顔色のくすみは比較的若いうちでも現れやすく、悩んでいる方も多いかと思われます。
はっきりとした原因もわからず、自分なりに対策をしても一向に改善が見られないということはありませんか?
放っておくとくすんだ肌色がそのままが定着してしまうだけでなく、さらなる肌トラブルを招くおそれがあります。
なぜ黄ぐすみは起こってしまうのか、一度くすんでしまった肌は、もとに戻らないのか、黄ぐすみの原因と対策を紹介します。
肌の黄ぐすみが起こる原因は?
黄ぐすみは単なる日焼けや加齢による影響ではなく、健康に直結する問題と深く関わっています。
糖化の影響
たとえば炊きたての白いごはんを放置すると、時間が経つとともに黄ばんで固くなってしまいます。肌が黄色くくすむのもこれと同じ現象です。
「糖化」と呼ばれ、糖とタンパク質が結びつき、さらに熱を加えることで褐色もしくは黄色く変化します。
人間の体内で起こる糖化は、臓器を構成する細胞やタンパク質と血中の糖分が結びつき、体温で温められることにより発生します。
糖化が進行すると、最終的にAGEsという老化物質が生成されます。細胞に蓄積されたAGEsは骨や内臓はもちろん、肌の老化にも影響を及ぼします。
新陳代謝が低下し、古くなった角質や老廃物の排出がうまく行われず、くすみや黒ずみ、シミの原因になります。さらに骨粗しょう症や糖尿病、高血圧、動脈硬化などさまざまな病気を引き起こします。
つまり黄ぐすみはAGEsが体内に蓄積されているというサインでもあるのです。
カルボニル化の影響
カルボニル化という現象も黄ぐすみを起こす原因のひとつです。カルボニル化は紫外線などにより酸化した脂質が、体内のタンパク質と結びつくことにより発生します。
皮膚は大きく分けて表皮、真皮、皮下組織の三層で構成されていますが、カルボニル化は真皮そのものを黄色く変色させるため、糖化よりもカルボニル化のほうがより強い黄ぐすみを引き起こします。
ニトロ化の影響
糖化、カルボニル化に並ぶ黄ぐすみの原因として、ニトロ化が近年注目されています。ニトロ化とは紫外線を浴びることによりニトロ化タンパク質という物質が生成される現象です。
ニトロ化タンパク質は紫外線の照射量と加齢により増加し、肌の黄色化を生じます。
皮脂の過剰分泌
本来は肌を守るためにある皮脂も、過剰に分泌されると紫外線を受けて酸化し、暗くくすんだ顔色にしてしまいます。
酸化した皮脂は肌の新陳代謝を阻害し、古い角質の排出を妨げ色素沈着を起こし、しみやそばかすとなって残ります。先述したニトロ化、カルボニル化の原因にもなります。
肌の黄ぐすみを改善させる方法は?
