疲労回復やストレス解消に役立つといわれるエゾウコギ。
日本ではまだメジャーな名前ではないかもしれませんが、日本にも自生している植物です。
アスリートも愛用するというエゾウコギにはどのような効果があるのかをまとめました。
エゾウコギとは?
エゾウコギとは「えぞ」とついている通り、日本では北海道の一部で自生しているウコギ科の低木です。
寒暖の差が60度以上にもなる寒冷地でのみ生息しているので、ロシアや中国の一部でも見ることができます。
古くから漢方として利用されてきた植物
エゾウコギは根の皮の部分を薬用として使います。中国では2000年以上も前から漢方薬として使われてきました。
日本でも江戸時代には栽培されていて、天候不順で農作物が不作だったとしてもエゾウコギの新芽や葉を食用として使うためで、実際に飢饉の時には役立ったそうです。
エゾウコギの名が知れ渡るきっかけとなったのが、モスクワオリンピックです。
当時のソ連の選手達がエゾウコギを飲んでメダルをたくさん獲得したことから、その効果に注目が集まりました。
エゾウコギは疲労回復を助け記録のアップに貢献し、ドーピング検査もクリアできるため、アスリートに愛用されるようになりました。
エゾウコギの有効成分
エゾウコギにはどのような成分が含まれているのでしょうか。
エレウテロサイドとは強力な抗酸化作用を持つ成分で、エレウテロサイドA〜Gまで7種類あります。
エゾウコギにはその中でもストレスなどに効果的だといわれるエレウテロサイドEが含まれています。
疲労回復や胃潰瘍を抑え、免疫機能を向上させるともいわれています。
イソフラキシジンは抗炎症作用があるといわれる成分で、フェノール化合物の一種です。
クロロゲン酸はコーヒーにも含まれるポリフェノールの一種です。抗酸化作用と抗炎症作用によってがん予防の効果などが期待されています。
ビタミンA、B1、B2、Cなどのビタミン類も豊富に含まれています。クロロゲン酸とともに抗酸化作用を持っています。
エゾウコギはアダプトゲンの一種
エゾウコギはアダプトゲンの一種です。アダプトゲンとは、下記のような効果がある物質のことを指します。
- 免疫機能をサポートする
- 身体を強化する
- ストレスに強くする
- 精神を安定させる
漢方薬やハーブに多く見られ、エゾウコギや高麗人参もその仲間です。アダプトゲンハーブという呼び方もします。
エゾウコギは別名「シベリア人参」と呼ばれることもあり、栄養価が高いことで知られる同じウコギ科の高麗人参をはるかに凌ぐパワーがあるといわれています。
高麗人参も古くから不老長寿の薬として珍重されてきましたが、エゾウコギには高麗人参よりも多い抗酸化成分が含まれていることから、その効果効能に注目が集まっているのです。
その薬理効果は高麗人参の6倍以上ともいわれ、日本を始めとして各国で研究が進んでいます。
エゾウコギにはどういった効果が期待できるの?
エゾウコギにはどのような健康効果が期待できるのかをまとめました。
ストレスを和らげ自律神経を整える作用
エゾウコギのイソフラキシジンには副腎皮質ホルモンの分泌を促し、ストレスに対抗する力をサポートする他、自律神経のバランスを整えるのにも役立ちます。
エゾウコギは自律神経系のバランスを調節することにより、新しい環境や対人関係における不安・緊張を伴ったストレスに対する適応力を高める可能性のある有用な食品であることが示唆されました。
疲労回復効果
エゾウコギはβエンドルフィンという神経伝達物質の分泌をサポートし、運動による疲労回復をサポートする働きがあります。
運動のストレスや疲労を和らげることから、持久力が増し、運動を長く続けることができます。それによってトレーニング効果が向上し、疲れにくい身体を作ることができるとされています。
運動効果が上がることで身体も丈夫になり、風邪などにも強くなるなど体質改善にも役立ちます。
免疫力を高める効果
エレウテロサイドによって分泌されるβエンドルフィンには免疫細胞を活性化させるという働きもあります。
体内に侵入したウィルスなどを攻撃するNK細胞(ナチュラルキラー細胞)と結合し、免疫機能を高めます。
生活習慣病の改善・予防
イソフラキシジンには血液をサラサラにして血流を良くする働きがあるので、糖尿病や高血圧などの改善や予防に役立つとされています。
冷え性の改善にも
血流が良くなるということは冷え性の改善や頭痛、肩こりなど血行が悪いことで起こる体調不良の改善にも効果が期待できます。
更年期障害の改善
エゾウコギに含まれているピノレジノール・ジグロコサイドという成分が女性ホルモンに似た働きをする成分に変化することから、更年期障害の症状の緩和に役立つとされています。
エゾウコギ食品による更年期障害の改善効果も検証されています。
エゾウコギは、更年期の女性において、不定愁訴が軽減し、骨代謝も改善され、QOL改善に有用な食品である可能性が示唆されました。
エゾウコギには副作用はないの?
