レプチンというホルモンがダイエットにいい!とテレビで紹介されたり、インターネットでも取り上げられていますね。
ホルモンをコントロールしてダイエットできるなら、ご飯を我慢しなくてもいいといいということ?とちょっと期待したくなりますが、満腹ホルモンと呼ばれるレプチンの働きを知れば、なるほどと納得できるでしょう。
ダイエットで一番辛いのは食べたいのに食べられない、空腹との戦いですから、レプチンを増やせばダイエット中の空腹も何とかできるかもしれません。
レプチンにはどのような働きがあるのか、レプチンを増やしてダイエットに役立てる方法などをご紹介します。
レプチンとダイエットの関連性は?
レプチンというホルモンがどのようにダイエットに役立つのか、レプチンの働きやそのメカニズムについてお話しします。
満腹ホルモンと呼ばれるレプチンの働き
レプチンとは脂肪細胞から分泌されるホルモンで、「食べること」を調整するためのホルモンです。脂肪細胞には、脂肪を蓄える白色脂肪細胞と脂肪を燃焼させる褐色脂肪細胞の2種類がありますが、レプチンは白色脂肪細胞から分泌されます。
レプチンが分泌されると満腹中枢が刺激されて「おなかがいっぱいになった」と感じるのです。
レプチンと食欲との関係
レプチンは食事をすると脂肪細胞から分泌されて、脳の視床下部というところに伝わります。視床下部というのは、食欲を始め、体温やホルモンなど生きるために必要な身体の働きをコントロールする重要な部位です。
視床下部はレプチンの情報を受け取ると、食欲を抑える命令を出すとともに、交感神経を通して筋肉などにエネルギーの消費を命じます。
レプチンは、遺伝性肥満マウスの病因遺伝子の研究で発見された肥満遺伝子に由来するホルモンで、脂肪細胞より分泌され、主に視床下部の受容体を介して協力な接触抑制やエネルギー消費亢進をもたらすことにより、その作用不足は肥満の成因に重要な役割を有すると考えられる。
この働きによって、食欲を抑え、エネルギーの消費効率も上がるため、ダイエットに役立つというわけです。
体脂肪が多いことによる影響
レプチンは肥満細胞から分泌されるので、肥満細胞の数が多いほど分泌されるレプチンの量も多くなるということです。
本来ならレプチンは食欲を抑えるホルモンですから、たくさん出ていればお腹がすかないはずです。ところが体脂肪の多い人はレプチンの働きが悪く、食欲を抑えられないということが起きます。これを「レプチン抵抗性」といいます。
実はこのレプチン、受け取り方に問題があって、体脂肪の多い肥満の人はレプチンを受け取る「受容体」が反応しにくくなってしまう(レプチン抵抗性といいます)ことがわかっています。
レプチンが出過ぎると脳の方で「もう受け取れない!」となって働きが悪くなってしまうので、脂肪細胞が多いと痩せづらいというわけです。いくら食べても満腹感を感じられない人はレプチン抵抗性の可能性があります。
[surfing_su_note_ex note_color=”#ffffff”]レプチンは、ただその分泌量が多ければいいというものではなく、レプチン受容体でしっかり出来る状態でないとうまく働かないのです。ですから、肥満細胞が多い人は、まずレプチンの濃度を低下させて適正な分泌量にし、活性化させるようにしないといけません。
女性はレプチンが増えすぎると大腸がんになるリスクが高まるというデータもあるので、やはり肥満は要注意です。
参考URL:http://publichealth.med.hokudai.ac.jp/jacc/reports/ktama4/index.html
食事制限のダイエットによる影響
ダイエットで食事制限をしている間は、満腹になるまで食べないのでレプチンの分泌量は低下していきます。
そして食事を普通に戻した時、レプチンが正常な量に戻るまで1ヶ月かかるといわれています。この間は満腹感を感じづらく、リバウンドを起こしやすい時期なのです。
グレリンというホルモンも重要
グレリンとは、レプチンとは反対に食欲を増進させる働きがあるホルモンで、胃から分泌されます。レプチンと同じように視床下部に情報が伝わり、「お腹がすいた」と感じるようになるのです。
このように、レプチンとグレリンは全く反対の働きをしています。ダイエットを成功させるには、レプチンにきっちり働いてもらいつつ、グレリンの上昇を抑えるということが大事になってきます。
レプチンを増やす方法は?