スキンケアを徹底するだけでは、黄ぐすみはなかなか改善されません。まずは食事や睡眠などの生活習慣を変える必要があります。
糖化対策
一度AGEsに変質してしまったタンパク質をもとに戻すことはできません。しかし糖化は起こしたタンパク質はすぐにAGEsになるわけではなく、段階と時間を経てAGEsへと変化します。
AGEsになる前のタンパク質は、血中の糖度を減らすことで正常な状態へ戻すことができます。
低GI値の食品をとる
黄ぐすみの一因である糖化は、血中の過剰な糖分により引き起こされます。
糖分を摂ること自体は問題ありませんが、糖分の多いものばかり食べ過ぎて血糖値が急激に上昇してしまうと、処理しきれなかった糖がタンパク質と結びつき糖化が起きやすくなります。
血糖値の上昇をおさえるには、GI値の低い食品を積極的に取り入れてください。GI値とは血糖値の上がるスピードを数値化したものを指します。
- 野菜:キャベツ、小松菜、ほうれん草などの葉物、大根、ナス、ピーマン、トマト、えのき、エリンギ、しいたけなどキノコ類
- 穀類:パスタ(全粒粉)おかゆ(玄米)春雨
- 豆類:油揚げ、豆腐、おから、納豆、豆乳、ピーナッツ、アーモンド
- 海藻類:昆布、海苔、かんてん、もずく、ところてん
- 乳製品:バター、卵、牛乳、チーズ、プレーンヨーグルト
- 飲料:紅茶、緑茶、コーヒー、日本酒、ビール
そのほか肉、魚介類、果物はGI値が低い傾向にあります。
- 野菜:じゃがいも、にんじん、とうもろこし、じゃがいも、里いも、山いも
- 穀類:食パン、フランスパン、ロールパン、白米、もち、うどん、そうめん
お菓子、菓子パン、総菜パンなど、砂糖を使った食品は総じてGI値が高くなります。また低GIの食品として挙げられているヨーグルトや紅茶、コーヒーも砂糖が加えられたものは避けてください。
抗糖化作用のある食品
低GI値の食品とあわせて、糖化を阻止する働きのある食材を取り入れましょう。
高い抗糖化作用を持つ代表的な食材です。薬味や調味料として料理に取り入れるのはもちろん、生姜湯にして飲むなどさまざまな方法で活用できます。
緑茶をはじめとし、ドクダミ茶、ルイボスティー、甜茶、カミツレ茶(カモミールティー)、柿の葉茶、クマザサ茶、グアバ茶、シソ茶には抗糖化作用が確認されています。
また、市販されているカモミールティーには、ジャーマンカモミールとローマンカモミールの二種類がありますが、ローマンカモミールのほうがより糖化をおさえる効果があります。
優れた抗糖化作用のあるシナモンですが、日常で摂取する機会の少ない食材でもあります。カレーやコーヒーに入れたり、トーストにかけたり、少量ずつでも意識的に取り入れましょう。
レモンやグレープフルーツ、オレンジなどの柑橘類に含まれるクエン酸は、糖化を防止する働きがあります。ただし、果物にも果糖という糖分が含まれているので、食べすぎに注意してください。
血糖値を上げない食べ方
食べる順番も血糖値の上昇をおさえる重要な要素です。
最初に野菜やきのこ、海藻類など食物繊維の多いものを食べて、糖分を吸収しにくい状態を作ります。牛乳やヨーグルトなどの乳製品も、糖の吸収をゆるやかにする効果があります。
白米やパンなどの炭水化物はなるべく最後に食べるようにしましょう。
糖化を防ぐ調理法
AGEsは体内で起こる糖化によって増えるだけではなく、食材そのものに含まれている場合があります。
糖化は糖とタンパク質が結びついた状態で熱を加えることにより起きる現象です。焼く、揚げるなど高温で調理するとAGEsが発生しやすくなります。
食材をいきなり高温で熱するのではなく、あらかじめ低温で蒸す、弱火である程度加熱しておくなど下ごしらえをして、火を通す時間をなるべく少なくしましょう。
食事以外の生活習慣
血糖値は食後1時間の間にもっとも上昇します。血糖値が上がるタイミングでウォーキングやストレッチなど軽い運動をすると、糖分が消費され血糖値の急激な上昇をおさえることができます。
入浴はシャワーだけで済ませず、できれば週に2回ほどは、38~40℃のぬるめのお湯に20分ほどつかるようにしましょう。
代謝を促し、老廃物や古い角質の排出を助けるだけでなく、体温を上げることによりヒートショックプロテインというタンパク質を増やすことができます。
