健康志向の方やモデルの間で、麻の実から採れる“ヘンプオイル”がスーパーオイルとして新たに注目されています。
亜麻仁油やエゴマ油、ココナッツオイルなど、様々な健康オイルブームが続いていますが、今話題のヘンプオイル(麻の実油)にはどのような効果が期待できるのでしょうか?
今回はヘンプオイルの特徴、効能、使い方などを詳しくご紹介します。
ヘンプオイルとは?
ヘンプオイルとは、麻(ヘンプ)の種子を原料とした油脂で、ヘンプシードオイル、麻の実油、大麻油とも呼ばれます。大麻を原料としていますが、種子から油成分のみを抽出して作られるため、麻薬として扱われる陶酔成分(THC)は含まれません。
食用としてのヘンプオイル
ヘンプオイルはその高い栄養価と、トランス脂肪酸(不飽和脂肪酸)を含まない健康志向のオイルとして注目されています。製品により違いがありますが、ナッツ系の独特の風味があります。
食用油としては栄養素を豊富に含む未精製のものが主流で、オイルは明るい緑色をしています。
黄金比率の必須脂肪酸を約80%含む
ヘンプオイルに含まれる脂肪酸の内、約80%が必須脂肪酸(オメガ3、オメガ6)で構成されています。オメガ3脂肪酸とオメガ6脂肪酸の割合は1:3で、厚生労働省が推奨する必須脂肪酸の摂取割合1:4に最も比率の近い食用油です。
γ-リノレン酸(GLA)を2~4%含む
ヘンプオイルは「γ-リノレン酸(ガンマ・リノレン酸)」を成分として直に摂取することができる貴重な食用油として注目されています。γ-リノレン酸はオメガ6脂肪酸に分類される成分で、ビタミンFとも呼ばれています。
通常は体内でリノール酸から合成される成分ですが、リノール酸の過剰摂取やアルコールの飲み過ぎ、ホルモンバランスの乱れなどから体内でのγ-リノレン酸の生成が止まり、体調不良に繋がる可能性もあります。
ヨーロッパなどでは医療にも用いられている成分です。
化粧用としてのヘンプオイル
ヘンプオイルには抗菌性の性質があるため、その特性を活かし市販の化粧品や石鹸、シャンプー、洗剤などにも配合されています。スキンケアとしてオイル単体でも使用でき、さらっとした軽い使用感と、浸透性・保湿性の高さが特徴です。
化粧品用として販売されている製品は不純物を取り除いているためほぼ透明色で、香りもありません。
ヘンプオイルとカンナビスオイルの違い
ヘンプオイル(麻の実油)と同じく大麻を原料にしたオイルに、「カンナビスオイル」というものがあります。
カンナビスオイルは大麻の使用が許可されている国で扱われる医療大麻で、鎮痛・沈静・催眠・抗癌作用の他、食欲増進や嘔吐の抑制などの効能があります。
原料が大麻であることから効能が混同されがちですが、ヘンプオイル(麻の実油)には上記のような効能はありません。
ヘンプオイルを使う事で期待できる効能は?
ヘンプオイルに含まれる成分により、以下の様な効果が期待できます。
[surfing_su_note_ex note_color=”#ffffff”]- 生活習慣病の予防・改善
- 動脈硬化・心筋梗塞の予防
- 鬱症状の軽減
- 老化予防効果
- アンチエイジング効果
- アレルギー症状の緩和
- アトピーの改善
ヘンプオイルに含まれる必須脂肪酸の働きを以下に詳しくご紹介します。
リノール酸の摂取による効果
オメガ6脂肪酸であるリノール酸は、血中コレステロール値や中性脂肪値を一時的に低下させるため、生活習慣病の予防・改善の効果が期待できます。
過度の摂取はアレルギー症状を悪化させたり、大腸癌のリスクを高めるなどのデメリットもありますので、過剰摂取にならないよう注意が必要です。
α-リノレン酸の摂取による効果
オメガ3脂肪酸であるα-リノレン酸は、体内でDHAやEPAに変換されます。
DHAやEPAは脳内の細胞膜の構成成分として利用される他、血液をさらさらにすることで動脈硬化や心筋梗塞の予防したり、DHAによる脳細胞の活性化などの効果も期待できます。
また、リノール酸に対して競合的な働きをすることから、リノール酸の過剰摂取を原因とするアレルギー症状の抑制も期待できます。
鬱病患者のα-リノレン酸・DHA・EPAの体内蓄積量が健常者に比べて低いことから、α-リノレン酸に鬱症状の軽減効果があるとも考えられています。
γ-リノレン酸の摂取による効果
γ-リノレン酸には皮膚の健康維持(美容効果)や、血圧・LDLコレステロール値・血糖値の低下などの効果があると言われています。
アトピー性皮膚炎の諸症状である“痒み”への有効性が臨床試験で明らかになり、ヨーロッパではアトピー性皮膚炎の治療薬としても使用されている成分です。
その他にも月経前症候群(PMS)や関節リウマチなどへの効果も期待でき、現在も研究が進められています。
ヘンプオイルの使い方は?