レプチンが足りない人は増やす方法を、また、元々やや太り気味でレプチン抵抗性がありレプチンがうまく働いていないという人はレプチンを活性化させる必要があります。
レプチンはホルモンなので、残念ながら簡単に補給できるサプリメントのような物はありません。食生活や運動などで増やしていくしかないんです。レプチンを増やす、または活性化させるための食べ物や生活習慣などをいくつかご紹介します。
レプチンを増やす食べ物
ジャンクフードや高カロリーな食事は、添加物だらけで身体に大事な栄養分がたりません。脳のレプチン受容体の働きを弱めてしまうので、カロリーだけでなく食べる内容も見直してみましょう。
たんぱく質を摂る
レプチンの原料はたんぱく質なので、レプチンの量を増やしたいのであれば質の良いたんぱく質を摂ることがとても大切です。鶏の胸肉、鶏のササミ、白身魚、豚や牛は赤身の肉、豆腐など、脂身の少ない高タンパク低カロリーな食材を選んで下さい。
たんぱく質の1日の摂取目安量は、体重1kgあたり1.1~1.2gなので、体重が50kgの人なら1日55~60gのたんぱく質が必要です。意外と少ないことに驚かれると思います。
1食あたりで体内に吸収できるたんぱく質の量は30gぐらいまでとされていますから、それ以上摂っても効果はあまり変わりません。ダイエットのことを考えると1日100g程度までにしておいた方がよさそうです。
[surfing_su_note_ex note_color=”#ffffff”]調理をなくても手軽にたんぱく質を摂る方法として、ツナ缶を利用するのもおすすめです。ツナの水煮缶にはおよそ11gのたんぱく質が含まれています。ツナ缶なら調理をする手間もなく、野菜と混ぜて食べることが出来るので食べやすいでしょう。
水煮缶ならカロリーは50kcal程度ですが、オイル漬けだとカロリーが高くなってしまうので、水煮缶を食べるようにして下さい。
オメガ3系脂肪酸を摂る
オメガ3系脂肪酸にはレプチンの濃度を下げる働きがあります。レプチンの濃度を下げたらダメなんじゃないの?と思うかもしれませんが、肥満ぎみの人はレプチンの分泌量が過剰なせいで受容体の働きが悪くなっています。
ですから、適正な分泌量に調整する必要があります。ダイエット中の人は、質の良いたんぱく質などとともに、オメガ3系脂肪酸も合わせて摂ることを心がけましょう。
オメガ3系脂肪酸は、下記のようなものに含まれています。
[surfing_su_note_ex note_color=”#ffffff”]- 鯖、さんま、鯵などの青魚
- えごま油、シソ油、亜麻仁油などの質の良い油
加熱に弱い脂肪酸なので、油はそのままでドレッシングなどに使い、魚は生で食べられるものは刺身で頂きましょう。加熱しないと食べられない魚は、煮魚などにして煮汁も一緒に食べると効率よく摂取できます。
亜鉛を摂る
亜鉛は身体の新陳代謝やホルモンの活性に関わるミネラルです。亜鉛が不足するとレプチンの生成に影響するので、積極的に摂りたい栄養素です。
亜鉛は、牡蠣、うなぎ、大豆などに多く含まれています。
食物繊維を摂る
元々脂肪細胞が多い人は、食物繊維を摂ることでレプチンの濃度を低下させることが出来ます。
大豆類や野菜をたっぷり摂るとレプチンを適切な量にコントロールしていきながら活性化させることができるので、たんぱく質とともにたっぷりの野菜をとるといいでしょう。
ゆっくり食べる
レプチンは食事を始めてから20分たってから分泌し始めるので、少なくとも食事には20分以上かけましょう。ゆっくり食べて20分経てば、いつもの量を食べていなくてもお腹が一杯になったと感じ始めるはずです。
一口30回以上噛む
ゆっくり食べるためには噛む回数を増やすことをおすすめします。たいていの人は10回も噛まずに食べ物を飲み込んでしまっているのではないでしょうか。
噛む回数を増やすと食事に時間もかかりますし、満腹中枢を刺激しやすくなります。30回といわずに、出来る人は40~50回くらい噛んでから飲み込みましょう。いつもの食事の量よりずっと少ない量で満腹感を感じるはずです。
一口ずつ箸をおく
