空気が乾燥し始めると聞こえてくるのがインフルエンザ流行のニュース。予防接種をしても効果が定着するまでに時間がかかりますし、ウィルスの型が違えば感染してしまうこともあります。
インフルエンザや風邪を予防するには予防接種も大事ですが、手洗いとうがい、これが基本中の基本です。
そのうがいの方法なのですが、水でうがいするよりも紅茶でうがいをした方がインフルエンザや風邪を予防する効果が高いといわれているのをご存知でしょうか?
紅茶でうがいをするとなぜ予防の効果が高くなるのか、また、紅茶でうがいをする正しい方法などをご紹介します。
紅茶うがいをするとなぜインフルエンザ予防になるの?
普通に水でうがいをするよりも紅茶の方が効果的だといわれる理由は、その成分に秘密があります。
紅茶テアフラビンとは
紅茶テアフラビンとは紅茶の赤い色素の成分で、ポリフェノールの一種です。ポリフェノールという名前の物質があるわけではなく、お茶のカテキン、ブルーベリーのアントシアニン、大豆のイソフラボンなどをまとめてポリフェノールと呼びます。
紅茶テアフラビンはそのポリフェノールの中でもタンニン類に分類されています。タンニンとは紅茶や緑茶、渋柿などの渋味のもととなるもので、カテキン類の総称です。
紅茶テアフラビンの効果
緑茶にも紅茶にもカテキンが含まれていますが、紅茶テアフラビンは茶葉を発酵させることによりカテキンが変化して出来るものです。
紅茶も緑茶も元は同じ茶葉ですが、紅茶は発酵させて出来るお茶です。ですからテアフラビンは紅茶には含まれていますが、緑茶には含まれていないのです。
紅茶テアフラビンには、下記のような作用があり、身体を病原菌から守る働きがあります。紅茶でうがいをすると、これらの働きによってインフルエンザを予防できると考えられています。
[surfing_su_note_ex note_color=”#ffffff”]- 抗酸化作用
- 殺菌作用
- 抗ウィルス作用
- 抗がん作用
紅茶エキスは標準保存株のみならず、流行株ウイルスにも効果があるうえ、インフルエンザA型にもB型にも有効であることが確認された。
インフルエンザの型を選ばない
インフルエンザのワクチンには型があります。ですから、せっかく予防接種をしても型が違うウィルスにはかかる可能性があり、シーズン中に何度もかかる人もいるくらいです。
紅茶エキスはこのインフルエンザの型を選ばず、どの型にも有効だということが紅茶うがいをオススメする理由でもあります。
紅茶エキスは抗体と異なりウィルス型特異性がなく、A型ウィルスにもB型ウィルスにも有効であることは流行の型を予測する必要がない。
高いお金を払って打ったワクチンは型が外れれば効きませんが、紅茶うがいならどの型にでも対応でき、かつ、副作用の心配がありません。
紅茶うがいと緑茶うがいならどっちの方が効果があるの?
緑茶にも殺菌効果の高いカテキンが含まれているので、うがいの効果があることはわかっています。では、紅茶と緑茶、どちらの方が効果が高いのでしょうか。
茶エキスはマウスのインフルエンザウィルス感染性を阻止すること、カテキンを用いた野外実験でブタインフルエンザの自然流行を阻止することも明らかにした。
緑茶でも効果はあるのですが、紅茶テアフラビンは紅茶にしか含まれていません。緑茶と紅茶を比べると殺菌成分が多い紅茶の方が効果があるといえます。
ちなみに、紅茶>緑茶>塩水>水道水の順に殺菌効果が高くなります。どれも普通に家にあるものですから、どうせうがいをするなら紅茶でやった方が効果的でしょう。
紅茶を飲むだけでは効果はないの?
紅茶の成分がインフルエンザウィルスから体を守ることはわかりましたが、では紅茶を飲むだけではダメなのでしょうか。
紅茶を飲むだけでも、口の中の表面的なウィルスや雑菌を流すことは出来ます。ただ、うがいをすると口に中で水流が出来ることと、上を向いて大きく口を開けることで扁桃腺を開くことができます。
それによって喉の奥についたウィルスなども洗い流すことが出来るので、ただ飲むよりもしっかりうがいをした方が効果が高いといえます。
インフルエンザや風邪を予防するという目的で紅茶を使うなら、ただ飲むよりもしっかりうがいをした方が予防効果が期待できます。
紅茶うがいで期待できる効果は?
では、インフルエンザの予防以外に紅茶でうがいをすると、他にどのような効果が期待できるのでしょうか。
喉の痛みを和らげる
喉が痛い時に水分を摂ると少し楽になると思いますが、紅茶うがいをすれば喉を殺菌し、潤いを取り戻すことで喉の乾燥を防ぐことが出来ます。
乾燥からの喉を守り、ウィルスなどを消滅させることで喉の痛みを和らげます。
虫歯の予防
食事などによって口の中が酸性に傾くと虫歯が出来やすくなります。紅茶のカテキンの抗酸化作用によって口の中の酸化を防ぎ、アルカリ性に戻すことが出来れば、虫歯になりにくい環境を作ることができます。
歯周病を防ぐ
口の中の細菌によって歯茎が炎症を起こしたりする病気を歯周病といいます。40~50代になるとおよそ半数の人が歯周病にかかっているともいわれています。その歯周病の予防に紅茶うがいが役に立ちます。
紅茶のポリフェノールが歯周病菌を抑制する効果があることがわかっています。キリンの「紅茶と暮らし研究所」が行った実験によって、歯周病菌の生育を抑制するだけでなく、歯周病の原因となる酵素を阻害する働きもわかりました。
参考URL:http://www.kirin.co.jp/products/softdrink/gogoken/study/vol10_01.html
歯垢の沈着を防ぐ
紅茶に含まれるフッ素には歯垢の沈着を防ぐ働きがあるので、歯のエナメル質を強化するのに役立ちます。
歯垢がたまると口の中が酸性になりやすく、虫歯の原因にもなるので、紅茶うがいをすれば歯垢がたまるのも、虫歯も両方防ぐことが出来ます。
口臭予防
紅茶のカテキンは口臭の予防にも役立ちます。紅茶の消臭成分が口臭の原因の一つであるメチルメルカプタンを減少させ、口臭を予防してくれるのです。
メチルメルカプタンは歯周病が原因で発生することが多いといわれるにおいの元なので、紅茶でうがいをすれば、口臭も予防しつつ、歯周病の改善にも役立つでしょう。
紅茶うがいのやり方は?
