肌の状態は自分だけでなく見た目の印象にも大きく影響することから、どうしても他人の目が気になってしまいます。
人は老けて見えるのも若々しく見えるのも肌の印象次第です。肌のせいで老けて見られてしまうなんて嫌ですよね。
でも、実は老けて見られるだけではないのです。キメの乱れを放置していると、そこから連鎖してさまざまな肌トラブルにつながってしまうのです。
そもそも肌のキメとは一体なんなのか、乱れてしまう原因にはどのようなことがあるのか、対策や改善方法など、美肌を手に入れるために知っておきたいことについてご紹介しています。
肌のキメとは?
肌の表面は、肉眼ではわかりにくいですが、細い線で網目のようになっています。それは、皮溝(ひこう)と呼ばれる網目状の溝と、皮丘(ひきゅう)と呼ばれる皮溝に囲まれた三角形の膨らみで出来ています。
この2つで出来ている網目状の模様を皮紋(ひもん)と呼び、皮丘同士の交わった部分に毛穴があります。
キメの細かい肌は、この皮溝が繊細で、水分を十分に保った皮丘がふっくらと盛り上がっています。そして、皮溝は幅が狭くシャープで規則正しく、皮丘は整った小さな三角形が均一に並んでいるのが理想的な状態です。
キメの状態と見た目の印象
キメを表す言葉には「細かい」「粗い」「整っている」「乱れている」などがあります。これらには、どのような違いがあるのでしょうか。
皮丘の三角形がより小さく、皮溝がより細い状態を「キメが細かい」といいます。
また、細くはっきりとした皮溝とふっくらと潤った皮丘によってつくられる皮紋が均一で規則的に整っている状態を「キメが整っている」といいます。ふっくらと潤った皮丘は光を乱反射するので、肌には透明感が出ます。
キメが細かく整った肌は、弾力性があり柔らかで毛穴も目立ちません。また、見た目もツルンとしていて手触りもなめらかです。
「キメが粗い肌」の皮溝は、太くてなだらかな線になっていて、皮丘は大きく、三角形やひし形、四角形など均一ではない様々な形になっています。さらに、水分を奪われているために、皮丘のふくらみはなく、平たんにしぼんでしまっています。
潤いがなく皮紋が乱れ、毛穴も開いて目立つ状態を「キメが乱れている」といいます。そうなると、見た目の透明感はなく、手触りはザラザラとしてひっかかりを感じます。キメが粗く乱れている肌は、弾力がなくハリもありません。
肌のキメが及ぼす影響
肌のキメが乱れたり粗くなったりすると、どのような影響があるのでしょうか。
肌には人が生きていくうえで、なくてはならない役割があります。皮膚には、保護、体温調節、知覚、分泌・排泄、吸収、合成、呼吸、免疫の8つの役割があります。なかでも、保護は重要な役割です。
角層のバリア機能表皮は、有害な物質や病原菌が皮膚から体内に入ってしまわないように防いでいます。また、肌に水分を保つように働いています。
このように表皮の最上部である角層は常に肌を守っているのです。
キメの乱れによる影響
肌のキメが乱れると、保護という肌の重要な役割を十分に果たすことができなくなります。
キメが乱れ、角層の水分を保つことができなくなった肌のバリア機能は低下し、紫外線などの外部刺激の影響を受けやすくなってしまいます。そして、そこからさまざまな肌トラブルを引き起こすことになるのです。
肌のキメが乱れる原因は?
