日本人にとってもっとも身近な食材の「お米」でスキンケアができると、今、評判になっています。米のとぎ汁でパックをすると、驚くほどの美容効果があるのです。
あたり前に捨てていた「米のとぎ汁」の美容効果を知れば、多くの人が「今までなんてもったいないことをしていたのか」と思うことでしょう。
ですが、その一方で、捨てていたものを肌につけるということに抵抗を感じる人もいるようです。また、肌にとって安全なのかどうかも気になるところです。
ここでは、米のとぎ汁パックの効果と作り方や注意点、パック以外で美容におすすめの活用法について解説しましょう。
米のとぎ汁パックで期待できる効果は?
米のとぎ汁の美容効果は、国内だけでなく海外でも注目されつつあります。
なかでも、米のとぎ汁を利用したパックは、絶大な効果があるといわれていて、まさにコスト0円で美肌を叶えてくれます。
米のとぎ汁パックで実感できること
「絶大な効果」といわれている米のとぎ汁パックですが、その効果はパックをした直後から感じることができます。
- キメが整い、透明感が増す
- くすみが流れ落ちたようなイメージ(たった1回でも白くなったように感じるとの声があります)
- つるつるすべすべの潤いある肌になる
- 週に1回くらいのパックを続けると、3か月ほどでシミが薄くなる(ただし、個人差があります)
米のとぎ汁に含まれる成分
米のとぎ汁パックにはなぜ、それほどの美容効果があるのでしょう。その秘密は、米のとぎ汁の成分にあります。
「米ぬか」に美容効果があるということは昔から有名ですが、実は、米のとぎ汁にもほぼ同じ成分が含まれていることがわかっています。
米のとぎ汁に含まれている成分と期待できる効果を見てみましょう。
ビタミンC、ビタミンB群、ビタミンE、オリザノール
豊富なビタミンの働きにより、肌のくすみの解消や美白が期待できます。特に、オリザノールには紫外線を防ぐ働きがあるので、美白効果が望めます。
米セラミド(コメヌカスフィンゴ糖脂質=グルコシルセラミド)、ビタミンE、天然オイル成分
人間の体内の保湿成分セラミドに非常に近い米セラミドは、体内に吸収されやすく、皮膚を保護して潤いを保つ働きをします。また、皮膚のバリア機能を高める作用もあります。
さらに、若返りビタミンといわれるビタミンEと、とぎ汁に含まれている少量のオイル成分の相乗効果で、しっとりとした肌に導きます。
アミノ酸(システイン・プロリン・アルギニン)、ビタミンE、ビタミンB群、フェルラ酸
米のとぎ汁に含まれているアミノ酸は、メラニンの発生を抑制し、皮膚の再生を促すため、シミやそばかすを防ぐ働きをします。
ビタミンB群・ビタミンEには肌の新陳代謝を促す作用があるため、くすみの解消になり美白につながります。
フェルラ酸は紫外線を吸収し、また、メラニン色素を生むチロシナーゼにじかに働きかけてメラニンの生成を抑制します。
可能なのは表皮のケアのみ米のとぎ汁パックには、多くの美容効果や美白効果がありますが、肌の真皮まではケアをすることができません。
あくまで肌の表面に働きかけるにすぎないので、深くできでしまったシミを薄くはできても、完全に消すことは難しいといえます。
ビタミンC
抗酸化作用のあるビタミンCは、紫外線を浴びることでできるシミやシワを防ぐ際に必要な成分です。ビタミンCは、肌に潤いを保つコラーゲンの生成を促します。
デンプン、ビタミンB群
デンプンには油を吸着する性質があるので、肌の余分な脂を取り除いてくれます。また、ビタミンB群には、皮脂の分泌を抑えて肌を整える作用があります。
したがって、ニキビや吹き出物の改善につながるのです。
米のとぎ汁には細かいお米の粒子があり、それが角質を優しく除去するピーリング効果があるため、肌のターンオーバーを整えることも可能です。
米のとぎ汁パックのやり方は?
