口紅は、メイクの中でもその人の印象を大きく左右する重要な役割を果たします。
ですから、気に入って買った可愛い口紅で、唇が荒れて皮がむけてきてしまったときには、本当にガッカリします。
敏感肌の人の中には、「今度こそは」と、新たな口紅を試しみては、やっぱりダメだったということを繰り返している人もいらっしゃるかもしれません。
敏感肌やアトピーの人向けの荒れない口紅とは、一体どのような口紅なのでしょうか。
ここでは、敏感肌やアトピーの人の口紅選びのポイントやおすすめの商品、そして、唇が荒れない口紅の使い方や注意点などを紹介しましょう。
口紅で唇が荒れる原因は?
そもそも、なぜ口紅で唇は荒れてしまうのでしょうか。まず、そこからひも解いていきましょう。
唇は乾燥しやすいパーツ
敏感肌の人でなくても、唇というものは、顔の皮膚と比較すると、とてもデリケートです。
構造上、唇にはうるおい成分を作り出す機能がなく、水分も少ないため、とても乾燥しやすく刺激も受けやすいのです。
- 皮脂腺も汗腺もない
- メラニン量がほとんどなく、紫外線の影響を受けやすい
- 水分量が少ないうえ、天然の保湿因子であるNMF(ナチュラル・モイスチャライジング・ファクター)量 も少ない
- 角質層 が非常に薄い(肌の3/1程度)
- 水分の蒸発する速度が速い
- ターンオーバーが速い
唇が荒れる可能性のある代表的な成分
口紅には、使用感や発色、香りなどをよくするために、たくさんの成分が含まれています。
そして、ほとんどの口紅には、敏感肌やアトピーの人にとっては刺激になり、唇の荒れにつながるような成分が配合されています。
刺激になりうる主な成分をあげてみましょう。
乳化剤や保湿剤として使用されています。
イソステアリン酸グリセリル、ポリオキシエチレングリコールモノ脂肪酸エステルPEG(ポリエチレングリコール)、ラウレス硫酸Na など多数
口紅を鮮やかに発色させます。
タール系色素(赤○○○号、青○○○号など)
肌に被膜を作り密着させることができるため、口紅を落ちにくくします。落ちない口紅や濡れたような唇になる口紅には必ず配合されています。
ジメチコン、メチコン、シクロメチコン、シロキなど
ほとんどが石油由来の合成香料で香りづけをしています。「香料」という言葉でまとめられていることも多く、その場合には数種類の成分が含まれていると考えられます。
アセト酢酸エチル、アセトフェノン、アニスアルデヒドなど
石油由来の防腐剤です。
メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベンなど
パラベンフリーのからくりアレルギーが起こる可能性が知られているため、自然派化粧品などでは、「パラベンフリー」とうたっているものが多く見られます。
しかし、その中には防腐剤を全く配合していないのではなく、パラベン以外の防腐剤が配合されている場合があります。
パラベンの代用には、安息香酸Naやヒノキチオールなどがあります。ただし、安息香酸Naもアレルギーの原因となる可能性があり、敏感肌の人は避ける方がよい成分です。
唇が荒れる可能性のあるその他の成分
フェノキシタノール
BHT(ジブチルヒドロキシトルエン)、BHA(ブチルヒドロキシアニソール)
オキシベンゾン、サリチル酸オクチル、メトキシケイヒ酸エチルヘキシル
エステルガム
リンゴ酸ジイソステアリル、ラノリン、ヒマシ油(リシノール酸を含有)
口紅に含まれている成分は数えきれないくらいあり、1本の口紅に50種以上の成分が含まれていることもあります。
その中で、唇が荒れる可能性のある成分も、あげていけばキリがないほどたくさんあります。
また、すべての敏感肌の人が同じではなく、炎症が起こる成分には個人差があります。
敏感肌向けの口紅の選び方は?
