冬になると風邪予防に使われる、うがい薬のイソジン。口臭に良いとの評判ですが、効き目のある口臭とそうでない口臭があります。
イソジンが口臭予防に良いとされる理由と、どのような口臭によいのか、また使う際の注意ポイントなどをまとめました。
イソジンが口臭予防に効果的な理由は?
口臭には色々な原因があります。イソジンが効果を発揮する口臭は、主に雑菌が原因の口臭です。
口の中の殺菌、消毒ができる
イソジンに含まれるポピドンヨードは、風邪のウイルスや菌だけでなく、口の中で増殖した菌を殺菌する働きがあります。
医療の現場では手術の際の手や傷口の消毒などにも使われており、強力な殺菌力を持ちながらも人体には優しい消毒成分なのです。
歯磨きが不十分だったり、唾液の量が少なかったりして口の中が乾燥すると雑菌が増えます。それが口臭の元になりますが、イソジンはそれらの雑菌に対して効果を発揮します。
特に、朝起きた時は口の中の雑菌の数が寝る前よりも増えていますから、起きてすぐにイソジンでうがいをすると、殺菌ができて口の中もさっぱりするでしょう。
ブルーチーズや納豆などの臭いの強い食べ物を食べた時に、口の中にその臭いが残って不快に感じることがあると思います。
そのような場合もイソジンの殺菌・消毒作用が役に立ちます。
臭い玉とは膿栓(のうせん)と呼ばれるもので、喉の奥、扁桃腺の表面の細かい穴に、食べカスや細菌の死骸が詰まって臭いを発します。
殺菌作用に優れたイソジンは、臭い玉による口臭にも効果を発揮します。
イソジンで口の中を殺菌したとしても、食べカスがまだ詰まっていたり、唾液が少なくてまた菌が増殖してくることで口臭が再び出てくることがあります。
イソジンで一時的に口臭を消したとしても、原因そのものを取り除かなければ、また数時間で口臭がしてくるでしょう。
イソジンでも消せない口臭
強力な殺菌作用があっても、消すことのできない口臭があります。
にんにく、ニラなどは腸で臭い成分が吸収されて、それが血中を巡ります。ですから、翌日になっても口臭がするのです。
体内から出てくる口臭は雑菌が原因ではないので、イソジンでうがいをしても取り除けません。
歯垢、歯周病、虫歯、口腔カンジダ症など口の中の疾患からくる臭いは、歯や歯茎の治療をして臭いの元を断たない限り、イソジンでうがいをしても口臭は消えません。
イソジンが殺菌できるのは表面的な菌だけなので、歯や歯茎に根付いている菌まで殺菌する力はあまりないからです。
胃腸など内臓の調子が悪いことで起こる口臭は、雑菌が原因ではありません。消化不良を起こしているときや便秘などでも口臭は出てきますが、イソジンではこれらの口臭を消すことはできません。
イソジンは口臭以外にどういった効果があるの?
イソジンが口臭予防に役立つことはお分かり頂けたと思いますが、他にも様々な働きを持っています。
風邪を引いて喉が痛い時
イソジンはその殺菌・消毒作用により、咽頭炎や扁桃炎に良いとされています。風邪を引いてしまった時に、喉の痛みを軽減させるのに役立ちます。
風邪の予防
イソジンでうがいをすることで、風邪の予防効果も期待できます。ポピドンヨードでうがいを3ヶ月することで、風邪やインフルエンザによる欠席率が低下した、という実験結果もあります。
ポピドンヨードは他の成分を含むうがい薬と比較して、風邪予防の効果が高かった、ということが分かりました。
イソジンの殺菌力は、身体に悪い菌だけを殺すのではありません。身体によい作用をもたらす菌まですべて殺してしまうため、単なる水でうがいをするよりも風邪を引きやすくなってしまうことがあります。
実際、京都大学で行われた実験によると、水だけでうがいをした人よりもイソジンでうがいをした人の方が風邪を引きやすかったということがわかっています。
どちらかというと、イソジンはのどの炎症を抑える働きの方が期待できそうです。
(参考:http://www.ajpmonline.org/article/S0749-3797(05)00258-8/fulltext)
イソジンを使う際のポイントは?