米のとぎ汁の効果を知って、「すぐにでも米のとぎ汁パックをやってみたい」「自分の肌で試してみたい」と思っている人も多いことでしょう。
トライしていただくための手順は以下のとおりです。
パックはいつ行ってもかまいませんが、寝ている間に肌のターンオーバーが起こるので、就寝前の夜の時間帯がおすすめです。
米のとぎ汁パックの手順
1.お米をすすぎ洗いする
最初のすすぎ水は捨てます。ゴミや虫、汚れがついている場合もあるので、たっぷりの水で手早く洗い流します。
2.お米をとぐ
お米を揉み洗いするイメージでとぎます。米粒をこすり合わせる感じで2~3分とぎますが、力を入れ過ぎないことがポイントです。
3.水を加える
しっかりとげたら、3合あたりに1カップ(200ml)の目安でお水を加えて、よくかき混ぜます。
白濁してトロリとしたとぎ汁が出来上がったら、瓶やボールなど別の器に移しましょう。
4.ラップをして冷蔵庫へ
出来上がったとぎ汁は、ラップをして冷蔵庫で5時間~1晩くらい置きます。
5.上澄み液を捨てる
下の方に白いクリーム状の沈殿物が溜まれば、上澄み液を捨てます。
6.クリーム状の沈殿物でパックをする
顔に塗って、3分~5分間、パックをします。
7.洗い流す
ぬるま湯を使って、こすらずに優しく洗い流します。
米のとぎ汁パックの注意点
米のとぎ汁パックは、自然で添加物のない安心できるものですが、注意しなければいけない点がいくつかあります。
高い効果のある米のとぎ汁パックですが、なかには体質に合わなくてアレルギー反応が起こる人がいます。いきなりパックをしないで、ひじの内側などの柔らかい部分でパッチテストをして、様子を見ましょう。
万が一、皮膚が赤くなったり、かゆみが出たりした場合には、米のとぎ汁美容は絶対に行わないようにしてください。
長くパックをすれば、それだけ効果があるように思われがちですが、そうではありません。
5分以上放置すると、クリームが乾いてしまうので厳禁です。乾いたクリームは、肌から水分を奪っていきます。
米のとぎ汁は、生ものなので日持ちがしません。常温なら3時間位、冷蔵庫に入れたとしても1日以内、できれば半日くらいで使い切ってしまいましょう。
変なニオイがする場合には、絶対に使用してはいけません。
無洗米ではとぎ汁の効果は期待できません。洗わずにそのまま炊けるように処理されているため、「米ぬか」に含まれている美容成分もすでに洗い流されています。
おすすめのアレンジパック
沈殿物だけのシンプルなパックが基本ですが、アレンジをすることもできます。
小麦粉を混ぜる
沈殿物のクリームが水っぽいと感じる場合には、小麦粉を混ぜて好みの固さに調節すれば使いやすいでしょう。
ただし、小麦アレルギーのある人には向きません。
酒粕を混ぜる
一度作った米のとぎ汁をパックだけでなく他にも有効活用したいという人には、沈殿物を取らないで、とぎ汁に酒粕を混ぜてパックするのもおすすめです
「酒粕パック」も美容効果があるといわれていますが、通常、酒粕を精製水で溶いてパックを作るところを、米のとぎ汁で溶いて作ります。酒粕と米のとぎ汁でWの美白効果が期待できます。
ただし、この場合も、パックが乾く前に洗い流すようにしましょう。
酒粕大さじ1+米のとぎ汁大さじ1
肌の弱い人は酒粕に含まれているアルコールが刺激になることがあります。レンジで一度温めてアルコールを飛ばしてから、冷ましたものでパックするとよいでしょう。
もしも、アルコールを飛ばしても、赤くなったり、肌に違和感があったりしたときには、すぐに使用を止めるようにしてください。
米のとぎ汁の美容への活用法は?