肌のキメが乱れる原因には、体の外側に起因する外的要因と体の内側に起因する内的要因があります。
キメが乱れる外的要因
肌の組織は表面から表皮、真皮、皮下組織の3つで成り立っています。表皮の最表面が角層で、それは非常に薄く、厚みはタマネギの薄皮分くらいしかありません。したがって、思わぬことが原因となり、肌はダメージを受けてしまいます。
キメが乱れる外的要因を以下にあげてみましょう。
キメが乱れるもっとも大きな原因に乾燥があげられます。肌は水分を奪われると皮紋が乱れ、肌の老化が進みます。また、紫外線によってダメージを受けた肌も乾燥しがちになります。
肌は気温や湿度によってその状態が変化しますが、特に湿度の影響は大きく、50%以下になると肌はダメージを受けやすくなってしまいます。
角層細胞の縮みが原因手入れの行き届いた肌であっても、キメに大きな乱れが起こることがあります。資生堂の研究によって、乾燥によるキメの大きな乱れの原因が皮膚の角層細胞の縮みによるものだと発見されました。
エアコンのよく効いた場所など急激な乾燥環境のもとでは、角層細胞自体が縮んでしまうのです。そうなると、皮丘は変形し、皮溝は開いてしまいます。皮溝がなくなってしまうこともあります。そして、ときには角層が裂けてしまうこともあり、キメの働きは機能しなくなってしまいます。
さらに、この角層細胞の縮みは若い人ほど起こりやすいという特徴があるのです。
紫外線を受けると皮膚はダメージを受け、新陳代謝が乱れます。健やかな肌のターンオーバーは、28日周期で表皮は生まれ変わります。ダメージを受けた肌はそれを修復するためにターンオーバーが早くなり、細胞が育っていないうちに上に押し上げられてしまいます。
つまり、正常な角層細胞が形成されません。その結果、肌のバリア機能が低下してしまうのです。
洗顔もやり方次第では肌にダメージを与えることになります。もし、汚れをしっかり取りたいからと力をいれてゴシゴシとこすっていたり、毎回たっぷりの洗顔料で念入りに洗っていたり、また、熱めのお湯ですすいだり、タオルでこすったりしていたのなら、それは誤った洗顔方法なのです。
実は、肌はとてもデリケートでそれらが大変な負担になってしまいます。
洗顔同様、肌に良かれと思って行っていることが間違っていることがあります。綺麗な肌になりたいがための過剰なピーリングや過度のマッサージはかえって肌にダメージを与えてキメを乱すことになります。力を入れての美顔器の使用も美しくなるどころか、肌を痛めつけていることになります。
また、自分の肌質に合っていない化粧品を使用すると、乾燥が進んだり皮脂の分泌が増加するなどトラブルの元になります。
さらに、美容液やクリームをたっぷり付けた方が良いとの考えで、過剰に基礎化粧品の使用をすることも肌を甘やかすことになり新陳代謝を妨げます。逆に、節約のためにと化粧水や乳液などの量が少なすぎると、指の摩擦により肌を痛めることになってしまいます。
キメが乱れる内的要因
キメが乱れるには、外部からの刺激ではなく、体の中での変化が原因になっていることも多いのです。考えられる要因を以下にあげてみます。
肌のキメ「細かい」「粗い」などは生まれつきのもので遺伝によることが多いのが事実です。しかし、日本人は欧米人と比較すると、おおむね「キメが細かい」といわれています。また、遺伝の影響があったとしても、ケアすることにより美肌を手に入れることが可能です。
人間にとって加齢は避けては通れないものです。一般的に肌のキメは、20歳を過ぎると少しずつ変化していき、30代あたりから乱れはじめ、40代を超えるとそれが顕著になるといわれています。
ターンオーバーが年齢ととともに遅くなり不調をきたしてくることや水分量の不足、酸化脂質の増加などがあげられます。しかし、正しいケアによって肌年齢を遅らせることができます。
表皮には外的刺激から肌をまもる役割をする「表皮ヒアルロン酸」があります。これは、さまざまな刺激から肌を守っているうちに「疲労ヒアルロン酸」に変性します。
