エラスチンは、コラーゲンやヒアルロン酸ともに肌にとって重要な成分であるにもかかわらず、あまり周知されていません。
しかし、アンチエイジングの化粧品やサプリメントとして効果的な美容成分であるので、エラスチンについての知識を深めることで、自分の肌への関心も高まって、健康で美しい肌を保とうとする意識につながります。
そこで今回は、エラスチンとはどのような役割をしているのか、取り入れることで期待できる効果や、エラスチンを増やしたい場合どのような方法がおすすめなのかについて、まとめて解説していきます。
エラスチンとは?
エラスチンはほとんどの脊椎動物が持つ線維状のタンパク質のことで、弾性線維とも呼ばれます。肌は表面から表皮・真皮・皮下組織と成り立っていますが、エラスチンが含まれるのは、真皮の部分です。
しかし、真皮の主要成分はコラーゲンで、真皮全体の7割を占めていて、エラスチンはわずか2%ほどです。たった2%にも関わらず、エラスチンが重要な成分であるのは、コラーゲン同士を結び付ける役割をしているからです。
さらに、エラスチンには次のような特徴があるので知っておきましょう。
伸縮性がある
エラスチンは英語の「elastic:弾力・伸縮性のある、しなやかな」が語源となっていることからも分かるように、伸縮性があることが最も特徴的です。
この伸縮性があるからこそ、コラーゲンを束ねることができて、肌の弾力を維持するのに欠かせないものとなっているのです。
年齢によって含有量が違う
赤ちゃんの肌は弾力があるというよりは柔らかい、ということからも分かるように、赤ちゃんの時はエラスチンの量は少ないのです。それが20代をピークに増えていき、その後は自然に生成されることはなくなり、加齢とともに減少していきます。
ヒアルロン酸も同じように加齢とともに減少していくので、老化により肌にみずみずしさがなくなり、しわが増えてしまうのです。
エラスチンにはどのような効果が期待できるの?
エラスチンは真皮にはわずかしか含まれていませんが、じん帯には8割、動脈には5割程度含まれています。これらの器官にエラスチンが存在することで、どのような効果が期待できるのかを次にみていきましょう。
肌にハリや弾力を与える
皮膚の真皮の部分はコラーゲンが網目状に張り巡らされているのをエラスチンが結んで支えていて、このコラーゲンとエラスチンの絶妙なバランスが、肌にハリや弾力をもたらしています。
そのため、エラスチンが減少すると、肌のバランスが崩れて、しわやたるみが現れてしまいます。
じん帯の伸縮性を保つ
じん帯とは骨と骨を結合させて関節を形成しているもので、身体のさまざまな部分に存在します。私たちが腕や足を曲げたり伸ばしたりできるのも、このじん帯のおかげであり、じん帯の主要成分がエラスチンなのです。
エラスチンによってじん帯が伸びたり縮んだりすることができて、身体のあらゆる部分を曲げたり伸ばしたりすることができるようになっています。
エラスチンが不足すると、じん帯が伸縮しにくくなり、曲げ伸ばしの負荷に耐えられずにじん帯の一部や全体が切れるじん帯断裂などの怪我を引き起こすこともあります。
血管の弾力を維持する
血液は心臓から動脈を通って全身に行き渡り、静脈を通って心臓に戻ってくることから分かるように、動脈と静脈は特に重要な血管です。さらにこれらの血管壁にはエラスチンが多く含まれていて、血管の弾力を維持して血液がスムーズに流れるのを助けているのです。
逆に、エラスチンの量が減少して血管壁が硬くなってしまうと、動脈硬化や脳血栓、心筋梗塞を引き起こしてしまうため、注意が必要です。
エラスチンを増やすのにおすすめの方法は?