ヒートショックプロテインは体内に蓄積されたAGEsを分解する作用を持ちます。さらに紫外線によるダメージを回復し、メラニン色素を減らしシミをなくすなど、肌の状態も整えます。
飲酒や喫煙の習慣がある人は、ない人に比べてAGEsが蓄積しやすくなります。
特にお酒は、体内でアルコールを分解する際に生まれるアセトアルデヒトという物質がタンパク質と結びつき、糖化に似た反応を起こしAGEsを生成してしまいます。
睡眠時に分泌される成長ホルモンとメラトニンという物質が新陳代謝を促し、肌に蓄積されたAGEsが排出されやすくなります。
最低6時間は睡眠時間を確保し、特に成長ホルモンが分泌されやすい22時~2時のあいだは睡眠にあてるようにしましょう。
肌質を変える
黄ぐすみの進行をおさえるには、紫外線対策をしっかりと行い、くすみの原因となるメラニンの生成や脂質の酸化を防ぐ必要があります。
また、近年は肌の糖化やカルボニル化に着目した基礎化粧品がさまざまなブランドから販売されています。
基礎化粧品
敏感肌向けの基礎化粧品を開発しているディセンシアの中でも、エイジングケアに特化したシリーズです。
糖化の進行を抑制するコウキエキスとAGEsに直接作用するシモツケソウエキスが糖化を予防、改善します。
B.Aシリーズは全てのアイテムにEGクリアエキスとYACエキスという、AGEsの生成をおさえる成分が含まれています。
さらにオリジナルの保湿成分NAOエキスが、しわやたるみなど黄ぐすみ以外のエイジングサインにも働きかけます。
出典:dermed.jp
デルメッドのホワイトニング化粧品にはフェイス用、スポット用の二種類のクリームとシートマスクがあります。
いずれも麹をもとにしたコウジ酸という美白成分が含まれており、メラニンの生成とAGEsの発生を同時に抑制し、黄ぐすみを防止します。
こちらもコウジ酸を含んだ基礎化粧品のラインです。
二種類の美容液と、濃いシミなど気になる部分をピンポイントでケアできる繰り出し式のスティック状美容液の3種類がラインアップされています。
出典:amazon.co.jp
カルボニル化の防止、改善に特化した化粧品はまだ少ないのですが、資生堂は国内の化粧品ブランドの中でもいち早くカルボニル化の原因とメカニズムを発見し、オリーブ葉エキスがカルボニル化抑制に有効であると発表しています。
エリクシール ホワイトリセットブライトニストはこのオリーブ葉エキスを含み、カルボニル化をおさえながら肌のくすみやしみ、そばかすも予防します。
出典:amazon.co.jp
ニトロ化の抑制に有効な碁石茶エキスを配合したシート状マスクです。
紫外線対策
紫外線はカルボニル化、ニトロ化を進行させるだけでなく、色素沈着、しみ、しわなど黄ぐすみ以外にもさまざまな肌トラブルの原因となります。
日射しの強い夏だけでなく、紫外線は一年中降り注いでいます。外出の際はしっかりと日焼け止めを塗り、紫外線対策を心がけましょう。
皮脂対策
肌の水分量が足りていないと、乾燥を防ぐために過剰な皮脂が分泌されてしまいます。まずは保湿を十分におこない、皮脂と水分のバランスを整えてください。
皮脂を気にするあまり洗顔やクレンジングをやりすぎてしまうと、肌を守るために最低限必要な皮脂まで失われ、肌荒れのもとになってしまいます。
敏感肌や乾燥肌の原因になるので、お手入れの際はなるべく肌をこすらず、刺激を与えないようにしましょう。
甘いものや脂っこいものを避け、緑黄色野菜やきのこ類、海藻類など食物繊維を豊富に含む食材を積極的にとりましょう。特に以下の栄養素を含む食材は、皮脂の抑制に効果的です。
- ビタミンA:魚介類、葉菜類、にんじん、とうがらし、レバー、バター、チーズ、卵
- ビタミンC:葉菜類、ブロッコリー、カリフラワー、ピーマン、大根、さやえんどう、さつまいも、とうがらし、いちご、柿、柑橘類
- ビタミンE:ナッツ類、豆類、魚介類、レバー、ほうれんそう、卵、マーガリン、バター、牛乳
- ビタミンB2:魚介類、レバー、大豆、卵、乳製品
- B6:魚類、肉類、大豆、くるみ、玄米、ピーナッツ、じゃがいも、バナナ、卵
- B12:魚介類、レバー、卵、チーズ、のり
肌の黄ぐすみを隠すための対策法は?
