飛行機でむくみが起こるのはなぜ?簡単にできる予防法&便利グッズ

飛行機健康

旅行は、美しい景色を見たり、美味しいものを食べたり、ショッピングを楽しんだりと、本当にワクワクします。旅行が趣味だという方もたくさんいらっしゃることでしょう。

ですが、飛行機を利用する場合、フライト時間が長くなると、むくみに悩まされるという声をよく耳にします。

搭乗中に手や足がむくんで痛くなってしまったら、せっかくの旅行なのに、つらいスタートになってしまいます。

ここでは、なぜ飛行機に乗るとむくんでしまうのか、また、むくみを防ぐための対策について、詳しく解説します。これから長時間のフライト予定がある方、必見です!

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飛行機に乗るとむくみが起こるのはなぜ?

考える女性

普段はあまりむくむことがない人でも、飛行機に乗ると手足のむくみに悩まされることが多いようです。それには、飛行機だからこその理由があります。

問題は「機内環境」

飛行機の機内は、地上の環境とはまったく異なり、その環境には「むくみの条件」がそろっています。

気圧の影響

飛行機の機内の圧力は、地上と比較するとかなり低く、そのせいで、体の血流が悪くなり、むくみが生じます。

通常は、ふくらはぎの筋肉が血液を心臓に戻すポンプの働きをしますが、気圧が低くなることで、その機能が弱まり、心臓まで血液をうまく戻せなくなるのです。

そうなると、血液やリンパ液が滞ってしまい、特に、心臓から遠い手足がむくむというわけです。

飛行機は国内でも高度9000メートル、海外へのフライトとなると10000メートル(33000フィート)以上にまで高度を上げて飛行します。

高度10000メートルの上空では0.25気圧しかないため、とても人間の体は耐えられません。

そのため、飛行中の客室には、与圧装置によって調節された空気を供給していますが、地上と同じ1気圧に保つことは難しく、0.7~0.8気圧の低い気圧に保たれています

0.7~0.8気圧というのは、標高2000メートルから2500メートル(富士山の5合目あたり)の山での気圧に等しいものです。

湿度の影響

飛行機の客室内の湿度は、10%~20%と低く、非常に乾燥しています。実は、この機内の乾燥も、むくみを引き起こす原因のひとつです。

人にとって快適な湿度は40%~60%であるため、乾燥した空気の中で長時間過ごすと、目の乾きをはじめ、口や鼻、のどにも違和感や痛みが起こり、肌も乾燥します。

肌が乾燥し続けると、体内の水分が不足して血液は正常に循環できず、むくみや倦怠感といった症状が現れてきます。

また、トイレの回数を減らそうとして水分を控える人が多く、そのことが、さらに体内の水分不足に輪をかけてしまいます。

体に影響があるほど湿度を低くしなくても、「加湿装置を使用するなどして、もっと湿度を上げればいいのに」と思えますが、実際にはそうもいかないようです。

なぜなら、機内の湿度は低く保つ必要があるからです。

機内の湿度が低いわけ

飛行機が飛んでいる上空10000メートルの気温は、-40℃~-55℃にもかかわらず、機内の気温は20℃~24℃程度に設定されています。

この状態で機内の湿度を上げてしまうと、外気温との差によって機体内に結露ができてしまうのです。

もし、結露ができて、どんどん水が入り込めば、アルミニウム合金で出来ている機体は腐食してしまいます。それを防ぐためには、機内の湿度を低く保つしか方法はないのです。

冷えの影響

飛行機に乗っていると、機内は適温に設定されているとはいえ、案外足元は冷えるものです。特に、女性には冷え性が多く、冷えは血流を妨げるために、むくみの原因になります。

長時間の着席の影響

長距離のフライトでは、座ったままの姿勢で長時間過ごすことになります。

長時間不動の姿勢でいると、血流が悪くなり、血液中の水分が血管やリンパ管から滲み出して溜まっていき、それがむくみになります。

心臓から遠いことや重力の影響もあり、足がもっともむくみやすい部位だといえます。

悪化するとエコノミークラス症候群(旅行者血栓症)に

長い間、下半身を動かさないで座っていると、血流の悪化からむくみだけでなく、まれに脚部の奥に位置する静脈に血の塊ができることがあります。これがエコノミークラス症候群です。

