タトゥーとは入れ墨のことですが、頭にタトゥーを施す「ヘアタトゥー」をご存知ですか?新たな薄毛対策として今注目を浴びています。
海外では認知度も高くポピュラーになってきているようですが、日本ではまだまだ聞き慣れない名前です。
薄毛に悩む女性におすすめのヘアタトゥーとはどのようなものなのか、誰でも出来るものなのか、メリットやデメリットなど詳しくまとめました。
ヘアタトゥーとは?
タトゥーというとちょっと怖いというイメージを持っている方もいるかもしれません。ヘアタトゥーとは、地肌に直接染料を入れることで毛髪が増えたように見える施術のことです。
発祥地はイギリスで、正式名称を「スカルプマイクロピグメンテーション」といいます。
薄毛治療ではないので毛が生えてくるわけではありませんが、従来の治療や薄毛対策で効果のなかった人が行う施術として日本でも2016年頃から始まりました。
髪が薄くなって目立つ分け目や生え際などの頭皮に、ポツポツと毛穴のように直接染料を入れることで、自然に髪が増えたように見せることが出来ます。
髪のボリュームが増えるわけではないですが、毛根のようなタトゥーが入ることにより地肌が目立たなくなるので薄毛が気にならなくなります。
加齢による薄毛以外にも、傷があって頭髪が薄くなってしまった場合や、円形脱毛症の箇所にも施術をすることが可能です。
ヘアタトゥーのメリット
ヘアタトゥーはカツラや増毛とは違い、このようなメリットがあります。
ヘアタトゥーは、女性はもちろん、未成年でも薄毛に悩んでいる人なら施術を受けることが出来ます。
カツラは外れたりずれたりする心配がありますが、ヘアタトゥーにはそのような心配がありません。
カツラと違い、汗や雨を気にする必要がありません。海やプールももちろんOKです。
最近ではカツラもずいぶん通気性が良くなってきたようですが、それでも素材や頭皮を覆う面積によっては蒸れやすくなります。
でもヘアタトゥーならそのような心配がありません。暑い日に帽子をかぶっていても蒸れることがなくさわやかなままです。
カツラは使う素材にもよりますが、地毛や人の毛を使って作ると小さいものでも数十万円、大きくなると数百万円かかることもあります。
ヘアタトゥーなら、クリニックにもよりますが30万円前後で施術を受けることが出来ます。
ヘアタトゥーは地肌を染めているわけですから、髪が伸びてもカツラのように細かなメンテナンスは基本的に必要ありません。
ただし、年齢とともに頭皮の状態は変わっていくので、人によって期間はまちまちですが、数年に1度のメンテナンスが必要です。
アフターケアもきちんとしてくれるクリニックで施術を受けた方がいいでしょう。
ヘアタトゥーのデメリット
薄毛対策としてはいいことづくめのような気がしますが、デメリットはあるのでしょうか。
入れ墨をするということは針を刺すのですから、それなりに痛みがあります。この点はカツラや増毛にはないデメリットだといえるでしょう。
1度入れたら消えない、というのはメリットでもありますが、同時にデメリットでもあります。
染料が劣化したり薄くなってくることはありますが、落ちることはありません。通常のタトゥーと同じように除去する方法もありますが、当然皮膚へのダメージは甚大です。
安易な気持ちで行うと後悔することもありますから、よくよく考えてから施術を受けることが大切です。
至近距離で見ない限りまずばれないとは思うのですが、万が一タトゥーだとばれた場合に、温泉施設やプールなどの公共の施設では入場を断られる可能性もあります。
