副作用はないの?

ショックを受ける女性

様々な美容効果のあるリン酸アスコルビルMgには毒性というほどの強い作用はありませんが、肌質によってはやや副作用(デメリット)があります。

肌の乾燥

ビタミンCの皮脂抑制作用はオイリー肌やニキビ肌の人にとってはありがたい作用なのですが、普通肌〜乾燥肌の人にとっては肌を乾燥させてしまうため、それがデメリットになります。

乾燥肌の人は保湿効果の高い成分が同時に配合されたものを使うか、クリームなどで保湿する必要があります。

肌への刺激

濃度にもよりますが、人によってはピリピリ感があったり、赤くなってしまうこともあります。顔に使う前に必ずパッチテストをしてください。

リン酸アスコルビルMg配合化粧品の選び方は?

化粧品

リン酸アスコルビルMgの配合された化粧品を選ぶ時のポイントや扱い方の注意点についてまとめました。

配合量をチェック

ドラッグストアなどで購入できる化粧水は1%程度の濃度のものが多いのですが、効果を実感できる配合量は3~5%程度だといわれています。

購入する時は3%以上の濃度のものを探してみましょう。

敏感肌の人は低濃度のものから使う

ただし、濃度が高くなるとその分刺激も強くなります。パッチテストをしてみて、赤みやかゆみは出ないけれども若干刺激を感じる、という時は濃度の低いものから使ってみるといいでしょう。

一緒に配合されている成分にも注目

リン酸アスコルビルMg配合の化粧水を選ぶなら、一緒に配合されている成分もスキンケアの目的に合わせてチェックしましょう。

美白

より高い美白効果を得たい場合は、アルブチン、プラセンタエキス、トラネキサム酸などが配合されているものがおすすめです。

保湿、アンチエイジング

美白と同時に保湿効果が欲しい人は、セラミド、ヒアルロン酸、コラーゲンなどが配合されているものがおすすめです。

角質層をしっかりを保湿することはたるみやしわなどのエイジングケアにも有効です。

保存方法に注意

ボトル

リン酸アスコルビルMgは非常に紫外線に弱い物質です。日光の当たらない冷暗所で保管してください。できれば冷蔵庫で保管した方が安心です。

小分けにすると使いやすい

大きな化粧水のボトルをいちいち冷蔵庫から出し入れするのが面倒、という場合は1週間分くらいを小さなボトルに移し替えるといいでしょう。

普段使う小さなボトルは冷暗所で、大きなボトルは冷蔵庫で保管します。なくなったら継ぎ足すようにすれば、化粧水を使うたびに開けることによる酸化のダメージからも守れます。

使用期限を守る

リン酸アスコルビルMgは安定性が高いとはいっても、元々が酸化しやすい物質です。使用期限は必ず守り、開封後は出来るだけ短期間(1〜2ヶ月)で使い切るようにします。

期限を過ぎてしまったものは使わないようにしましょう。

まとめ

リン酸アスコルビルMgはビタミンCの中でも最も効果の高い美白成分です。乾燥を感じる方もいますが、同時に保湿クリームなどをしっかり使えば問題ないでしょう。

使い方の注意さえ守れば、美白だけでなくエイジングケアにも有効な優れた成分ですから、シミやたるみなど年齢肌が気になる方はぜひ使ってみてください。