この疲労ヒアルロン酸は、本来であれば分解され再生されるのですが、加齢をはじめさまざまな刺激などによって再生されないまま溜まり続ける場合があります。そうなると、新陳代謝に悪影響を及ぼしキメを乱れさせて、バリア機能を低下させてしまいます。
食生活はそのまま肌に影響を与えます。栄養不足やバランスの悪い食事は肌のキメには大敵です。
特に、正常なターンオーバーに必要なタンパク質や肌のキメを整えるコラーゲンやエラスチンの生成を促すビタミンCなどが不足するとその影響は顕著です。
以前から夜22時から深夜2時までの間は「肌のゴールデンタイム」と呼ばれています。この間に、肌が生まれ変わるための成長ホルモンが分泌されます。
しかし、現在ではそれ以上に睡眠の質が重要だと考えられています。深い眠りについてからの3、4時間に眠りの質が低いと肌の再生がスムーズに進みません。また、6時間以下の睡眠が続くような生活も健康を保つことが難しく、肌のターンオーバーを不調にします。
タバコは肌のキメにとって良いことは1つもありません。
覚醒作用による影響タバコに含まれるニコチンには覚醒作用があり、それが睡眠に強く影響します。寝つきや睡眠時間に大きく関わるのです。
ニコチン依存症による影響喫煙を続けることによるニコチン依存症は、タバコを吸えないときには強いストレスを感じることとなり、そのストレスが肌のためには良くありません。また、血行不良や栄養素破壊の原因にもなります。
ホルモンのバランスが崩れると、新陳代謝が低下することになり、順調な肌の再生ができません。そのために、ターンオーバーの周期を乱すことになります。
ターンオーバーの乱れがキメの乱れに直結してしまいます。精神的なことが原因となることもありますが、生理前の時期や更年期障害でもホルモンバランスは崩れやすくなります。
現在はストレス社会といわれています。心と体はつながっていて、心に感じたストレスはそのまま体に影響します。
仕事や人間関係などストレスのない生活はありえませんが、過度のストレスは睡眠やホルモンバランスなどあらゆることを悪循環に導きます。そのために、肌もストレスには敏感に反応します。ターンオーバーが不調になり、免疫機能の低下や男性ホルモンが増加することもあります。
肌のキメを整える方法は?
肌のキメを乱す原因は外的要因、内的要因といくつもあります。その原因を知ることでキメを整える方法が見えてきます。
原因となっていることをやめて改善することが、キメを整えることにつながります。
スキンケアの見直し
正しいスキンケアを行うことが肌の老化には大きく関わります。20代であっても間違ったスキンケアを続けていれば、肌は老化しキメは乱れてしまいます。
逆に、50代であっても、適切なスキンケアを行っていれば、肌年齢は若くキメの整った肌で見た目も若々しくなるのです。
洗顔
洗いすぎは厳禁です。また、熱いお湯は必要な皮脂まで落としてしまうために避け、体温より低い温度のぬるま湯で洗います。
メイクを落とす夜のみにし、朝はぬるま湯や水で洗うだけで十分です。洗いすぎが肌の水分や油分を必要以上に奪い、肌の老化を早めます。
洗顔料を使うときも使わないときも、できるだけ肌を刺激しないように指の腹で優しくなでるように洗います。そして、シャワーのお湯を直接肌に当てるのは良くありません。肌にとってシャワーの水圧は刺激が強すぎます。
濡れた顔を拭くときにも、タオルで押さえるように水分を取り、ゴシゴシと摩擦を起こすような拭き方は避けます。
保湿
肌の乾燥がキメの乱れの最大の原因であったように、最も重要なことは保湿です。洗顔のあとには、すぐにたっぷりと化粧水をつけ、乳液やクリームなどで水分が蒸発するのを防ぎ保湿します。この場合にも力を入れてこすることがないように優しく行います。
また、オフィスなどエアコンが効いている場所では、ミスト化粧水などでこまめに保湿を心がけます。部屋の湿度が低くなりすぎないように、加湿器などを使うこともオススメです。
