加齢とともに、肌の乾燥やたるみ、しわやしみ、くすみが気になってくる人は多いでしょう。
それでも、これらは老化現象なので歳をとったらある程度仕方のないものだとあきらめてはいませんか?
実はこの老化現象、加齢によるものではなく、紫外線によるダメージが原因の光老化なので、避けられないものではないのです。
そこで今回は、光老化とは具体的にどういったものなのか、そのメカニズムや普通の老化との違いから、肌への影響や段階別の症状、どのように防げばよいのか、回復させる為の改善策はあるのかについて紹介していきます。
光老化とは?
一般的な老化は、加齢による生理的な現象であり、光老化は紫外線などの環境要因が関係する現象です。
衣類などで覆われている部分より、年中外に晒されている顔の方が乾燥やしわが気になるように、老化現象の8割は光老化なのです。
光老化の原因
紫外線には、UVA、UVB、UVCの3種類がありますが、このうち、光老化の原因となるのはUVAとUVBです。
特に、UVAはガラスなども通して肌の真皮まで到達するので、エラスチンやコラーゲンなどの弾性繊維を破壊します。
光老化のメカニズム
紫外線を浴びることでメラニンが大量に生成されたり、活性酸素が増えたりします。これは、元々肌に備わっている防御本能なのですが、メラニンや活性酸素が増加することで、肌の黒ずみやしみを引き起こしてしまいます。
また、肌の真皮にあるエラスチンやコラーゲンなど、肌の弾力を保っているものが紫外線に攻撃されることで、肌にハリやうるおいがなくなり、しわや乾燥を引き起こすのです。
光老化による肌への影響は?
光老化による肌への影響と段階別の症状についてみていきましょう。
肌の表面にある角質層が紫外線によるダメージを受けて、修復しようとする防御本能から、角質が分厚くなります。
その結果、肌の新陳代謝が悪くなり、バリア機能が衰えて、乾燥しやすくなり、ざらざらした手触りになるのです。
紫外線から肌を守るために、肌の表皮にあるメラノサイトがメラニンを生成します。通常、加齢とともに肌の色は薄くなりますが、紫外線の影響でメラニンが多いと色が濃くなります。
また、メラノサイトが紫外線のダメージによって上手く機能しなくなると、メラニンが過剰に生成されて、色素沈着を起こし、しみになります。
弾性線維がダメージを受けて変性し、塊のようになることを弾性線維症と言います。
弾性線維は、肌の弾力を保つためのものなので、上手く機能しなくなると、肌にハリがなくなり、たるんできます。
紫外線を浴びたことによって増えた活性酸素が、コラーゲン組織を攻撃して、肌の弾力を失わせます。
弾力がなくなって肌がたるんでくると、太くて深いしわができてしまうのです。
しみがひどくなって、皮膚がんの一歩手前の状態になるのが、日光角化症です。肌細胞のDNAが紫外線による長期的なダメージを受けることで引き起こされます。
光老化をただの老化と侮らず、命に関わる症状なので注意しましょう。
光老化を防ぐ為の対策法は?
日常的に紫外線対策をする
環境省が作成した「紫外線環境保険マニュアル2015」を参考に、日常的に、次のような紫外線対策をすることを心がけましょう。
紫外線の強い時間帯を避けて外出する
気象庁がホームページで公開している紫外線情報をチェックしてから、外出時間帯を選ぶようにしましょう。
UVインデックス3以上の時に外出する際は、注意が必要です。
紫外線の天気との関連性や時間帯での違いなどについてご紹介していますので、こちらも合わせてご覧ください。
→ 紫外線は曇りと晴れの日だとどちらが強い?季節や時間帯での違いは?