エラスチンを増やすことは可能なのか、またエラスチンを増やしたい場合、どのような方法がおすすめなのかについて、とり入れる際のポイントや注意点と合わせてみていきましょう。
食品から摂取する
エラスチンを含む食品を食べれば食べるほど、皮膚のエラスチン量も増えるのではないかと考えている人も多いでしょう。しかし、エラスチンを含む食品は限られているうえ、食品として摂取したエラスチンが皮膚にそのまま届くわけではないので、エラスチンを増やすことは容易ではありません。
そこで、エラスチンを食品から取り入れることはもちろん、下記のようなエラスチンの生成を助ける栄養素も合わせて摂取するようにしましょう。ちなみに、エラスチンを多く含む食品は、軟骨や手羽先、牛すじ、もつ、皮なども食べられる煮魚、丸ごと食べられる小魚などです。
ミネラルには、エラスチンを生成する器官である線維芽細胞を増やす効果があると言われているので、エラスチンと合わせて摂取するのがおすすめです。
ミネラルには、ナトリウムやカルシウム、リン、鉄、亜鉛などがあり、決まったものばかり摂取するのではなく、違うものをバランスよく取り入れるようにしましょう。それぞれの栄養素を多く含む食品は次のとおりです。
ナトリウム | 梅干し、みそ、しょうゆ、イカの塩辛、干しアワビ、ちりめんじゃこなど。 |
カルシウム | 桜えび、チーズ、しらす干し、いかなご、あゆなど。 |
リン | しらす干し、チーズ、いくら、卵黄、いわし、すじこなど。 |
鉄 | 豚レバー、鶏レバー、青のり、ひじき、パセリ、はまぐりの佃煮など。 |
亜鉛 | 牡蠣、ビーフジャーキー、豚肉レバー、ほや、カニ缶、煮干しなど。 |
エラスチンは線維芽細胞によって生成されますが、体内に活性酸素が増えることで、線維芽細胞が攻撃されて、上手く機能しなくなってしまいます。
活性酸素が増えるのを防ぐためには、抗酸化作用のあるポリフェノールやビタミンCを多く含む次のような食品を、エラスチンと合わせて摂取すると良いでしょう
ポリフェノール | 緑茶、大豆、ブルーベリー、そば、赤ワイン、カカオ、ゴマなど。 |
ビタミンC | 赤ピーマン、黄ピーマン、芽キャベツ、アセロラ、レモン、パセリ、ゆずなど。 |
※活性酸素とは
活性酸素は、体内の細菌やウイルスを攻撃する役割がある反面、増えすぎると良い細胞まで攻撃してしまうため、健康を害してしまいます。ストレスや紫外線の影響、喫煙や飲酒などの生活習慣が原因で増えることがあるので注意しましょう。
サプリメントとして摂取する
食品からエラスチンを摂取することが難しい人には、サプリメントもおすすめです。サプリメントから摂ったエラスチンも、そのまま皮膚に届くわけではありませんが、食品よりも持続しやすいことから、効果を実感できる場合もあります。
豚や牛の大動脈血管、カツオやマグロの動脈球など、食品として摂るのが難しいものからエラスチンのサプリメントは作られていますので、食品からエラスチンを取り入れつつ、並行してサプリメントも摂取していくといいでしょう。
さらに、食品よりも簡単に摂取できることから、肌が生まれ変わるターンオーバーの時間に合わせて摂取することができ、より効果が期待できます。ターンオーバーは、夜10時から2時のシンデレラタイムにおこなわれるので、この時間に摂取することを心がけましょう。
化粧品として取り入れる
エラスチンが配合されている化粧品はたくさんあるので、肌に直接エラスチンを染み込ませようと考えるのが一般的ですね。
たしかに、エラスチンを肌に取り入れることで、肌の細胞が含む水分の量を増加させて保湿させることは可能です。しかし、老化して乾燥した肌に水分を入れても、時間が経つと水分が蒸発してしまうので、保湿効果は一時的なものとなるのです。
そこで、化粧品としてエラスチンを取り入れる際には、保湿効果が一時的にならないように、肌に入った水分を保持する成分であるセラミドと併用することをおすすめします。
まとめ
エラスチンは健康でハリのある肌を維持するために欠かせない成分であることが分かりましたが、それを増やすことは容易ではありません。
しかし、エラスチンを増やそうと心がけることは、結果的に自分の肌を労わり、食生活や生活習慣を見直すきっかけにもなります。美しく健康な肌を手に入れるために、エラスチンを増やす方法をぜひ実践してみてください。