ついつい早食いしてしまうという人は、一口食べるごとに箸を置きましょう。そして、30~50回噛んで飲み込んでからまた箸を持つ、というようにすれば、自然と食べる時間が長くなります。
ながら食いをしない
スマホを見ながら、本を読みながらなど、何かをしながら食事をすると、食べることに意識を集中できていないので、いつまでもだらだらと食べてしまいます。そうすると噛む回数も減って、20分たっても満腹中枢を刺激することが出来ないため、結果的に食べ過ぎてしまうのです。
食事をする時は「食べる」ということに集中して、しっかり噛んで食べるようにした方がいいでしょう。
適度な運動をする
適度な運動をして身体を動かすことはレプチンを活性化させることがわかっています。
小腹がすいたなと思ったら、何かを食べるのではなく、ストレッチをしたり室内でも出来るダンベル運動などをして身体を動かした方がいいでしょう。摂取カロリーも抑えられますし、レプチンの働きも活性化できて一石二鳥です。
睡眠時間をしっかりと確保する
レプチンは8時間以上しっかり眠ること(ハチカラ睡眠)でその分泌量が増えるので、なるべく睡眠時間を確保するように心がけて下さい。
睡眠時間が短いとレプチンが分泌されないばかりか、空腹ホルモンのグレリンが増えてしまうのでお腹が空きやすくなってしまいます。
アメリカのスタンフォード大学の研究では、睡眠5時間の人は、8時間の人に比べ、レプチン分泌量が15.5%減り、逆にグレリン分泌量が約15%増えました。
引用元:日経ウーマンOnline
同じくアメリカのコロンビア大学の研究によると、睡眠時間が7時間の人と比べて5時間の人は50%も肥満になる確率が高くなる、という結果も出ています。つまり、寝不足の人ほどレプチンが減って太りやすくなるということです。
グレリンの働きを抑えるのも大事
レプチンの働きを活性化させるとともに、グレリンの分泌を抑えることも大切です。成長ホルモンはグレリン値の上昇を抑えるので、質の良い睡眠を取って成長ホルモンをしっかり分泌するのも大切なことです。
また、少し強度のある運動をするとグレリンの分泌を抑えられます。お腹がすいたと思ったら、30分程度でいいので、ちょっときつめの筋トレなどをするといいでしょう。
レプチンを活用する際の注意点は?
レプチンを身体に適した分泌量でダイエットに役立てるためには何に注意をしたら良いのでしょうか。
自律神経のバランスを整える
レプチンの受容体は視床下部にあります。視床下部というのは自律神経のバランスも司っているので、レプチンと自律神経には密接な関係があります。
いくらたんぱく質を摂っても「8時間」という睡眠時間を確保しても、ストレスや疲労、または朝方になってから寝るなど不規則な生活をしていると自律神経のバランスが乱れます。
そうするとレプチンの分泌にも影響してしまうので、規則正しい生活をして上手にストレスを解消しましょう。そうすることで、レプチンをしっかりと活用することが出来ます。
高カロリーな食事はダメ
レプチンを増やそうとしてカロリーを無視したような食事を続けていると、かえってレプチンの働きが悪くなり、エネルギー効率の悪い身体になります。
過剰なエネルギーを摂取しすぎる、たとえば脂っこい高脂肪食を食べ続けるとこのメカニズムに「ゆがみ」が生じてきます。
高脂肪食を食べ続けると、やがてレプチンが視床下部で効かなくなり逆に食欲が促進される上に筋肉などでのエネルギー消費が低下し、糖尿病などの病気を引き起こす事態になってしまいます。
引用元:自然科学研究機構 生理学研究所
ダイエットのためには、当然のことながらカロリーも考えつつ、レプチンの働きを活性化させる食材を摂っていくことが大切です。
まとめ
レプチンはダイエットに役立ちますが、その分泌量が多すぎても少なくてもいけないのだということがわかりました。適量のレプチンを分泌してきちんと満腹感を感じるためにも、栄養バランスの良い食事と規則正しい生活もとても大切です。
ダイエットは単に食事を減らすだけでは続きませんから、レプチンを味方に付けて、上手に食欲をコントロールしながら成功させましょう!