日本ではまだまだタトゥーが定着しておらず、薄毛対策のためのタトゥーであってもファッションのためのものと混同される恐れもあることを考えておいた方がいいでしょう。
皮膚にタトゥーを入れてくれるところは割とたくさんありますが、頭皮専用で行ってくれるところはまだまだ多くありません。
メンテナンスのことを考えると腕のいい、信頼できる医師のいるクリニックで施術を受けたいですが、大都市かその近くに住んでいないと施術を受けにくいのが現状です。
ヘアタトゥーに向いている人
ヘアタトゥーに向き不向きはあるのでしょうか。まずは向いている人からみていきましょう。
女性は男性の用に頭頂部だけなくなってしまうとか、生え際がどんどん後退してくるということは少なく、全体的に薄くなってボリュームダウンするパターンが多いと思います。
そんな方にこそヘアタトゥーは向いているんです。毛穴のようなタトゥーを増やすことで全体的に自然にボリュームアップしたかのように見せることが出来ます。
長年同じところで分けていたためにそこが薄くなってしまうことがあると思います。そのように部分的な薄毛を自然にカバーするのにもヘアタトゥーは適しています。
女性用のウィッグも増えてきましたが、1日中つけていると頭皮に皮脂や汚れがたまりやすくなるなど肌トラブルも心配です。
また、スポーツをする人などは、激しい動きで外れないかというのも不安だと思います。そのような方にこそ、ヘアタトゥーがおすすめです。
ヘアタトゥーに向いていない人
ヘアタトゥーが出来ない、または向いていない人はどのような人でしょうか。
アレルギー体質の方は染料が合わない場合もあります。
きちんとしたクリニックで施術を受ければパッチテストもしてもらえますが、その際にアレルギー反応などが出てしまうとヘアタトゥーは出来ないでしょう。
出来ないわけではありませんが、頭皮が硬いと染料が定着しにくいようです。頭皮マッサージなどをして頭皮を柔らかくして、硬い状態を改善していく必要があります。
頭皮に染料を入れるので、頭皮トラブルが多い人は出来ない場合があります。頭皮が日焼けしている場合も施術を断られる場合があるので注意しましょう。
ヘアタトゥーのやり方は?
初めてでも怖がらなくて大丈夫。カウンセリングから施術後の流れまでを説明しましょう。
カウンセリング
まずは事前の入念なカウンセリングからスタートです。どこにどのくらいのタトゥーが必要なのかということをしっかりと確認してから施術に入ります。
急に薄毛が改善されるとばれてしまうので、少しずつ増やしていけるように施術の頻度をどのくらいにするかということも相談します。
不自然にならないように、髪の色と染料を合わせたり、生え際などをどのようなラインにするのか、密度はどのくらいにするかということも細かく決めていくので、要望があればしっかり伝えましょう。
施術
きちんとしたクリニックであればパッチテストをして、問題ないとなれば施術に入ります。
どのくらいの範囲に施術するのかにもよりますが、小さい箇所なら1~2回、数カ所もしくは広範囲に行う場合は2~5回程度の施術になります。
アフターケア
施術当日はシャンプー不可です。若干赤みや腫れが出ることがありますが、だいたい数日で治ります。治らない場合はすぐに医師に相談しましょう。
施術後は頭皮が敏感になっています。汗をかくほどの運動や飲酒は避けましょう。入浴は可能ですが、シャンプーはできないのでさっとシャワーを浴びる程度にしておきます。
施術後肌が落ち着くまで、1週間~10日くらいは頭皮に刺激を与えないように注意します。帽子やヘルメットなど頭が蒸れるようなものは長時間かぶらない方がいいでしょう。
ヘアタトゥーの料金はどのくらいなの?