エゾウコギは他のアダプトゲンハーブと比べて興奮作用が少ないため、副作用の心配は希だと言われています。
重篤な副作用はない
今のところ重篤な副作用は報告されていませんが、どんなに健康に良いものであっても体質に合わない場合はあります。
中には、下痢、不眠、筋肉の痙攣、頭痛などの症状が現れる場合があります。そのような時は、服用をいったん中止して様子を見ましょう。
妊娠中・授乳中は控える
妊娠中や授乳中の副作用についてはほとんど知られていない、というのが現状なので飲用は控えた方が良いでしょう。
どうしても試したい場合には主治医に相談してください。
エゾウコギの摂取方法や注意点は?
エゾウコギは色々な形で摂取できますが、摂取にあたって注意する点などをまとめました。
エゾウコギを摂取する方法
エゾウコギは、サプリメント、お茶、ドリンク、粉末などの形で摂取できますが、最も簡単で続けやすいのはサプリメントでしょう。
エゾウコギを細かくしたものをハーブとして購入することができます。主にネット通販や漢方・生薬を扱うお店で手に入ります。
これをホワイトリカーにつけ込んで「エゾウコギ酒」を作ることもできます。ホワイトリカー1本1.8Lにエゾウコギ60gが目安です。1ヶ月ほどで出来上がります。
ハーブティーのようにして飲むこともできます。商品によって分量がやや違いますが、普通のハーブティーのようにポットやカップにティーバッグを入れ、お湯を200~300ccほど注いで作ります。
サプリメント摂取方法のポイント
サプリメントは健康食品ですから、基本的にいつ飲んでもいいものです。でも、飲み方次第で効果を高めることが出来るので、目的に合わせて飲むタイミングを変えてみましょう。
エゾウコギは粉末の量で1日2~3g程度が適量だとされています。サプリメントは摂取目安量を守り、お茶なら1日1~2杯で十分でしょう。
エゾウコギはまとめて摂取したからといって健康増進効果があるわけではないので、1日に沢山取るのではなく、毎日継続して摂取することが大切です。
サプリメントなどの吸収を高めたい時には食間(食後2~3時間後)の空腹時がおすすめです。
ただし、それだと忘れてしまうという場合には、食後や寝る前など飲むタイミングを決めておくと良いでしょう。
エゾウコギのエレウテロサイドEは脳内のβエンドルフィンの分泌を促す働きがあり、運動前に飲んでおくとβエンドルフィンの血中濃度が高くなります。
βエンドルフィンは神経伝達物質の一つで、幸福感や快感を覚えるという効果があり「脳内麻薬」とも呼ばれています。
例えば長時間走ると、その苦痛を和らげるためにβエンドルフィンが分泌されて「ランナーズハイ」という状態になることは良く知られています。
エゾウコギの作用でβエンドルフィンが早めに分泌されれば、肉体疲労を和らげ、疲労によるストレスが軽減されます。
エゾウコギはあまりに長期間に渡って服用を続けると耐性がついてしまい効果が薄れる可能性があります。
ですから、8週間服用したら2週間休むというようにインターバルをおいて服用すると良いでしょう。
ただ、2週間というのは目安なので、再開した時に効果があまり感じられない、という時にはもう少し間隔をあけてみてください。
エゾウコギの選び方
エゾウコギのハーブやサプリメントを選ぶ時のポイントです。
樹齢10年以上のエゾウコギは薬効が高いとされています。もしメーカーの表示などを見て比較できるなら、樹齢10年以上の成熟したエゾウコギを使ったものがおすすめです。
エゾウコギはロシアや中国でも採取できるため、原産国が日本以外のものもあります。品質の高さや安全性を求めるなら国産のものがおすすめです。
アメリカでもエゾウコギのサプリメントは沢山出回っています。
ですが、エゾウコギの有効成分がどのくらい含まれているのかが不明なものも多く、確実に中身を確認できるという点で国産のものを購入した方がよいでしょう。
薬との飲み合わせ
エゾウコギは自然の食品なので薬との飲みあわせも特に禁忌はないのですが、薬の種類や病気によっては影響があることも考えれます。
持病や常備薬がある方は、念のため主治医に確認してから飲むようにしてください。
血液をサラサラにするので高血圧にもよいとお話をしましたが、あまりに沢山服用すると血圧が高くなる場合があります。
元々血圧が高い人、血圧の薬を飲んでいる人は摂取目安量を守るようにしてください。
まとめ
お茶やサプリメントとして飲むだけで身体を元気にしてくれて、ストレスまで和らげてくれるというエゾウコギ。
特に更年期にさしかかり、体力的にも精神的にも不安が増す世代の女性いはとても有用なハーブではないでしょうか。