口紅で唇が荒れる原因を知れば、どのような口紅を選んだらよいのかがおのずとわかってきます。
唇が荒れない口紅選びのポイント
敏感肌の人に合う口紅とは、紫外線などの外的刺激を防ぐことができ、さらに、唇に刺激となり荒れさせるような成分が配合されていないものということになります。
また、「口紅を塗ることによって唇の保湿ができる」ということも重要なポイントです。
タール系色素を配合していない
化粧品の着色料には、「タール色素(有機合成色素)」「無機顔料(鉱物性顔料)」「天然色素」の3つがあります。
有害物質であるタール系色素を配合しているものは使用しないことが賢明です。
紫外線吸収剤を配合していない
デリケートな唇を有害な紫外線から守ることは非常に重要なことですが、刺激の強い紫外線吸収剤ではなく、紫外線散乱剤(酸化チタン、酸化鉄など)が配合されているものが好ましいといえます。
「落ちない口紅」は使用しない
落ちない口紅は、何度も塗り直さなくてもよいため便利なものですが、合成ポリマーなど刺激の強い成分が配合されていることから、唇の荒れにつながります。
また、落とすときにも強力なクレンジングを使用しなければならないことも多く、それらの多くには合成界面活性剤が配合されています。
クレンジングを使わなくても、せっけんだけで落とすことができる口紅なら、唇への負担が少ないといえます。
天然由来の保湿成分が配合されている
唇はその構造上、乾燥しやすいため、荒れやすい敏感肌の人は、保湿効果の高いものを選ぶことがポイントです。
スクワランやシアバター、ホホバオイルなどの肌にやさしい天然由来の保湿成分が配合されているものをおすすめします。
「敏感肌やアトピー肌にやさしい口紅」と言っても、全員に同じ口紅が合うとは限りません。良さそうだと思っても、自分に合うかどうかは試してみないことにはわかりません。
店頭に設置してあるサンプルを直接唇に塗るのは、衛生的ではなく、そのことが荒れの原因になってしまうかもしれません。
自宅で試すことができる試供品があれば、試してみるのがよいでしょう。
敏感肌におすすめの口紅は?
天然由来の成分で出来ていて、刺激のある成分をできるだけ配合していない口紅の中で、おすすめの口紅をランキング形式で紹介しましょう。
出典:etvos.com
天然ミネラルと植物由来のオイルで作られた唇にやさしい口紅です。他の口紅は使えないという敏感肌の人に、圧倒的な支持を得ています。
低刺激処方で唇を荒れから守り、うるおいを与えてくれます。
- 合成界面活性剤フリー
- 合成ポリマーフリー
- パラベンフリー
- 防腐剤フリー
- 紫外線吸収剤フリー
- アルコールフリー
- タール色素フリー
- ヒマシ油フリー
- メーカー:ETVOS
- 3,240円(税込)
出典:24h-cosme.jp
フードレベルで開発されているため、もし、口に入っても気にならない成分で作られているのが特長です。
天然オイルと天然色素にこだわった発色で、カラーバリエーションも豊富です。植物原料にもこだわり、農薬や化学肥料を使用していない自然のままの植物を使用しています。
注目すべきは、「キャリーオーバー成分」も含めて全成分を表示しているところです。
(注:キャリーオーバーとは、「有効成分としてではなく、加工する前の原材料に添加されている成分は表示しなくてもよい」という法律。「無添加」という表示であっても、原材料には、保存料などの添加物が入っている場合がある)
- 合成界面活性剤フリー
- 合成ポリマーフリー
- パラベンフリー
- 防腐剤フリー
- 紫外線吸収剤フリー
- アルコールフリー
- タール色素フリー
- メーカー:ナチュラピュリファイ研究所
- 2,808円(税込)
100%自然素材(天然由来または天然物を加工した原料を使用)にこだわった口紅です。天然のミネラルとオーガニック植物で作られていて、肌のためになるメイクといわれています。
- 合成界面活性剤フリー
- パラベンフリー
- 防腐剤フリー
- 紫外線吸収剤フリー
- アルコールフリー
- タール色素フリー
- メーカー:ネイチャーズウェイ
- 3,780円(税込)
口紅で唇が荒れるのを防ぐ際のポイントは?