実際施術するとなったら、料金はどのくらいかかるのでしょうか。
ヘアタトゥーの料金の相場
料金はクリニックにもよりますし、施術する範囲によっても変わってきます。カツラや増毛は本数で決まりますが、ヘアタトゥーは面積で料金が決まると思ってください。
小さな円形脱毛症のような場合は5万円~10万円程度、生え際や分け目などの場合は15万円~20万円程度のクリニックが多いです。
クリニックによっては、1cm四方で1万円、など分かりやすく料金表示をしてくれているところもあります。
全体的に密度を上げたい、もしくは生え際も分け目も数カ所一度に施術したい、となると少し料金も上がって10万円くらいから高いと50万円くらいになります。
カツラほどの頻度は必要ありませんが、やはり染料が劣化してきたり、年齢とともに頭皮の状態が変わってくるとメンテナンスが必要ですから、その時の費用も発生します。
1回数万円というクリニックもありますし、メンテナンスの時間で「1時間○円」というところもあるので、それも合わせて確認しておく必要があります。
ヘアタトゥーの気になる疑問
ヘアタトゥーに関する疑問や不安などについてまとめました。
ヘアタトゥーの見た目に関すること
タトゥーってイメージがあまりよくない人も多いと思いますが、本当にばれないのか、自然に見えるのでしょうか。
ほとんどの経験者が、自分で言わない限りわからないと言っています。至近距離で触らない限り、まずばれないでしょう。
基本的には消えませんが、頭皮の劣化とともに染料も劣化する可能性があるのと、生活習慣によっても変化の仕方が違ってきます。
例えばよくプールを利用する人は、塩素の影響で劣化が早いとも言われています。
数年に1度くらいのメンテナンスは必要です。人によっては2~3年持つ人もいますし、1年に1度メンテナンスをしている人もいます。
薄くなってしまった部分に染料を追加するような形で、全体的に自然に見えるようにメンテナンスをしていけば大丈夫です。
染料の色を変えることも可能なので、白髪が増えてきたらそれになじむようにメンテナンスをしていくことが出来ます。
施術の安全性に関すること
タトゥーというとちょっとオシャレですが、入れ墨と同じかと思うとちょっと怖いと感じる人もいると思います。ヘアタトゥーの安全性は問題ないのでしょうか。
痛みの感じ方は個人差があるので何ともいえませんが、実際に試した人の口コミを見るとチクチクする程度でそれほど痛みはなかった、という人が多いです。
全く痛くないことはないと思いますが、耐えられないような痛みではなさそうです。皮膚のごく浅い部分に染料を入れるので、針を刺すといっても注射をする時のような痛みではありません。
ただし、痛みに弱い方は麻酔剤を使うことも出来ます。注射ではなくて塗るタイプの麻酔を使うことが多いので、これも痛くはありません。心配な方は事前に相談してみましょう。
針を刺すということで不安な方もいると思いますが、きちんとしたクリニックであれば当然針は使い捨て。消毒や殺菌も徹底していますから、感染症などの心配はありません。
ただし、医師のいるクリニックで施術を受けることが大前提です。肌の状態などもしっかり診察してもらった上で、最先端の機器を使った施術を受ければ安全です。
これまで副作用の問題は出ていないようです。ただ、肌質によって施術後数日間は赤みや腫れなどが出る場合もあります。
はい、生えてきます。毛根まで針を刺すことはないので、今後生えてくる毛に影響はありません。また、ヘアタトゥーで抜け毛が増える、といったこともありません。
日本ではまだまだ歴史の浅いヘアタトゥーですから、事例自体があまり多くありません。
ただ、未熟な技術者が施術を行うと、タトゥーがまばらになったり自然に見えなかったりということはあるようです。
ヘアタトゥーは失敗した時に消すことが出来ないので、クリニック選びがとても重要になってきます。施術例の多いところ、技術力の高いスタッフがいるところを選ぶようにしましょう。
その他
他にもよく見られる質問、疑問などをまとめました。
肌は表皮、真皮、皮下組織の3層になっています。身体に入れるタトゥーは皮下組織まで染料を入れるのに対し、ヘアタトゥーは一番上の表皮までしか染料を入れません。
また、ヘアタトゥーに使う染料は頭皮専用の刺激の少ないものを使います。その染料をごく浅い位置にしか入れないので、ダメージを少なくすることが出来ます。
範囲にもよりますが、だいたい2~3時間程度、メンテナンスなら1時間程度が多いようです。
タトゥーをしている人はMRI検査が受けられないという話がありますが、これは染料に金属性の原料が含まれている場合、その部分が火傷を起こす可能性があるからです。
ヘアタトゥーで使う染料には金属性の原料は使われていないので、精密機械に影響を与えることもなく、MRI検査も問題ないとされています。
まとめ
タトゥーという言葉のイメージが日本ではあまりよくないかもしれませんが、カツラなどと比べるとかなりリーズナブルで、安全性も高い施術です。
ウィッグや増毛は料金が高い、育毛剤はコストがかかるなど、髪の悩みを改善する方法を模索してもなかなか解決しなかった方は、最終手段としてヘアタトゥーを検討してみてはいかがでしょうか。