紅茶のうがい液の作り方やうがいの方法をご紹介します。うがいは正しい方法で行うことで効果が出やすくなりますから、ぜひ参考にして毎日やってみて下さい。
うがい液の作り方
[surfing_su_note_ex note_color=”#ffffff”]- 紅茶の茶葉1gを熱湯100mlに入れ、5分以上抽出します。
- 抽出した液は2倍に薄めます。
うがい液の作り方はこれだけなんです!作ったうがい液は保存料などが入っていませんから、24時間以内に使い切って下さい。
作り方のポイント
[surfing_su_note_ex note_color=”#ffffff”]- 紅茶のエキスを十分抽出するため、必ず沸騰したての100度のお湯を使いましょう。
- 使うのはリーフティー、ティーバッグどちらでもOKです。
- 煮出す時は100度ですが、うがいをする時は人肌(37~38度)くらいが効果的です。
カテキンを十分抽出するためには温度が大事!でもそのままではうがいが出来ないので人肌まで冷まして使います。冷たい紅茶でうがいをすると喉に刺激を与えてしまうので、少し温かい程度の温度でうがいをしましょう。
どんな紅茶でもOK
うがい液を作る時間がない時は、市販のペットボトルの紅茶でもOKです。ただし、無糖のものにしましょう。糖分が入っていると、うがいの時に不快感があること、また、虫歯を予防するためも無糖がおすすめです。
茶葉の種類はアッサムがおすすめ
紅茶の茶葉には色々な種類がありますが、基本的にどの種類でもOKです。
ポリフェノール全体の量から見るとダージリンが最も多く含まれているのですが、テアフラビンの量だけ見るとアッサムがダントツです。うがいに使うならアッサムティーがおすすめです。
紅茶らしい紅系の色を表すテアフラビン量(TF、TF-3’G、TF-3G、TF-DG)について実験結果を見ると、アッサム100度抽出による液がテアフラビン量が突出しているということが言えます。
アッサムとダージリンをそれぞれどの温度で比較しても、アッサムのほうがダージリンよりどのテアフラビン量も多く溶出しています。
紅茶のカテキン(色素成分)がしっかり抽出できればいいので、一番茶ではなく出がらしでも大丈夫です。
紅茶うがいのやり方
[surfing_su_note_ex note_color=”#ffffff”]- 口に水を含んでぶくぶくうがいを1度します。
- うがい液を口に含んで、上を向いて「おー」と声を出しながら、ガラガラうがいをします。
- ガラガラうがいを10秒×3セット行います。
▼▼正しいうがいの方法はこちらの動画も参考にして下さい▼▼
声は「あー」でも「おー」でもよいのですが、声を出しながらうがいをすると喉がしっかり開くのでうがい液が喉の奥まで届きます。声を出しながらうがいをすると、水分を飲み込みにくいというメリットもあるためです。
また、喉の奥までうがい液を届けたいので、上を向くこともポイントです。
うがいの順番が大事
口の中には見えませんが菌がいっぱい!何億個もの菌で満ちあふれています。
外出先から帰った時は、外で拾ってきた菌やウィルスも口の中から体内に入ろうとしているので、そのまま普通に上を向いてうがいをすると、それらの菌を飲み込んでしまうことになります。
最初に口の中の菌を洗い流すために、ぶくぶくうがいで口をゆすいでからガラガラうがいをしましょう。
うがいのタイミング
インフルエンザウィルスなどは粘膜についてからわずか20分で体内に侵入するといわれています。ということは、20分おきにうがいをしないと感染から身体を守れないということになってしまいますが、ちょっと現実的な間隔ではありません。
外から帰った時はもちろん、とにかくうがいの回数を増やすことがポイントです。喉を乾燥から守ることがウィルスの侵入を防ぐからです。最低でも1日3回以上は行って下さい。
紅茶うがいの注意点
紅茶うがいでは、下記のような点に注意して行うようにしてください。
[surfing_su_note_ex note_color=”#ffffff”]- 砂糖やミルクを入れないこと
- あくまでもインフルエンザの予防策であり、治療ではないこと
- しっかり喉を開いてうがいをしないと効果が下がること
- 寝る前にするなら、歯磨きの前にする
紅茶の色素は歯に沈着しやすいため、紅茶うがいをしたまま寝ると歯の表面に色素が蓄積されていく可能性があります。紅茶でしっかりうがいをして喉の殺菌をした後は、歯を磨くか水を飲んで寝るようにしましょう。
まとめ
緑茶でうがいをすると効果があるのは昔から知られていましたが、紅茶の方が効果が高いというのは意外でした。でも、ティーバッグでもうがい液を作ることができますし、ペットボトルの紅茶でもいいなら簡単に続けられると思いませんか。
感染してしまってからうがいをしても遅いので、乾燥する季節はとにかくこまめにうがいをすることを心がけて、インフルエンザを予防して下さい。