この血の塊(血栓)は、次に歩いたときに血流に乗って肺までいき、肺の血管をふさいでしまうことがあるため、非常に怖いのです。

当初、飛行機のエコノミークラスの旅客から発症が報告されていたため、この名前で知られるようになりましたが、実際には、座席のクラスには関係なく、不動の姿勢を長く続けることによって起こります。

エコノミークラス症候群の初期症状には、むくみや痛み、足の発赤や紅斑があります。単にむくんでいるだけだと、甘く見てはいけません。

飛行機でむくみを予防する為の対策は?

飛行機内

飛行機の機内環境は変えることができないため、むくみを防ぐためには、自分たちで対策を考えて行動しなければなりません。

機内でのリラックス対策

むくみを和らげるには、体を締め付けずリラックスできるように気をつけることが大切です。

スリッパに履き替える

機内では足の負担を軽減するために靴を脱いで、スリッパなどリラックスできる履物に履き替えましょう。

パンプスやブーツなどを履いたままでは、血流が阻害されて、むくみを引き起こす可能性が高くなります。

離陸してしまうと、しばらくはシートベルトが外せなくなるため、着席したらすぐに履き替えることをおすすめします。

楽な服装で搭乗する

圧迫感のある服装は体の負担になり、むくみの原因になります。スリムジーンズや締めつけ感のある下着は避けて、伸縮性に富んだ楽なデザインの服装が望ましいといえます。

とはいっても、ジャージなどの部屋着やパジャマのようなスタイルで飛行機に乗り込むことは難しいでしょう。

おすすめは、ストレッチ素材で柔らかい生地のパンツやロング丈のスカートやワンピースです。

特に、ストレッチ素材で出来たロング丈のスカートは、太ももや膝を圧迫することがないうえに、どんな座り方をしても裾を気にすることなく楽に座れるので、フライト中を快適に過ごせます。

冷え対策をする

冷えはむくみを加速させるため、冷え対策として、重ね履き用の靴下やジャケット・カーディガンなどの羽織物を持っておきましょう。羽織物は、腰に巻くと、お尻や腰の冷え防止にもなります。

特にLCCの場合、毛布やブランケット類は用意されていない場合が多く、用意されていても有料になるため、寒くて困らないように、上着を多めに持って行くか、ひざ掛けの持参がベターです。

また、お尻の下に上着やひざ掛けなどを敷くと、固いシートであっても、太ももの血流が妨げられることがありません。

機内での適度な運動

座りっぱなしで不動のままでは、血行が悪くなります。歩いたりストレッチをしたりして、手足を動かすように心がけましょう。

足の運動

つま先上げ下げ運動

狭い機内でも簡単に行えます。

  1. 両足のかかとを床につけた状態で、つま先を上げる
  2. ふくらはぎの筋肉が伸びていることを感じながら、5秒ほどキープ
  3. 元に戻す

この運動を10回くらい繰り返しましょう。

かかと上げ下げ運動

先ほどとは逆に、今度はかかとの上げ下げです。

  1. 両足のつま先は床につけたまま、かかとを上げる
  2. スネと足の甲が伸びていることを感じながら、5秒ほどキープ
  3. 元に戻す

これも、つま先上げと同様に、10回くらい繰り返して行ってください。

足のグーパー運動

足の指を動かすことで、血行の促進に期待できます。

  1. 両足のかかとを床につけたままで、つま先を上げる
  2. 足の指に力を入れて、グーにする
  3. 今度は足の指を開いてパーにする
  4. 足を下げる

この運動も10回くらい繰り返します。

足首を回す

これも座席に座ったままできるエクササイズです。

  • 足を組む
  • 上に組んだ方の足首を右回り、左回りと適宜変えながらゆっくりと10回くらい回す
  • 足を組み替えて、反対側の足も同様に回す
ふくらはぎのマッサージ