ヘンプオイルには食品グレードのオイルと化粧品グレードのオイルがあります。それぞれの使い方をご紹介します。
食用のヘンプオイルの使い方
スプーン1杯を食事にプラスする形で摂取します。ヘンプオイルは酸化しやすいオイルですので、加熱調理や作りおきには向きません。食事の際に必要分だけ用意しましょう。
摂取方法には以下のようなものがあります。
[surfing_su_note_ex note_color=”#ffffff”]- スプーンから直接飲む
- 手作りドレッシングの油として使う
- スムージーや飲み物に混ぜる
- おかずにかける
1日あたり、大人の場合は大さじ1~2杯、子供の場合はティースプーン1~2杯、乳児は9ヶ月頃からティースプーン1/3程度を目安に摂取しましょう。
お腹がゆるくなることがあるため少量から試し、一日の摂取目安量を超えないように注意してください。
ただ個人的な感想としましては、アマニ油などと比べると味に癖がありますので、直接飲むのがきつい場合は、ドレッシングとして活用するのがポピュラーな摂り方です。
下記にレシピをご紹介しておきます。ただ材料を混ぜ合わせるだけなので簡単です。
- ヘンプオイル 大さじ2
- めんつゆ(3倍濃縮など) 大さじ1
- ヘンプオイル 大さじ1
- ごま油 小さじ1
- 酢 大さじ1
- オリゴ糖(または甘味料) 大さじ1
- 醤油 小さじ1
- 塩・コショウ 少々
- ヘンプオイル 大さじ1
- マヨネーズ 大さじ1
個人的には、最後のマヨネーズドレッシングが一番合うかなと思いました。サラダとの相性もいいですが、ゆで卵につけても美味しかったです。
ちなみにヘンプオイルでマヨネーズを作る場合は、下記の材料を混ぜ合わせればヘンプオイルのマヨネーズを作ることができます。
[surfing_su_note_ex note_color=”#ffffff”]- ヘンプオイル 大さじ1
- 豆乳 50ml
- お酢 小さじ1
- 塩 少々
化粧品としての使い方
化粧品グレードのヘンプオイルは、オイル単品でスキンケア・ボディケア・ヘアケアに使用できます。手作り化粧品や手作り石鹸の材料としても人気の高いオイルです。
オイルそのものに抗菌性の性質があるため、アトピー用の保湿オイルとしてもおすすめです。
食品グレードと化粧品グレードの違い
食用オイルは、風味や味、栄養素の含有量などを重視し、食べることを前提に作られています。一方、化粧用オイルは、使用感、肌刺激や浸透性などを重視し、肌に塗ることを前提に作られています。
食用油をスキンケアに使用する方もいますが、肌トラブルの原因になることもありますので、注意が必要です。使用目的に合ったグレードのものを選ぶようにしましょう。
まとめ
ヘンプオイルはまだ取扱いメーカーも少なく、名前や効能などの情報も無関係のオイルと混同されがちです。誤って目的と異なるオイルを購入しないように注意しましょう。
また、食品とはいえ油ですので、過剰摂取は健康被害に繋がる可能性もあります。摂取目安量を守り、体調や体質に合わせて使用しましょう。
あくまで個人的な意見ではありますが、食用目的ということであれば、アマニ油の方が摂りやすいかなとは思いました。