発芽玄米は血糖値が気になる方が食べても大丈夫?玄米との違いなど

発芽玄米食事

日本人の主食である「白米」。しかし、血糖値が高めの方にとっては、「糖類が多く含まれているため、積極的な摂取は控えてほしい」食品の一つとなっています。

そこで白米の代わりに薦められているもの、それが「玄米」であり、中でも注目されているのが「発芽玄米」です。

そこで今回は、発芽玄米と血糖値の関係について、解説していきます。

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発芽玄米は血糖値が気になる方が食べても大丈夫?

玄米

血糖値が気になる方の中には「玄米も炭水化物だから、血糖値を上げてしまうので控えるべきなのでは?」と考えている方もいらっしゃるでしょう。私が病院で指導をしていた間、積極的に薦めていたものの一つが実は「玄米」でした。

なぜ、看護師である私は「玄米」を積極的に薦めたのでしょうか?この章では炭水化物と血糖値について、そして玄米を薦めていた理由について、解説していきましょう。

炭水化物は「体を動かすエネルギー」

炭水化物は、「たんぱく質」「脂質」と並び、三大栄養素の一つとされており、「糖類と食物繊維の総称」です。

数ある栄養素の中で、この三つがあげられている理由。それは、「人が生きていく上で欠かすことのできない栄養素」だからです。

人が生きていくためには、常に心臓を動かし、血液を循環させて、新鮮な酸素とエネルギーを全身に送り届けなくてはいけません。

3大栄養素のうち、タンパク質は主に体を動かす筋肉を作り出す栄養素であり、炭水化物と脂質は体を動かすエネルギーを作り出します。身体を動かすエネルギーを作り出すために、適度な炭水化物の摂取は欠かすことができないのです。

「炭水化物ダイエット」が医療現場で推奨されていない理由

医者

近年話題の「炭水化物ダイエット」。炭水化物のみを控えることでエネルギー量を抑え、身体を一時的に飢餓状態にすることで痩せるという方法です。

「炭水化物ダイエット」について、医学的には積極的に推奨されていません。それは以下の2つの理由から医療現場では炭水化物ダイエットが推奨されず、「栄養バランスのよい食事」が奨励されています。

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理由1
一時的にも飢餓状態にしてしまうことで、ダイエットを終了した時点での「再吸収」が進みやすくなること。
理由2
炭水化物だけを摂取しないことが、将来的にどのような弊害が出るかについて、医学的データが確立されていないこと。
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発芽玄米に多く含まれる「食物繊維」

炭水化物は「糖類」と「食物繊維」の総称です。炭水化物=血糖値を上げる食品、として知られてしまっていますが、実は炭水化物の一部である「食物繊維」には、むしろ「血糖値の上昇を抑える働き」があります。

食物繊維そのものは、とても消化に時間がかかります。そのため、食物繊維を多く取るとそれだけ消化に時間がかかり、糖の吸収もゆるやかになる、というわけです。

特に白米よりも多く食物繊維を含む発芽玄米は、血糖値が気になる方へ摂取を控えるどころか、むしろ積極的に選択していただきたい食材の一つとなっています。

発芽玄米と玄米の違いは?

玄米

お米は収穫された時点では、何層もの厚い殻に覆われており、そのまま食べることはできません。食用とするためには、不要な部分を「精米」する必要があります。

では、元々は同じ「お米」がどのように白米、玄米、発芽玄米と分けられるのでしょうか?

白米は玄米から「ぬか」「胚芽」を除いた状態

みなさんがご飯と聞くとまず思い浮かべるのは、真っ白なお米でしょう。そもそも、日本人は長い間、玄米を主食としていました。

しかし、精米技術が発達し、より消化しやすく、甘みを感じやすい「胚乳」の部分のみを残す精米ができるようになりました。これが「白米」の状態です。

玄米とは、白米の状態にぬかや胚芽を取り除いていない状態をいいます。

玄米と発芽玄米の違いは「胚芽が発芽しているかどうか」

近年でてきたのが、玄米の中でも「胚芽の部分を発芽させている状態」である「発芽玄米」です。

昔から、玄米は白米に比べて、栄養素を多く含んでいることがわかっていました。しかし、白米に比べて硬いために噛みにくく、また甘みも抑えられてしまうため、白米に比べてうまみが感じにくく、敬遠されがちという現状がありました。そこで登場したのが、「発芽玄米」です。