血流が悪くなると、ふくらはぎには血液や老廃物が溜まりやすくなります。

ふくらはぎを下から上(足首から膝裏)へとさすってマッサージをすることで、むくみの予防や解消につながります。

ふくらはぎの裏側に集中しているツボを押すのもおすすめです。

だん中

だん中

左右の乳首を結んだ線の真ん中の胸骨部分

湧泉

湧泉

足の裏、土踏まずのやや上の部分

ふくらはぎのツボ

委中

膝の裏側の真ん中の部分

承筋

ふくらはぎの一番盛り上がった部分

承間

承筋と承山のほぼ中間の部分

承山

委中と足首のほぼ中間の部分

手の運動

足と同様、手を動かすことで手のむくみ予防になります。

手のぶらぶら運動

手首から先をぶらぶらと強めに振ると、血の巡りが良くなります。

グーパー運動

手の指をグーパーグーパーと、停滞している水分を流すイメージで、強めに握ったり開いたりします。

指をそらす

両手の指を組んで、腕を伸ばし、指を後ろ側へそらしてストレッチするのも効果的です。

機内の歩行

トイレに行くことも運動の1つです。トイレの順番を待っている間には、アキレス腱を伸ばすようなストレッチをするのもよいでしょう。

機内での水分補給

十分な水分補給は血液の循環を促進するため、むくみ予防になります。

継続する体内の水分不足は、血液をドロドロにして停滞させるため、むくみを悪化させ、エコノミークラス症候群の危険性も高まります。

一度にたくさん飲むよりも、こまめな水分補給が効果的です。

ただし、コーヒーやアルコール類は、利尿作用があるため水分補給としてはふさわしくなく、お茶やミネラルウォーターがおすすめです。

手荷物検査後に購入すれば持ち込み可
機内へ飲み物を持ち込むには規制がありますが、手荷物検査後にカフェや売店などで購入したものであれば、そのまま持ち込めます。

便利グッズの活用

他のむくみ予防対策に加えて、便利グッズの活用がおすすめです。

足のむくみ予防

着圧ソックスや着圧タイツ・ストッキング

CAさんたちも愛用している着圧ソックスや着圧タイツは、かなり効果的なむくみ予防グッズです。

ソックスやタイツの加圧が足の血管に働きかけ、足に溜まりがちな血液を心臓に送り戻すのを助けます。発熱タイプのものは、足の冷え防止にもなります。

関連記事着圧ソックスを履くことで期待できる7つの効果&悪影響や注意点

足裏ツボ押しグッズ

マッサージボールやマッサージローラーを足裏でコロコロと転がせば、簡単に足ツボを刺激できて血流を改善できます。

マッサージボールは、手のツボを刺激するのにも効果があります。片手でボールをギュッギュッと握ったり、両手で挟んで手のひらの上を転がしたりすれば、手のむくみ予防になります。

フットレストやフットラック

足はできるだけ高い位置に置いておいた方がむくみにくくなります。

持ち運びに便利な組み立て式のフットレストや、座席前テーブルに引っ掛けて使用するフットラックは、長時間のフライトを楽にしてくれます。

顔のむくみ予防

美容ローラー

電気を使わない美容ローラーは、コロコロと手軽に顔を刺激することができ、顔のむくみの予防に役立ちます。顔だけでなく、足や肩の血行促進にも効果があります。

サプリメントの利用

即効性はありませんが、搭乗する2週間くらい前から、むくみに効果的だといわれているビタミンKやリンパの流れを良くするサプリメントを飲み続ければ、むくみにくい体になることが期待できます。

血行をよくする顔のマッサージは、人前ではしづらいため、顔のむくみ予防にはサプリメントが効果を発揮します。

まとめ

楽しい旅行にするためには、スタートとなるフライトでの過ごし方がとても重要です。

ワクワクして搭乗しても、機内でむくみに悩まされてしまっては、飛行機を降りるときには、テンション下がりっぱなしになります。それを避けるには、機内でのむくみ対策が必須です。

今日、ここで紹介したことを頭に置いて、しっかりと旅の準備をしてくださいね。そうすれば、きっと、思い出いっぱいの楽しい旅行になりますよ。

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