角質培養
過剰なピーリングや頻繁な洗顔などが原因で角質が薄くなってしまった場合には、角質培養で健全な角質層を取り戻すことができます。これは、肌断食とも呼ばれ、できるだけ刺激を与えず何もしないで角質を育てるという方法です。
もともと人間には自然治癒力が備わっています。それをを高めて、正常なターンオーバーに戻すことが目的なのです。
何もしないと言っても完全に放置するのではなく、刺激の少ない石けんなどを使って正しい洗顔をします。化粧はしないのが理想ですが、仕事上そうもいかない場合にはできるだけ薄化粧やポイントメイクにします。
洗顔後の保湿だけは行いますが、過剰にならないように気をつけることが大切です。また、紫外線対策や気温・湿度対策も怠らないように意識する必要があります。ただし、加齢によってターンオーバー自体が乱れてくる年齢の人には向きません。
生活習慣の見直し
普段、何気に行っていることが肌にとってダメージを与えてしまっていることも多いものです。それを見直すことで整った肌のキメを取り戻すことができます。
食生活
偏った食事をやめ、栄養のバランスを考えた食事をとるように心がけます。肌の良いといわれる栄養素を摂ることが大切です。
卵や大豆、魚に豊富なタンパク質、レバーやニンジン、ほうれん草に多く含まれているビタミンAはぜひ取り入れてほしい栄養素です。イチゴやレモン、ブロッコリーなどに豊富なビタミンCはコラーゲンの生成をサポートします。
肌の老化予防に効果があるといわれているビタミンEは、レバーやアーモンドに含まれています。また、乳製品などに含まれているセラミドは、肌の生成に重要な役割を果たすので積極的に摂ることがオススメです。
さらに、肌に潤いをもたらすコラーゲンもキメを整えるためにぜひ摂取しておきたいものです。コラーゲンは鶏肉やえび、うなぎなどに多く含まれています。
カレーが美容に良いともいわれています。カレーに含まれているターメリックは、肌の調子を整える働きがあり、インドでは肌トラブルのケアに利用されています。
また、ターメリックは悪玉コレステロールの酸化を抑制する働きがあり、健やかな肌を保つことにつながります。
紫外線対策
紫外線は季節に関わらす降り注いでいます。ターンオーバーを乱し、乾燥の原因にもなり肌のバリア機能を低下させます。
キメを整えるためには、紫外線対策が非常に重要です。日ごろから、日傘やサングラスを使用し、紫外線の強い場所に行く際には衣類にも気を使い、できるだけ紫外線を浴びないようにする必要があります。
禁煙
肌にとって何一つ良いことがないタバコは、キメを整えるためには禁煙することが大事です。禁煙することで、睡眠やストレスなどの問題も解決することができます。
一人ではなかなか難しいという場合には、禁煙外来を受診してみることもひとつです。
睡眠
質の良い睡眠が肌のターンオーバーには大切です。十分な睡眠時間を取ることも大切ですが、静かに眠りにつける環境を整えたり、寝る前の食事や飲酒を控えたりすることで睡眠の質をあげることができます。
下記のページでぐっすり寝る為のポイントについてご紹介しています。
ストレス
肌のためにはストレスを溜めないことも大切です。運動や趣味でストレスを発散するように心がけることが必要です。
また、一人で悩まないで誰かに話したり相談したりすることもストレスを溜めない方法です。
サプリ
キメを整えるために必要な栄養は食事でとることが理想ですが、どうしても十分に摂ることができない場合にはサプリで補うことも1つの方法です。
コラーゲンやプラセンタなど手軽に摂取できるものもあります。
まとめ
肌のキメに関わる要因は非常に多くあります。それらは複雑に影響し合っていると言えます。遺伝だから、年齢だからと諦める必要はありません。
日常の正しいケアや生活習慣が肌のキメを左右するのです。キメの整った美肌を手に入れるために、ぜひ一度見直してみてください。