発芽玄米は通常の玄米に比べてさらに栄養素が高く、しかもぬかの部分が軟らかいために、玄米のような食べにくさはありません。そのため、「食べるのが大変な玄米」よりも、「食べやすく栄養価の高い発芽玄米」が勧められるようになりました。

発芽玄米を食べることで期待できる効果は?

玄米ご飯

白米よりも玄米、玄米よりも発芽玄米をお勧めしている理由をご説明してきました。次に、発芽玄米を食べることによって期待できる効果を、ご紹介していきましょう。

白米に比べて噛む回数が増える

発芽玄米は、玄米に比べるとぬかの部分が軟らかくなるため、食べやすくなっています。一方で、白米に比べるとその柔らかさは若干劣るため、白米よりも「多くの回数を噛んで飲み込む必要」があります。

食事を良く噛むことで、消化をよくする効果の他に、満腹感を得やすくなるという効果もあります。そのため、特に糖尿病の方が悩む「つい食べ過ぎちゃう」といったことも、発芽玄米に替えることによって減らせる効果が期待できます。

白米に比べて栄養価が高い

白米は、甘さと消化のしやすさを突き詰めた結果、栄養素も一緒にかなり低くなってしまっています。実際に、発芽玄米は精製米に比べてビタミンB1は4倍、ビタミンEは3倍、食物繊維は2倍という調査結果もでています。

同じ主食でも、白米を発芽玄米に替えるだけでより多くの栄養素を摂取することが可能となるのです。

発芽玄米を食べることで何か危険性はあるの?

発芽玄米

ここまで、発芽玄米を食べることでのメリットをご紹介してきました。しかし、メリットがあるということは一方で必ずデメリットも存在します。

そこで、発芽玄米を食べることでの危険性についてご紹介していきましょう。

食物繊維が豊富なことによる弊害

食物繊維は、消化に時間がかかる、ということは先ほどご説明しました。そのため、消化機能が弱っているとき、例えば風邪をひいているときや、疲労が蓄積していて胃の調子が悪い時などは、発芽玄米を食べることで消化不良を起こし、下痢になってしまう可能性が否定できません。

発芽玄米は玄米に比べると、消化のしにくさや硬さは改善されていますが、それでも白米に比べると消化しにくい部類に入ります。そのため、胃腸の調子が悪い、もしくはもともと胃腸が弱い方は、発芽玄米を食べることでさらに体調が悪化してしまう可能性があるため、お勧めできません。

玄米の「フィチン酸」が有毒!?

「発芽玄米」と検索をかけていると、検索ワードの一つとして「副作用」「有毒」が出てきます。これらの原因を探ってみると、どうやら玄米に含まれている「フィチン酸」という栄養素がミネラル吸収を阻害するため有毒だ、ということが言いたいようです。

確かに、飢餓状態でミネラルが極度に不足しているような状態でフィチン酸を過度に摂取すると、ミネラルの吸収を阻害してしまうかもしれません。しかし、少なくとも日本国内において通常の食生活を送っていれば、まず極度のミネラル不足となることはありませんし、吸収が阻害される心配もありません

[surfing_su_box_ex title=”百聞は一見にしかず!病院主催の「健康教室」に参加しよう” box_color=”#ffb647″]

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講義内容が勉強になることはもちろんのこと、場合によってはプロへ直接、自分の気になる健康や病気について、相談することもできます。また、病院へ体調が悪い時以外に行くことで、「ここの病院ってこんな雰囲気なんだ」と第三者の目線で病院を知ることもできます。

気になる健康情報があっても、自分で直接調べることは難しいことです。そんな時の解決方法の一つとして、「病院主催の健康教室がある」ということを、ぜひ覚えておいていただければと思います。

実際、主催する側の本音としては、毎回参加者が少なく「もっと参加してもらえないか」と考えている病院がほとんどなので、ぜひ積極的に参加していただけたらと思います。

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発芽玄米を利用する際の注意点は?