美容成分たっぷりの米のとぎ汁には、パックだけでなく多くの美容活用法があります。
米のとぎ汁洗顔
米のとぎ汁洗顔も肌のためにはかなりおすすめです。
洗った瞬間、ツルツルでしっとりとした手触りを感じることができます。続けることで美肌効果が期待できます。
- 米のとぎ汁を作って、容器に移す(パックのときと同様)
- いつもどおりにクレンジング、洗顔を行う
- 容器に移した米のとぎ汁をお湯で1.5倍位に薄めて、よく混ぜる(原液そのままでは刺激が強いため)
- 顔全体をパシャパシャと洗う(毛穴を広げる)
- 顔全体をやさしく包み込むような感じで、なでるように軽くマッサージをする(10回位)
- あごから頬へ、そっと押し上げるようにマッサージをする(指の腹を使って、同じく10回位)
- 同様に、頬から額へ向かってマッサージをする
- 唇と口の周りをやさしくマッサージをする(5回位)
- シミになっているところなど、自分が気になる部分にとぎ汁をなじませるような感じで、やさしくなでる(5回位)
- ぬるま湯で軽くすすぐ
- 常に下から上へと押し上げるように意識をする(逆にすると、たるみの原因になるため)
- 「洗う」のではなく、「美容液をつける」ような感じで行う
- 時間がないときには、細かいマッサージはなしで、顔全体を包み込むような洗顔だけでもOK
- 継続することが大切
高須クリニックの院長は、実際にクリニックの女性患者960名を対象として「米のとぎ汁洗顔」の実験を6か月間行いました。
そして、約90.3%の女性に「シミが薄くなった」などの美肌効果があったという研究結果を著書の中で公表しています。
(参照;最新版 シミ・しわ・たるみを自分で治す本 高須克弥・高須シヅ 著)
ヘアケアに使用する
ヘアケアでは、米のとぎ汁を洗髪中に使用します。シャンプーの前後のどちらでもかまいません。
余分な皮脂を吸着しながら保湿効果もあるので、頭皮のケアが可能です。そして、毛髪にはツヤが増して、サラサラで健康的な髪になります。
- やさしくマッサージしながら、頭皮や濡らした髪に米のとぎ汁を付ける
- 軽く洗い流す
- いつもどおり、シャンプーやトリートメント・リンスをする
米のとぎ汁に含まれている「イノシトール」という成分が、ダメージヘア予防効果(予防美髪効果)が顕著であると、クラシエホームプロダクツ株式会社が発表し、商品の開発に着手しています。
参照:クラシエホールディングス株式会社:米のとぎ汁由来「イノシトール」に予防美髪効果を発見 併せて、毛髪内部へ浸透状況の可視化に初めて成功
お風呂に入れる
1回分のとぎ汁をお湯を張った浴槽に入浴剤として入れます。お風呂を出る時には、シャワーで洗い流しましょう。
- 消臭効果(体臭のケア)
- 保湿効果(米の微粒子で角質が除去されると、くすみが取れて肌が潤います)
- シミ、シワの予防、改善
- お米の香りでリラックス
残り湯を洗濯に使うことはできません。
ハンドクリーム・ボディクリームとして使う
パックをするときに使う沈殿物に、オリーブオイルやココナッツオイルを加えると濃厚なクリームが出来上がります。
バスタイムにスペシャルボディケアとして使用することで、しっとりすべすべな肌になります。
ただし、最後には忘れずにお湯で洗い流しましょう。
まとめ
米のとぎ汁は、即効性のあるパックから洗顔やヘアケアなど、とにかく「スゴイ!」のひと言に尽きます。
身近なもので、これほど多くの美容成分が含まれているものは稀だといえるでしょう。
それも、米のとぎ汁は、ごはんを炊くときには必ず作ることができる、全くコストのかからない物なのですから。
もうとぎ汁を捨てるなんて考えられませんよね。今日からさっそく米のとぎ汁美容を始めてみませんか。