入浴法を間違えると亡くなることもあることをご存知でしょうか?
下記のグラフは、家庭内での浴槽内での溺死及び溺水、浴槽への転落による溺死及び溺水を集計されたものです。
10年前と比べて約1.7倍も、浴室内での死亡数が増えているのがわかります。
出典:http://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_safety/release/pdf/160120kouhyou_2.pdf
入浴中に死亡した人数は、なんと年間約1万9000人。交通事故死亡者数のおよそ5倍だそうです。
※ヒートショックが原因で死亡された方の死亡数や統計については、公表されていませんでした。
さらに入浴中の事故死の全体の5割が冬に集中しているということで、寒い時期は特に注意が必要となってきます。
今回の11月18日のジョブチューンでは、入浴で亡くなる原因のひとつとして考えられているヒートショックから身を守る方法を温泉療法専門医の早坂信哉先生が教えくれました。
ヒートショックとは?
急激な温度変化、寒暖差で血圧が急上昇するということです。
上記のように、一見、普段行いがちな行動で、実は血圧が約40近くも上がる可能性があるのです。
ひどい場合には、心筋梗塞や脳梗塞を起こす可能性もあり、特に高齢者はヒートショックで亡くなる割合が多いことから注意が必要です。
ヒートショックを防ぐ為の温度差の目安
冬の平均温度差については、3℃~5℃以内を目安にするとよいそうです。
国土交通省では下記のようにすすめています。
- 暖房居室と非暖房居室の温度差:5℃以内
- 廊下とトイレの温度差:3℃以内
ヒートショック なりやすい人
- 65歳以上の高齢者の方
- 高血圧や糖尿病の方
- 動悸がしたり、心拍数やリズムが一定でない不整脈の方
- 眠っている間に呼吸が止まる睡眠時無呼吸症候群の方
- 42℃以上など熱い風呂が好きな方
- 太り気味な方や脂質異常症の方
- アルコールを飲んだ後にお風呂に入る方
特に65歳以上の方は注意が必要で、血圧の変化が起こりやすく、生理機能も低下していることから、体温の温度差の影響も受けやすくなります。
さらに、寒いといった皮膚の感覚が低下しているので、寒さを自覚しにくくなっていますので注意しましょう。
ヒートショックを防ぐ為の入浴法 6つのポイント
1.脱衣所や浴室は暖かくしておく事
電気ストーブなどを置いて、暖かい居間と脱衣室の温度差は、5℃以内にする。
できれば浴室にも暖房を置く方がよいが、できない場合はお風呂のお湯をためる場合にフタを閉めないで開けて湯気で温めます。
または、浴槽にお湯を張る時に、高い位置からシャワーでお湯を入れてはることで、浴室を暖めることも可能です。
ちなみに浴室に入れるお湯の温度が高いほど、リスクも高くなることから、お湯の温度は41℃以下で10分以内にあがりましょう。
2.できれば日没前に入浴をする
日没後は外気温が低くなり、脱衣所や浴室との温度差も開いていくことから、ヒートショックになるリスクが高まります。
身体の機能として、温度差への適応が優れている時間帯は、午後2時~4時頃だと言われていることからも、日没前に入浴を済ますのが、入浴のタイミングとしては良さそうです。
全国の日の出日の入り時間をチェックすることができます。
3.飲酒後や食後すぐの入浴を避ける
飲酒時や食後1時間以内は血圧が下がりやすい状態なので、食後だと1~3時間くらいは空けてから入るようにしましょう。
飲みすぎている場合は、その日の入浴は避ける方が無難です。
4.入浴の前後にコップ1杯の水を飲む
入浴の前後に水分を補給しておくことで、体内の水分不足による高血圧を防ぐことができます。
5.湯船に入る前に足元から掛け湯をして入浴する
心臓から遠い所から徐々に慣らしていくために、必ず足元から掛けて、体をお湯の温度に徐々に慣させるのがポイント。
6.湯船からはゆっくりと立ち上がる
入浴時は水圧がかかり血管が収縮していますので、この状態でパッと立ち上がると、水圧がなくなって血管が開いている状態で、血液が頭に上がっていかなくなります。
立ちくらみや貧血を起こしやすく、転んだりすることもあるので、注意が必要です。
立ち上がる際には、手すりや浴槽のへりに手を置くなどして、ゆっくりと立ち上がるようにしてください。
ヒートショックなどのリスクがあるので、シャワーだけでいいのかと思われる方もいるかもしれません。
ただ、毎日全身浴を行い全身の血液の流れがよくなることで、以下のようなメリットがありますので、できるだけ全身浴を行うようにしましょう。
- 筋肉がほぐれる
- 細胞が活性化
結果として事故や怪我などを防ぐことが可能になります。
毎日お風呂に入ると健康的に長生きができるというデータもあり
毎日入浴している人と、週2~3回の入浴、またはシャワーのみの人で比較した場合、65歳以上の5年後の要介護リスクは、1.85倍低いというデータがあります。
出典:日本温泉気候物理医学会 2011年
ヒートショックが多いのは以外な地域だった!?
ヒートショックが起こりやすい地域というのはデータとして見つかりませんでしたが、東京都健康長寿医療センターが行った「入浴中心肺停止状態(CPA)発生の実態」という調査データがありましたので、ご紹介します。
高齢者1万人当たりの入浴中の心肺停止件数が多い地域ワースト5は、下記の地域でした。
1位:香川県
2位:兵庫県
3位:滋賀県
4位:東京都
5位:和歌山県
反対に入浴中の心肺停止件数が少ない地域ベスト5は、下記の地域でした。
1位:沖縄県
2位:北海島
3位:山梨県
4位:青森県
5位:高知県
このデータを見て、北海道や青森県は気温が低いのになぜ?と疑問に思われる方も多いのではないでしょうか?
ヒートショックは、温度の変化が原因で起こるものなので、北海道や青森県は、昔から外気温が低いので、お風呂場にヒーターを付けているなどの対策をとられているご家庭が多いからではと思われます。