玄米をスプーンですくっている様子

白米に比べ、発芽玄米は糖尿病の方や血糖値が気になる方にとって、利点が多いということをお伝えしてきました。そこで、実際に発芽玄米を利用するにあたり、注意していただきたい点をまとめました。

白米に比べて、高価である

近年、日本においてはお米の生産量に比べて消費量が減少しているため、「コメ余り」の状態となっています。そのため、ひと昔前に比べて、白米の値段はだいぶ安くなりました。現在、おおよそ白米5キロをスーパーで購入しようとすると、1500円程度が相場となっています。

一方、発芽米は「お米を発芽させる」手間があるため、どうしても白米より価格は上がってしまいます。発芽米として有名なファンケル社の「発芽米」は平成28年9月現在、4キロで約3000円と、白米と比較すると2倍以上となっています。

メーカーによって若干の差はあるものの、「発芽玄米は白米に比べて高価である」ということが言えます。

農薬が残留している可能性が、白米に比べると高い

白米は、胚乳部分を覆っているぬかを綺麗にすべて取り除いているため、農薬が残留している可能性は極めて低くなります。

一方、発芽玄米はぬかの部分も軽度残しているため、農薬を多く使っているお米の場合、白米に比べて農薬が残ってしまっている可能性があります。そのため、商品も産地や信頼できるメーカーが製造しているか、よく確認してから選ぶようにしましょう。

近所のお米屋さんに直接行き、無農薬や極力農薬を使っていないお米を紹介してもらうと、品質管理という面もより安心です。

保存方法は必ず記載方法に従って行う

発芽玄米は、玄米の状態でさらに「水などに浸して発芽を促す」という行程を経ています。そのため、白米などのように完全に乾いた状態で出荷されているものに比べ、乾燥が弱く、菌が繁殖しやすい食品だといえます。

よって、保存する際には他のお米と同様ではなく、必ず商品に記載されている「保存方法」を守り、菌が繁殖しない状態で保存するようにしましょう。

発芽玄米の作り方は?

玄米を炊いている様子

玄米と聞くと、多くの方が「一度水に浸して軟らかくする必要があるわりに、美味しさを感じにくい」という感想をお持ちかもしれません。しかし、研究が進んだ現代においては、発芽玄米を手軽においしく食べられるようになりました。

では、実際に発芽玄米の作り方について、紹介しましょう。

発芽玄米は、「水につける必要なし!」

玄米を主食とする場合、手間となっていたのが「ぬかを軟らかくするために水につける」という作業です。しかし、発芽玄米の場合はそういったことをせずに直接白米同様にすぐ炊飯することができます。その理由は、玄米を発芽させる行程にあります。

玄米を発芽玄米にするために行うこと、それは「ぬるま湯に浸ける」ということです。こうすることで、胚芽の発芽を促します。

この行程において、すでに「水につけている」ため、ぬかの部分も軟らかくなるため、自宅でわざわざ水につけるという行程が省かれる、というわけです。よって、発芽玄米を炊く場合は、白米と同様の行程を行えば大丈夫です。

はじめは白米2に対し発芽玄米1の割合からスタート

いくら発芽玄米が玄米に比べ食べやすくなったとはいえ、その食べやすさは白米よりも劣ります。そのため、始めから発芽玄米100%で食べてしまうと、白米とのあまりの違いに閉口してしまうかもしれません。

そこでお勧めなのが、「白米と発芽玄米を混ぜる」ことからスタートすることです。おおよそ、白米2に対し発芽玄米1の割合からスタートすると、違和感もそれほどなく、100%白米に比べて栄養価の高いご飯を食べることができます

まとめ

発芽玄米は、メリットが多く、特に血糖値が気になる方にはぜひおすすめしたい食品の一つです。

高価なため、すぐに変更することは難しいかもしれませんが、ぜひ今回ご紹介した内容を参照いただき、まずは「白米に少し混ぜてみる」程度から、始めてみてはいかがでしょうか?