薬局で売っているイソジンには色々種類がありますが、正しく使って口臭を予防していきましょう。
うがい液の濃度を守る
うがい液は濃い方が効果的なわけではありません。口の中に刺激を与えてしまうこともあるので、表示されている濃度は必ず守ってください。
水で15~30倍に薄めてからうがいをします。薄めるのが面倒な人は、薄めずにそのまま使えるタイプも販売されています。
飲み込まないこと
大量に飲まなければ健康上の問題が起きることはない、とされていますが、イソジンは飲むことを目的としたものではありません。
まれに嘔吐や腹痛が起きることもあるので、飲まないように気をつけてください。
長期にわたって使いすぎないこと
イソジンを使うのは、口臭が気になるときや風邪を引いたときだけにしておきましょう。
長期にわたって使用し続けることで、口の中が乾燥してしまう可能性があるといわれています。ドライマウスの人は特に気をつけて下さい。
口の中が乾燥すると、かえって口臭が強くなってしまいます。
イソジンは茶色い液体です。これはポピドンヨードに含まれる要素の色ですが、これによって歯が茶色く変色してしまう可能性があります。
歯の詰め物や被せものなどに使われている材料のうち、銀を使っているものは変色する恐れがあります。
持病やアレルギーのある人は注意
使用上の注意に、薬でアレルギー症状を起こしたことのある人は、事前に医師に相談するよう書いてあります。
また、甲状腺機能障害のある人も同様です。
イソジン以外でおすすめのうがい液は?
イソジン以外にも口臭予防におすすめのうがい液があります。
医薬品、医薬部外品
まずは薬として売られているものや、医薬部外品として一定の効果が認められているものをご紹介します。
出典:amazon.co.jp
かつてイソジンは明治から販売されていましたが、販売権がシオノギ製薬に移管されました。その代わりに明治から販売されるようになったのが「明治うがい薬」です。
有効成分がポピドンヨードであることはイソジンと同じなので、同様の口臭予防効果が期待できるうがい薬です。
ネオステリングリーンの主成分は塩化ベンゼトニウムという成分で、口の中を殺菌、消毒し、口臭を予防します。
スペアミントとハッカが配合されているので、香りもさわやかなので、イソジン独特の味やにおいが苦手な方にはこちらの方がおすすめです。
ただし歯科で処方されるものなので、近所のドラッグストアなどでは購入できません。
出典:amazon.co.jp
歯医者さんでもよく勧められるうがい液です。喉のうがいというよりは歯肉炎、歯周病の予防のための洗口液ですが、口臭の予防にも効果的です。
医薬部外品なので、処方箋がなくても購入できます。
民間療法として使われているうがい薬
民間療法として昔から親しまれている、うがい薬として使われてきた食品にも口臭予防効果が期待できます。
太白ごま油
ここで使うごま油は、韓国料理などに使われる香りの良い、茶色のごま油ではなく、無味無臭の透明なごま油です。
インドのアーユルヴェーダでも使われているオイルで、毒素を排出する働きもあります。口の中の雑菌をしっかりからめとってくれるので、口臭予防に役立つのです。このごま油を使ってうがいをします。
ごま油は1度加熱処理をしてから使います。この加熱処理をキュアリングといいます。オイルの酸化を防ぐために行います。
鍋にオイルを入れて、およそ90度まで温めたら火を止めます。余熱で100度以上まで上がったことを確認して、粗熱が取れるまで冷まし、保存瓶に移して保存します。
そのオイルを再度人肌に温め、大さじ1程度口に含んでうがいをします。口の中全体に行き渡るように、数分かけてゆっくりクチュクチュとうがいをし、最後にガラガラうがいを30秒行います。
うがいをしたオイルはビニールや紙コップに入れて捨てます。排水口には流さないように気をつけてください。
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塩水
塩水は唾液の分泌を促進するので、特に唾液の量が少なくて口の中が乾燥しているために起こる口臭に有効です。
歯周病などの口の中の疾患が原因の口臭に効果がないのはイソジンと同じですが、雑菌が原因の口臭には効果を発揮します。
濃度は0.9%位が良いといわれています。目安としてはコップ1杯の水に小さじ1/3くらいです。舐めてみて、少ししょっぱいと感じ類程度の濃度です。
紅茶
紅茶の赤い色素には強力な殺菌効果があることが分かっています。インフルエンザや風邪の予防にも良いといわれており、その殺菌力で口臭も予防します。
普通に淹れた紅茶でも良いのですが、やや濃いめに淹れるとさらに効果が高くなります。紅茶の茶葉1gを熱湯100mlで抽出します。
それを2倍に薄めてうがい液として使います。
緑茶
紅茶ほどではないのですが、緑茶に含まれるカテキンも殺菌作用が認められている成分です。また、緑色の藻とである葉緑素にも消臭効果があります。
まとめ
イソジンの殺菌力で、風邪の菌やウィルスだけでなく、口の中の雑菌まで退治できることが分かりました。
ただ、口臭は原因を元から断たないと、何度イソジンを使っても再び臭いが出てきます。
あくまでも一時的な予防策として使い、口の中の清潔を保つために、口臭ケアをきちんとしていきましょう。