配合成分に気を配って口紅を選んだとしても、使い方によっては荒れてしまうことがあります。日ごろから、唇が荒れにくくなるように工夫をすることも大切です。
唇が荒れない口紅のつけ方
唇を保護してから口紅をつける
口紅をつける前に、リップクリームなどで唇を保護しましょう。途中でつけ直すときにも、必ず、リップクリームなどで保湿をしてからつけ直すようにします。
口紅の下地になるリップクリームの成分にも気をつける必要があります。刺激になる成分が入っていれば、リップクリームによって荒れてしまいます。
指や紅筆でつける
口紅のスティックそのままで何度も唇を往復して、こするようにつけてしまうと刺激になる場合があります。
指でやさしくトントンと乗せるようにつけたり、柔らかめの紅筆で置くようなイメージでつけると刺激になりません。
落ちたらすぐにつけ直す
食事などで口紅が落ちたら、そのままにしないですぐにつけ直しましょう。そのままにしておくと、乾燥して荒れにつながります。
ただし、食事の後は、唇の汚れを濡れタオルで拭き取るか軽く洗い流してから口紅をつけ直します。ティッシュなどでゴシゴシと拭くのは厳禁です。
唇が荒れない口紅の落とし方
合成界面活性剤配合のクレンジングは使わない
「おすすめの口紅ランキング」にあげたような、唇にやさしい処方の口紅は、クレンジングを使用しなくてもせっけんで落とすことができます。
もし、クレンジングを使うときには、合成界面活性剤不使用の刺激の少ないクレンジングを使いましょう。
ゴシゴシとこすらない
口紅を落とすときには、ゴシゴシと力を入れてこすってはいけません。やさしくなでるように落としましょう。
毎日必ずしっかり落とす
ゴシゴシとこすってはいけないとは言っても、キチンと落とし切れていないのも問題です。一見、落ちているよう見えても、せっけんなどで洗わなければ、完全には落とし切れていません。
口紅の成分が残り続けていることで、唇が荒れる原因になります。
リップクリームなどですぐに保湿をしましょう。
日々の唇のケア
唇のワセリンパック
唇のパックをすると、しっとりと滑らかな唇になります。毎日は必要ありませんが、数日に1回、もしくは1週間に1回などのケアをすることで、しっとりとした唇になり、荒れにくくなっていきます。
1.蒸しタオルを用意する
電子レンジを使うと簡単に用意できます。
2.蒸しタオルで唇を2~3分間ほど温める
3.ワセリン(リップクリームやオリーブオイルでも可)をたっぷりと唇にぬって、ラップで覆う
4.そのまま5分~10分ほどパックをする
より効果があるようにと思っても、10分以上は行わないようにしましょう。あまり長く行うと刺激が強すぎることがあります。
もし、ヒリヒリするなど、唇に何か違和感があった場合には、すぐに中止してください。
リップクリームとワセリンの使い分け
日々の唇の保湿ケアはワセリンがもっとも効果があり、また、低刺激です。なかでも白色ワセリンは、不純物が少なく、赤ちゃんでも使うことができます。
しかし、ワセリンは紫外線の影響を受けやすい成分のため、日中は、低刺激のリップクリームを使用して、夜はワセリンでたっぷり保湿をするなど、使い分けてみてはいかがでしょう。
日常生活で気をつけること
唇の荒れを防ぐには、日常生活においても注意すべき点があります。
唇をなめると、唇についた唾液が蒸発する際に唇の水分まで一緒に奪ってしまうため、乾燥して荒れにつながります。
また、なめることで、口紅やリップクリームも落ちてしまいます。唇をなめないように意識して、クセを治しましょう。
唇が荒れて皮がむけてくると気になるものですが、皮をむいてしまってはいけません。裂けて血が出たり、細菌感染したりするおそれがあります。
どうしても気になるときには、めくれている部分のみハサミでそっと切るようにしましょう。
時には、リップクリームのつけすぎが唇の荒れにつながっていることがあります。
唇が荒れることを気にするあまり、必要以上に力を入れてリップクリームを何度もつけることで、かえって唇を刺激してしまいます。
歯磨き粉にも研磨剤をはじめ、合成界面活性剤など刺激になる成分が含まれています。
歯磨きのときに、唇に歯磨き粉が付着しないようにし、また、すすぐときには唇についた歯磨き粉が残らないようにしっかりと洗うように心がけましょう。
使用している歯磨き粉が原因で唇が荒れている場合もあります。一度、成分を確認して、歯磨き粉を見直してみることも1つの方法です。
日ごろ、口呼吸をする習慣になっている人は、唇に空気が触れやすく乾燥しがちです。特に、起床時に唇の乾燥を感じる人は、寝ているときに口を開けていると考えられます。
寝るときには、マスクなどで乾燥を防ぐようにすることをおすすめします。
まとめ
もし、口紅をつけると唇が荒れてしまうのなら、一度使っている口紅やリップクリームの成分を確認してみてはいかがでしょう。そこには、刺激になる成分が配合されているかもしれません。
そして、ぜひ、敏感肌やアトピーの人向けの口紅選びのポイントやおすすめの口紅ランキングを参考にして、口紅を選んでみてください。
ふっくらとうるおった唇になれるように、自分にぴったりな口紅に早く出会えたらいいですね。