体の中から黄ぐすみを解消するために生活習慣や基礎化粧品を見直しても、効果が急激に現れるわけではありません。
ある程度黄ぐすみが解消されるまでは、メイクで肌色を補正する方法もあります。
コントロールカラーを使う
ファンデーションのみで顔色をカバーしようとすると、時間が経つにつれてファンテーションが崩れもともとの肌の色が透けてきます。
さらにファンデーション自体の色もくすむため、素顔よりもいっそう顔色が悪く見えてしまいます。
ファンデーションを塗る前に下地効果のあるコントロールカラーを使用することで、ファンデーションのもちがよくなり、厚塗りしなくても透明感のある明るい肌色を演出できます。
黄ぐすみをカバーするには、ブルーまたはラベンダーのコントロールカラーが効果的です。
ブルーのコントロールカラー
肌に透明感を与え、黄みだけでなく頬や小鼻の赤みもカバーします。
出典:amazon.co.jp
伸びのよい乳液状の下地です。細かい粒子状のラメが肌の色ムラを補正し、ほどよい自然なツヤを与えます。SPF35/PA+++と日焼け止めとしての効果もあります。
出典:amazon.co.jp
比較的お手頃な値段で手に入る乳液状のコントロールカラーです。こちらもSPF50+/PA+++と、日差しの強い日でも紫外線をしっかりとカットしてくれます。
ラベンダーのコントロールカラー
肌にほどよい血色感を残しながら、黄みを取り払い透明感を与えます。もともと色白で、ブルーでは顔色が悪く見えてしまうという方にはこちらのカラーがおすすめです。
出典:amazon.co.jp
ジェル状のテクスチャでさっぱりとした使い心地のコントロールカラーです。SPF20/PA++と少し弱めですが、日常使いには十分な紫外線防止効果があります。
出典:amazon.co.jp
クッション型のコントロールカラーです。塗る際に手が汚れず、塗り直しや重ね塗りも簡単にできます。SPF34/PA++と、こちらも日常の紫外線対策に向いています。
ポイントメイクの色を変える
コントロールカラーで顔全体の色味を整えたら、リップやチーク、アイシャドウなどのポイントメイクも、なるべく黄みを目立たせない色を使いましょう。
顔色が黄みがかっていると、ついオレンジやベージュ系のカラーを選びがちですが、あえて赤みよりのピンクやローズピンクなど黄みの少ないカラーを取り入れることで、肌の透明感がアップします。
赤みの強いこちらのチークは、一見するとかなり濃い色に感じられますが、薄く肌に乗せれば自然な血色感を与えながら透明感のある肌を演出します。
出典:amazon.co.jp
ビジネスにもプライベートにも使える、明るく可愛らしい印象のローズピンク。マンゴーの甘い香りも魅力的です。
鮮やかな色味に抵抗がある場合は、ローズベージュやコーラルピンクなどのややくすんだ色でも効果があります。
アテニア独自の「隠しピンク設計」が肌のくすみを飛ばし、顔色を明るくします。青みを含んだ華やかな色合いながら、肌なじみの良いローズカラーです。
出典:amazon.co.jp
クリームチーク特有の内側からにじみ出るような血色感が特長です。リップにもチークにも使えるので、メイクに統一感が出ます。
なお、淡いブルーやラベンダーのコントロールカラーは肌の黄みカバーしますが、アイシャドウにブルーやグリーンなどの寒色を使ってしまうとかえって黄みが目立ってしまうので注意してください。
まとめ
体の中から起こる黄ぐすみは、正しい対策をとらなければ時間とともにどんどん進行してしまいます。
生活習慣を見直し、体質を変えることで、黄ぐすみの改善、予防が見込めるだけでなく、将来の健康を守ることにもつながります。