なるべく日陰で過ごす
どうしても、紫外線が強い時に外出しなければならない時は、日陰を探して利用しましょう。
日陰に入るだけでも浴びる紫外線量は日向よりも半分くらいカットできますが、地面からの照り返しによる紫外線には注意してください。
日傘や帽子、衣服、サングラスでガードする
日差しが強い時に外出する際は、日傘や帽子を利用するようにしましょう。
昔ながらの麦わら帽子は、つばが広く、通気性良いので紫外線対策にはもってこいです。しかし、帽子や日傘は、太陽から降り注ぐ紫外線には効果的なのですが、大気中に散乱する紫外線には効果がないので、注意が必要です。
紫外線が多い時の外出には、体を覆う部分の多い、襟付きの長袖シャツがおすすめです。織目や編目がしっかりしているものを選ぶようにして、生地が透けるものは避けてください。
素材としては、木綿やポリエステルが良く、色の濃いものが良いでしょう。
ただし、生地が分厚いだけだと通気性が悪くなって、暑い日などには熱中症のリスクも高くなるため注意しなければなりません。
目の紫外線対策は意外に見落とされがちですが、目に紫外線を浴びることは、水晶体や網膜に異常を引き起こす原因になります。また、目の周りの皮膚は特に薄くなっているので、紫外線による影響が出やすいのです。
目と目の周りの紫外線対策としては、外出の際にサングラスをかけるようにすることです。サングラスの側面からも紫外線が侵入するので、顔にフィットするものを選ぶようにしましょう。
ただし、色の濃いサングラスは目に入る光の量が少ないため、瞳孔が開き、紫外線を吸収しやすくしてしまうのでNGです。
日焼け止めを上手く活用する
PAはUVAを防ぐ効果の指標で、+の表示が多いほど効果が高くなっています。散歩や買い物など日常生活の範囲内で過ごす時、炎天下でスポーツや海水浴を行う時など、季節や天候、用途に合わせて使い分けるようにしましょう。
日焼け止めは、2、3時間置きに塗り直すことで効果が持続できます。
下記のページで日焼け止めの塗り方について詳しくご紹介していますので参考にしてみてください。
→ 日焼け止めの効果的な塗り方&塗り直しのポイントや注意点をチェック
ブルーライトにも注意する
スマホやパソコンなどから発するブルーライトも、光老化を進行させることが分かっています。ブルーライトを浴びると目に負担がかかることは知られていますが、UVAと似た波長のため、肌の奥まで浸透してダメージを与えるのです。
ノーメイクでのスマホやパソコンの使用は避ける、ブルーライトカットフィルムを使用するなどして、ブルーライト対策も十分に行う必要があります。
ブルーライトにも効果的な日焼け止め
光老化から回復する為の改善策は?
光老化してダメージを受けた肌でも、ある程度回復させることは可能です。次のような方法で、光老化を改善していきましょう。
皮膚を活性化させて若返らせる
ダメージを受けた肌を活性化して若返らせるには、ヒートショックプロテインを増やすことが大切です。
体をあたためることで増やすことができるのですが、特に、手軽にヒートショックプロテインを増やすことができるのが入浴です。
↓
ヒートショックプロテイン(たんぱく質)が分泌される
↓
痛んだ細胞を修復してくれる働きがあることから肌が活性化される
ジョブチューンという番組内で、ヒートショックプロテインを増やす入浴法を試された40代の女性3名の方に、入浴前と入浴後の肌年齢を計測してもらいました。
入浴前の肌年齢が49歳→入浴後 41歳に【8歳若返り】
2人目入浴前の肌年齢が40歳→入浴後 33歳に【7歳若返り】
3人目入浴前の肌年齢が45歳→入浴後 37歳に【8歳若返り】
平均で約8歳も若返っていました。ちなみに60代の女性に試した結果でも、肌年齢が4歳と7歳若返ったそうです。
その肌年齢を若返らせる入浴法というのは、42℃で10分間、入浴するだけだったのです。
ただし、あまりやり過ぎると体が慣れてしまい、うまくヒートショックプロテインが出なくなります。
基本的には毎日やるものではなく、週に2回くらい行うのがおすすめです。
抗酸化作用のある食べ物を摂取する
活性酸素の増加を抑えるために、次のような抗酸化作用のある栄養素を食事に取り入れましょう。
手羽先、鶏皮、牛すじ、フカヒレ、エビ、カレイ、ゼラチンなど。
ビタミンEアーモンド、ひまわり油、あゆ、たらこ、うなぎ、カボチャ、大根葉など。
βカロチンしそ、モロヘイヤ、にんじん、パセリ、ほうれん草、春菊など。
ビタミンC赤ピーマン、ゆず、アセロラ、レモン、芽キャベツ、キウイなど。
ポリフェノール赤ワイン、緑茶、カカオ、ブルーベリー、蕎麦、大豆など。
肌の保湿を心がける
肌が乾燥していると、肌のバリア機能が働かず、ターンオーバーも乱れてしまうので、光老化を進行させてしまいます。加齢とともに、肌の水分や油分量は減っていくものなので、保湿を意識したケアを行うように心がけましょう。
また、紫外線による肌のダメージを回復させるためにはビタミンAが必要です。ビタミンA配合の化粧品を選ぶと良いでしょう。
まとめ
紫外線による肌へのダメージは、目に見えないまま蓄積されていくので、知らないうちに光老化が進行していることもあります。
逆に、光老化について正しく知って適切なケアを行っていれば、その進行を止めることができるのです。
肌の老化を加齢のせいにしないで、若々しく美しい肌を取り戻すべく、光老化対策を行っていきましょう。
最近では、光老化対策として飲む日焼け止めを活用されている方も増えています。